健康・栄養に関する入門用テキスト。食事管理,人の行動,ライフステージ,疾病予防,社会と環境の各視点から健康について科学的に考察することで,氾濫する様々な情報を収集・判断・活用し,バランスのとれた食生活が“実践”できる力を身につけることを目指す。 管理栄養士・栄養士養成の大学・短期大学の導入科目。教育,体育,家政・生活,看護,理学・作業療法,福祉など,健康関連の学部・学科,大学教養課程の健康と栄養,食生活に関わる科目のテキストに最適。日本人の食事摂取基準2020年版に対応。
内容紹介
まえがき
は じ め に
食や健康に関わる話題の中で「正しい食と健康の知識を身につけましょう!」と耳にすることが多くなってきました。そのようなことを言われても,どのような知識をどれくらい身につければよいのか,戸惑ってしまいませんか? 今,私たちの周りにはさまざまな情報が溢れ,錯綜しています。食や健康に関わる専門家ですら,マスメディアやSNS 等で流れている情報に戸惑うこともしばしばです。
ところで,正しい情報や知識とは何でしょう。“正しい”の背景には,科学で裏打ちされたエビデンスとよばれる証拠が不可欠となります。科学とは,いわゆる理系科目をイメージする自然科学だけでなく,人文科学や社会科学も含み,それらをまとめたものをいいます。本書では,このさまざまな“科学”的な視点から食と健康に関わることをとらえ,「本当にこの記述は正しいのか」,「根拠となる資料は何か」など,執筆者間で批判的に修正を繰り返し,わかりやすく解説することを心がけました。
本文を読む前に,第1章から第5章の扉に書かれている文を読んでみてください。そこには,執筆者が実際に授業を通して学生さんたちとやりとりした時の声を反映させました。皆さんの“ツイート”に答えることができるように,テキストの全15 節を構成しています。一通り学び終わったあとに,自分の興味のある事柄について,どんな情報源があるか,その情報を鵜呑みにしていないか,適切に判断して自分自身の生活に取り入れようとしているか,行動が変わったかなど,食と健康に対する態度や行動が学ぶ前の自分と何か違うなと感じたら,あなたの学び方はバッチリです。
本書の根幹は上述した通りですが,もう1点,工夫した箇所があります。それは内容構成です。本書は各章3節で全5章から構成されています。大学の授業1科目が15 回であることを踏まえ,授業1回で1節ずつ取り上げていただけるようにしました。あれもこれもと盛り込みすぎないよう整理することを心がけましたが,中には1回の授業では講義しきれない項もあります。本文の側注に関連する節や項を記しましたので,講義内容の調整の際に参考にしてください。
本書は,食と健康に関わる正しい知識を学びたい,あるいは学び直したい方々が読まれることを想定しています。高校を卒業したばかりの方から,生涯教育として学び続けたいシニアの方まで,多くの方々にお読みいただけることと思います。
本書をより良い本にするために,是非みなさんからの声をお聞かせ下さい。皆さんのなぜ? どうなっているの? どうしたらいいの? これからは? に答えることができる本にしていきたいと考えております。
最後に。健康であることは何にも代えがたい資源であり財産です。何歳になっても人生の目標を持ち,個々の目指す理想像に近づくことができるよう,その人なりの健康を獲得できることを願っています。本書が,溢れる情報に振り回されることのないよう,生涯に渡って健康で豊かな生活を送ることができるための伴走者となれれば幸いです。
なお,本書刊行に当たり,建帛社の方々,および関係各位の多大なご助力をいただきました。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。
2017年3月
編著者 稲山 貴代
大森 玲子
目 次
第1章 食事管理の視点から健康を科学する
1.食べることの意義
2.バランスのよい食事の栄養学:どうやって食べたらよいのか
3.エネルギーバランス:どのくらい食べたらよいのか
第2章 人の行動の視点から健康を科学する
1.おいしさを科学する
2.食行動を科学する
3.情報を科学する
第3章 ライフステージの視点から健康を科学する
1.母と子の健康と栄養・食生活
2.若者世代の健康と栄養・食生活
3.シニア世代の健康と栄養・食生活
第4章 疾病予防の視点から健康を科学する
1.生活習慣と健康
2.生活習慣病予防と健康・栄養管理
3.気をつけたい健康課題
第5章 社会と環境の視点から健康を科学する
1.生活と健康
2.文化と健康
3.環境と健康
付 録 主な栄養素とその働き 主な栄養素を含む主要な食品 指針・ガイド 日本人の食事摂取基準(2020年版)
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