建帛社だより 「つくし」

 平成21年9月1日号

日本学術会議における生活科学に関する活動

日本学術会議連携会員
横浜国立大学名誉教授 渋川 祥子

 成17年に日本学術会議の組織が改正され、第20期日本学術会議から従来の学協会との関係が変わった。19期までは、学術会議に家政学研究連絡委員会(家研連)があり、家政学会から選出された学術会議会員がその委員長を務めていた。学術会議のなかに家政学の領域がはっきりと位置づけられていたのである。20期からは新しい選出方法になり、会員210名および約2000名の連携会員によって構成されているが、20期には残念ながら家政学関連の会員は含まれていなかった。21期からは会員1名(片山倫子氏)が選ばれている。連携会員の中には20期から家政学分野を専門とするメンバーが含まれている。

 術会議には三つの部(人文科学、生命科学、理学・工学)と30の分野別委員会があり、その下に多くの分科会がつくられている。委員会の一つに「健康・生活科学委員会」があり生活科学(家政学)に最も近い委員会である。この委員会の下に「生活科学分科会」(片山倫子委員長、委員11名)が発足した。「生活科学」と「家政学」の関係については、ほぼ同義語とのとらえ方から、かなりの距離を置いたとらえ方まで議論のあるところであるが、この分科会においては、生活科学と家政学は同義語という立場で活動を始めた。

 在は生活重視の時代といわれており、個人個人の生活を大切にすることが、政治・経済活動でも重要視されているにもかかわらず、生活科学(家政学)の研究活動は必ずしも社会的に認知されていない。生活が多様化・高度化し、生活のうえで生じる問題が複雑化している現在、それらの問題解決のための研究はますます重要であり、多くの生活科学関連の研究者はそのことを自覚しながら研究・活動を進めているはずである。

 活科学の研究活動や実践活動をより社会に認知してもらい、その成果を社会に還元していくにはどうすればよいのか、生活科学領域の学問に携わる人もそれらの学問を基盤とする実践家も、この時期に真剣に考える必要がある。同時に日本学術会議のなかでもその認識を高める必要がある。このような立場で、生活科学分科会が現在活動中である。

 活科学分科会のこれまでの活動としては、平成19年9月に一般公開シンポジウム「生活科学―その独自性と課題」を行い、さらに生活科学と教育の関係を強化する目的で平成20年7月にシンポジウム「子どもたちに生活科学を―家庭科の魅力と可能性―」を行った。また、同年8月には日本学術会議としての提言「食生活の教育」を公表した。

 20期以降、日本学術会議は関連学術団体とどのように連携を図るかが一つの課題となっており、生活科学(家政学)分野においても、学術会議との連携および各学術団体の横の連携を図ることを目的として、この分野の連合体「生活科学系コンソーシアム」の立ち上げを行った。

 在、11の学術団体の参加を得て情報の交換、各学術団体と生活科学分科会の活動の共催・後援、ホームページの開設などを行っている。当コンソーシアム独自の今後の活動についても現在検討中である。