建帛社だより 「つくし」

 平成29年9月1日号

子どもの生活の改善に向けて


―試みの提案

早稲田大学教授・医学博士  前橋 明

 本は,夜型の社会になって久しいですが,それに伴って子どもも寝るのが遅くなりました。今日,夜10時を過ぎてから寝る幼児が,何と4割を超えています。遅寝で,睡眠時間の短い子どもの特徴として「注意・集中ができない」「イライラする」「じっとしていられない」といった症状が出てきます。これでは,日中の活動や勉強にも専念できないし,イライラしてキレやすく,じっとしていられなくて話も聞けないので,活動中に歩き回ってしまうというような,集団行動のとれない子どもになっていきます。
 た,夜遅く寝て,登園時刻ぎりぎりに起きるという遅寝・遅起きの子どもの場合は,朝のゆとりの時間がないわけですから,朝ごはんはしっかり食べられず,朝の排便もないです。その結果,朝から眠気やだるさを訴え,午前中の活動力は低下し,運動不足となります。
 がて,自律神経の機能低下を生じ,昼夜の体温リズムが乱れてきます。そして,ホルモンの分泌リズムが乱れ,生活が昼夜逆転となり,体調不良や精神不安定を引き起こし,ひいては,学力低下,体力低下と,どんどん負の連鎖を生じていきます。
 活習慣とからだのリズムは連鎖しますので,生活のリズムが悪ければ,悪いところのどこか一つを直すと,生活習慣の負の連鎖がよい連鎖にだんだんと切り替わっていきます。
 た,夜,子どもに「寝なさい,寝なさい」といっても,近頃の子どもは,なかなか寝てくれません。それは,寝られるからだをつくっていないからということなのです。要は,早く寝られるからだをつくってあげることです。
 まり,日中,太陽の出ている時間帯にしっかりからだと心を動かして,心地よく疲れさせることが必要です。疲れたというぐらいの運動や運動あそびをすると,筋肉に負荷が加わって,より強い筋力が発揮できて体力もついてきます。これをトレーニング効果と言います。
 も,軽過ぎる運動や運動あそびだけでは疲れません。リフレッシュできた,気分転換になったという程度ではなく,日中に疲労感が得られるぐらいの運動刺激によって,成長期の子どもたちの体力はついてくるのです。でも,その疲れは,一晩の睡眠で回復することが条件です。それには,睡眠明けの朝の子どもの様子が元気であることを確認することです。
 う一つ大事なことは,一日の始まりには,からだをウォーミングアップさせて(体温を上げて)から,子どもを園や学校に送り出すことです。
 寝・早起きでリズムをつくって,起床とともに体温をだんだん上げていきます。朝ごはんを食べて体温を上げて,徒歩通園でからだを動かして熱をつくって体温を高めていきます。
 うして,ウォーミングアップができたからだの状態(36.5℃ぐらい)であれば,スムーズに保育・教育活動(集団あそびや勉強)に入っていくことができます。そして,日中には,汗をかくくらいのからだ動かしや運動が必要です。