管理栄養士養成課程の教科書。多様な症例に対し,栄養診断を行い,栄養・食事計画(献立作成)の立案から実践までの一連の過程を学ぶ。
内容紹介
まえがき
は じ め に
わが国では,小児から高齢までの傷病者において,低栄養から過剰栄養にいたる多様な栄養問題が生じている。そのため,傷病者に対する適切なアセスメントに基づく栄養管理の標準化が求められている。それぞれの症例に最適な栄養・食事計画を立案し,栄養管理を実践するためには,疾患を理解するとともに栄養学的な問題を明確にすることが必要である。つまり,傷病者の栄養問題を解決するためには,栄養管理プロセスである栄養診断(栄養状態の判定)を確実に行い,傷病者の生活背景を考慮した栄養・食事計画を作成することが必須である。
このような状況を受け,今回,学生向けに管理栄養士養成校において栄養診断(栄養状態の判定)を基に適切な栄養・食事計画の立案から実践までの一連の過程を学修できるテキストとして本書を作成した。
構成は,学生がステップアップできるように図っている。第1 章では,基本事項として栄養管理プロセスを構成する用語の理解に重点を置き,順序立てて解説している。
第2 章では,症例に対する最適な栄養介入を行うにあたり,必要な知識について具体的に解説した。第3 章は,栄養・食事計画の立案から実践に必要な基本事項を丁寧に説明している。これらを理解した上で第4 章では,多様な疾患に対して栄養管理プロセスの栄養診断(栄養状態の判定)を行い,栄養・食事計画を実習する構成にしてある。また,第4 章の基本症例では複数の栄養診断(栄養状態の判定)から1 つのコードを選択して栄養・食事計画の例を示してある。それにつづく実習症例では,例を示さず,基本症例での学びから,傷病者の生活背景を十分に考えた栄養・食事計画を作成するようになっている。さらに各自が立案した計画に対して,教員よりアドバイスをもらい学生間で協議してほしい。これを繰り返すことにより,各学生が問題解決力を修得し,応用力を高めることが可能となると考えている。
本書は,学生が症例を通じて栄養診断から栄養・食事計画の手順を理解することを目的としている。そのため,検査値等は必要な項目のみわかりやすい数値で記載しており,疾患の病態や治療は他の専門書で学ぶ必要がある。
筆者は,臨床において多くの症例を経験し,現在は管理栄養士養成校において臨床栄養教育の現場で活躍されている先生方に,学生目線でご記述いただいた。
本書により,学生が栄養管理プロセスの栄養診断(栄養状態の判定)から適切な栄養・食事計画の立案を修得し,実践できることを期待している。また,超高齢社会を迎えているわが国の栄養の問題解決を担う専門職養成の一助となれば幸甚である。
最後に,お忙しい中,執筆いただいた先生方に心より感謝申し上げる。また,出版にあたりご尽力いただいた建帛社編集部の方々に深謝する。
2020 年4 月
編著者 桑原 節子
永井 徹
目 次
第1章 栄養管理プロセス(Nutrition Care Process:NCP)
1.疾患の理解
2.必要な情報の収集
3.収集した情報に基づくアセスメント
4.栄養診断
5.栄養介入
6.栄養モニタリングと評価
7.アウトカム(結果)マネジメント
第2章 栄養介入に必要な知識
1.摂食嚥下の考え方,嚥下調整食の種類および食事摂取時の姿勢
2.経静脈栄養の考え方と栄養製剤の種類
3.経腸栄養の考え方と経腸栄養剤の種類,選択
第3章 栄養・食事計画の基本
1.栄養補給法決定の考え方
2.節酒目標量の考え方
3.加重平均成分と食品構成
4.献立作成の種類
第4章 栄養,食事計画の実践
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