現在わが国の社会福祉を広汎に推し進めている原動力は介護福祉(ケアワーク)である。高齢者人口の急激な増加に伴う施策の広汎な進展と介護問題の解決が、国民全体の早急な課題となったことがその背景となっている。高齢者介護の担い手の主軸に介護福祉士が位置づけられ、介護福祉士についての社会的な認知が飛躍的に広がったことは否めない。
1987年に制定された「社会福祉士及び介護福祉士法」が、2007年11月、20年ぶりに改正された。この改正に伴い、両福祉士資格の教育課程も新たなものとなった。今年度から、新たな教育課程で資格者の養成が始まっている。
国が認める資格には、医師・弁護士等さまざまなものが存在する。国家資格の数は二百種類を超えるとされている。資格制度によって一定の知識・技術などが担保され、その結果として社会的な地位と待遇が保障されることが理想的な状況であろう。そのためには、その資格制度を支える養成教育機関、職能団体、関連学会の成熟と連携が必要不可欠である。養成教育機関はその教育内容を吟味し、効果的な教育方法や教材を開発し、教育の質を高めることが求められる。また、職能団体は技術・知識等、専門性の向上を目的とした研修体系の整備と実践的カリキュラムの開発、学会はさまざまな視点から理論を検討し、その理論を蓄積する必要がある。しかし、教育機関、職能団体、学会が十分な力を発揮している資格制度は少ないと思われる。
介護福祉士という国家資格についても、養成教育機関と職能団体、学会が活動している。しかし、それぞれが有機的に連携し、活動する場面をみることは少ない。本来であれば、今回の法改正に際し、学会が理論的根拠を示し、職能団体が必要とされる専門的介護福祉士像を示し、その基礎教育として教育機関がどの部分を担当するのかという議論が尽くされ、その内容が法の骨格になっていくべきであったと思っている。
法が改正され、新しい教育課程が示されたからといって、この議論が終結したわけではない。今からでも、関係学会が介護福祉の学問的根拠を示し、その立場から現在の教育課程に必要な内容を明らかにすることは非常に意味のあることである。また、職能団体が、示された介護福祉士像を吟味し、養成教育を修了した後にどのような研修が必要になるのかを明らかにすることも大切なことである。それらを、教育機関、関係学会、職能団体で共通に吟味することで連携が生まれ、資格制度がより充実したものになっていくのだと思われる。
介護福祉士資格のステップアップとして専門介護福祉士が話題になっている。この問題を職能団体としてどのように位置づけるのかということを早く吟味してもらわねばならないと感じている。介護福祉士養成施設の経営的な視点からこの問題が論議されることは避けられねばならない。専門介護福祉士の必要性と理論的根拠が示され、その教育内容が吟味され、国が認定する資格とするのか、あるいは、専門団体の認定資格とするのか。
さまざまな課題を教育機関、関係学会、職能団体が連携して深く議論することが、介護福祉士資格、介護福祉の発展につながる道であると信じている。
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