はじめに

　少子高齢化の時代，長寿国日本の背景として，健康寿命や食と健康の意識や関心が高まる中，基本的な食事・栄養素については，個人の健康維持に必要な国内外の科学的エビデンスに基づき「日本人の食事摂取基準」が示され，栄養・食事の指標とされている。個人への対応はもちろんのこと，特定多数の食事の場面で行われる「給食」の食事管理，栄養教育などの実践の場で活用されている。

　食と健康の背景には個人の生活があり対象者も多岐にわたるので，その生活の質（QOL）の向上のため，栄養士法・健康増進法・学校給食法・社会福祉法・医療法など従来の関係法規に加え2005（平成17）年には「食育基本法」が制定された。あらゆる対象者の食と健康のための食事給与に加え，食育の専門家として職務の範囲も拡大し，管理栄養士のさらなる資質向上が求められている。

　本書はこの現状を踏まえ，管理栄養士教育の根幹の教科目を「カレントシリーズ」として発刊される中で，管理栄養士・栄養士養成施設の学生を対象にした「給食経営管理論」の教科書として「管理栄養士教育コアカリキュラム」「管理栄養士国家試験ガイドライン」に示されている必須項目に準拠し，給食経営・運営を専門的かつ体系的に学習できるよう著わした。基礎知識の修得と実践の場での管理技術および応用力の教育成果に資するため，実社会で行われている特定多数人を対象とした健康維持増進，心身の健全な成長および疾病予防，さらに傷病治療を促すためには「安全とおいしさ，安心して供給される食事」を視野に具体的な条件を示し，実践の場である「給食経営管理実習」にも役立つ内容とした。

　管理栄養士・栄養士を目指す学生諸子が本書を活用し「食事管理の専門家」として保健・医療，福祉・介護などの各領域チームの中で栄養・食事管理に参画し諸業務を円滑に遂行するための実力を養成され，実社会で活躍されることを願ってやまない。

　なお，本書共著者は管理栄養士・栄養士養成校において，給食経営管理論や実務論の講義および実習担当者であるが，実社会の多様な現状から執筆内容に不備な点が多々あろうかと思われる。このような点については，関係者のご叱責・ご指導をいただければ幸いである。

　おわりに，本書出版にあたり，多くの諸先輩の著書・文献などを利用させて頂いたことに謝意を表すとともに，編集にご協力いただいた建帛社の皆様に，心より深謝いたします。

　　2014年２月

編者　宮 澤 節 子

松 井 元 子

　　
改訂にあたって

　厚生労働省において，2017（平成29）年６月に「大量調理衛生管理マニュアル」が改定され，2020（令和２）年４月に「診療報酬」を改定し，「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の実施上の留意事項について」，「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」等が公布され適用されること等に伴い，それまでの「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の実施上の留意事項について」（平成18年３月６日保医発第0306009号）が廃止された。さらに，2021（令和３）年４月には「介護報酬」，「障害福祉サービス」等の報酬が改定された。

　文部科学省において，2021（令和３）年２月に「学校給食法」が改定され，「学校給食実施基準の一部改正について」が通知された。

　これらに沿い，記述や表を訂正，巻末の資料法規の改訂を行った。あわせて統計データ等の更新も行い，改訂版とした。

　これまでと同様に管理栄養士養成にご活用いただきたい。

　2021年３月

編者　松 井 元 子　

冨 田 圭 子