いよいよ、昨年の4月から新カリキュラムによる介護福祉士養成教育がスタートした。最近の関係者の話題は「どのような教育を行うか」と同時に、入学者の減少問題(定員割れ)の話題に偏ってきている傾向もみられる。 厚生労働省の調査によると、介護現場を支える介護福祉士の養成学校の定員数は2009年度に22,761人となり、前年度に比べて約一割減。減少は三年連続。介護職を敬遠する若者が多いことなどを背景に、専門学校などが定員数を減らしている。2009年度は定員数が減った半面、定員に占める入学者数の割合は55%で2008年度より9ポイント上がった。昨年度は厚労省が離職者支援策の一環として、ハローワークを通じて介護福祉士養成コースの受講を仲介しており、約2,700人が受講したことなどが押し上げた、と報告している。 入学希望者の減少は介護職への敬遠が原因か? 養成校のPR不足が原因か? 教育内容が原因か? 一体どこに問題があるのだろうかと改めて考えてみたが、どうやら様々な原因が重なり合った結果ということに落ち着く。 私は授業や研修会で「専門職は結果の原因を自分自身の中に求めることが大切」といってきた。つまり、相手の中に原因を探す前に、己の行いを反省してみるという意味である。現在の定員割れの原因を私たち教員の中に探れば、その答えはおのずから魅力ある授業づくり、学生の興味を引く教授法の研鑽、教材の工夫等々ということにつながってくる。 介護総合演習は学内の各教科・演習と実習教育をつなぐ大切な科目である。基礎と応用をつなぐ、または、理論と臨床をつなぐという表現がぴったりである。その意味で、介護の楽しさや面白さを学生に伝えていく重要な位置にあると考えている。 介護総合演習では学生の実習体験がそのまま教材として活用できる楽しさがある。例えば、マズローの欲求の五段階説をどの科目で学習したのかを思い出してもらう。次に五段階の図を書いてもらう。忘れたら調べればいい。そのうえで学生が実習中に行ったアセスメント情報をそれぞれの段階に分類する。このことから、学生は情報の偏りに気づき、次にどのような視点でアセスメントしたらよいかを模索する。このことは、アセスメントにとどまらず、利用者に心のこもった関心を寄せ、その人との関係づくりを行うという介護福祉士としての基本姿勢にも広がる。さらに介護活動は一人ひとりの自己実現に向かう活動であるという大切な点にも自然と学生は気づいてくれる。 また、今はデジカメやパソコンの時代である。PCに強い学生も多い。グループワークで介護のイメージを話し合い、イメージを文章化して写真と一緒にパワーポイントを作成して発表してもらう。協調性、創造力、表現力等、様々な効果が表れる。まさに介護はクリエイティブな活動であることを学生は体験する。楽しい授業、自由に考えることが許される時間、何を発言しても否定されない信頼関係、様々な期待と可能性が介護総合演習から膨らんでくる。 「介護は楽しい」といってくれる学生の思いを、いつまでもサポートしていきたいと考えている。
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