在宅,施設,病院で応用できる 栄養管理プロセス ―理論・活用・症例―

  • 日本人の食事摂取基準(2020年版)対応
著 者
発行年月日
2020年3月10日
ISBN
978-4-7679-6214-6
Cコード
C3047
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専門書

定価 2,860(本体価格:2,600円) 在庫あり

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内容紹介

超高齢社会では,病院,施設,在宅においても栄養管理の専門家である管理栄養士の切れ目ない支援が必要となる。 管理栄養士の新しいケアシステム「栄養管理プロセス」の実践・活用のための入門書,最新版。

まえがき

はじめに

 超高齢社会を迎えたわが国では,病気をもつ高齢者でも長期間にわたって病院に入院することはできなくなった。超高齢社会の現状に合わせて国の施策も,高齢者の介護が必要な状況においても,住み慣れた地域や住まいで,尊厳ある自立した生活を送ることができるよう質の高い保健医療・福祉サービスの確保,将来にわたって安定した介護保険制度の確立を目指すことを目標としている。こうした時代背景のもと,これからは,病院,施設,在宅と切れ目のない支援体制を構築していくことが求められている。また,それを実現するために地域包括ケアシステムの強化が制度化された。人が自立した生活を送るためには,良好な栄養状態を維持していく必要があり,在宅,施設,病院においても栄養管理の専門家である管理栄養士の切れ目のない支援が必要となる。

 そのようななか,2012年度に公益社団法人日本栄養士会は,「国際標準化のための栄養ケアプロセス(Nutrition Care Process:NCP)」を導入した。NCPが国内に導入された後,私たちは,NCPを使いこなすのに当初は手探り状況が続いた。しかし,その考え方を正しく理解したうえで,実際の症例で使ってみると,このシステムは,とても優秀なPDCAサイクルの基本となるものであることに気づいた。それと同時に,私たち管理栄養士が行っている栄養評価の未熟さもみえてきた。それは,今まで私たちが行ってきた栄養管理の問題点として,①管理栄養士が医療診断(医師の専門領域)に入り込んでしまっている事例があること,②栄養状態を悪化させている根拠を明示せずに管理栄養士の主観的な感覚で提言している事例があること,③栄養状態を悪化させている本質的な原因が何かを明確化していない事例があること,などがあったということである。このような問題点が見え隠れしている状態では,傷病者の栄養管理である最適な栄養・食事支援は難しくなる。そこで本書では在宅,施設,病院で実践できるNCPを目指し,理論,活用方法,具体的な症例でわかりやすい解説を試みた。まずは,本書を読んでいただき,その全体像と活用方法を理解してほしい。そして,実際に多くの症例でNCPによる栄養管理を積み重ねて経験していくことで,在宅,施設,病院において最適なNCP が実践できると確信している。

 本書の初版は,2018年5月に『在宅,施設,病院で応用できる 栄養ケアプロセス 理論・活用・症例』の書名で刊行された。その間,公益社団法人日本栄養士会においては,わが国の栄養管理の現状なども含め「国際標準化のための栄養ケアプロセス」の項目や内容について検討が重ねられ,新たに,栄養管理の具体的な手順を示し,栄養診断コードや用語,栄養アセスメントの内容などが加筆修正された『栄養管理プロセス』が,同会監修のもと2018年10月に出版された(第一出版発行)。それに伴いNCPの訳語としての「栄養ケアプロセス」は,「栄養管理プロセス」として使われることとなった。

 そのため,本書は『在宅,施設,病院で応用できる 栄養ケアプロセス 理論・活用・症例』のいわば改訂版として,主たる書名を「栄養管理プロセス」に改め(前後の副書名はそのままに),上記の栄養診断コードや用語の改定,また,各疾患ガイドライン,日本人の食事摂取基準などを最新のものに更新し,刊行するものである。全体の構成,趣旨は初版と違いはない。

 最後に本書に執筆いただいた先生方に感謝するとともに,出版にあたりご尽力頂いた建帛社編集部の方々に深謝する。

2020年1月

編著者 石長孝二郎

片桐 義範

目 次

Ⅰ.臨床栄養管理の基本

1.新しい栄養管理システム

2.病院における栄養管理

3.在宅における栄養管理

4.栄養管理の意義とプロセス

5.栄養スクリーニングとは

6.栄養アセスメントとは

7.栄養状態の判定(栄養診断)とは

8.栄養状態の判定(栄養診断)とPES(ピー,イー,エス)報告

9.PES報告と栄養介入計画・モニタリングとの関係

10.叙述的記録(SOAP)による診療録記載

11.アウトカム(結果)管理システム 

Ⅱ.栄養スクリーニングの実際 

1.栄養スクリーニングの意義と活用方法

2.栄養スクリーニングの具体例 

Ⅲ.臨床栄養管理の実際 

1.疾患の理解

2.必要な情報の収集

3.収集した情報に基づく栄養アセスメント

4.栄養状態の判定(栄養診断)

5.栄養介入

6.モニタリングと評価

7.アウトカム(結果)管理システム

8.栄養管理計画 

Ⅳ.栄養アセスメントに応用できるエネルギー・栄養素の目標量設定・比較基準値の活用法 

1.エネルギー・栄養素の目標量設定,比較基準値の活用の意義

2.栄養アセスメントするためのエネルギー・栄養素の目標量設定の具体例

3.栄養アセスメントするための比較基準値の活用法の具体例 

Ⅴ.栄養アセスメントに応用できるフィジカルアセスメントの活用法 

1.栄養アセスメントに応用できるフィジカルアセスメント 

Ⅵ.栄養管理プロセスに必要なさまざまな知識 

1.摂食嚥下に関する考え方,嚥下食の種類

2.経腸栄養の考え方,栄養剤の種類

3.経静脈栄養の考え方,栄養製剤の種類

4.地域高齢者および施設利用者の生活自立度の判定基準

5.認知症高齢者への食環境の工夫 

Ⅶ.基本症例による栄養管理 

概 要

1.脱水症

2.低栄養

3.摂食嚥下障害

4.サルコペニア・廃用症候群

5.脳梗塞(脳卒中)後遺症

6.肥満症

7.2型糖尿病

8.脂質異常症

9.慢性腎不全(CKD)

10.〈クリニック〉血液透析(HD)

11.慢性閉塞性肺疾患(COPD)

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書籍情報

シリーズ名・巻数
書籍名 栄養管理プロセス
著 者
分 野
シリーズ
ISBN 978-4-7679-6214-6
Cコード C3047
定 価 2,860円 (本体価格:2,600円)
発行年月日 2020年3月10日
版型・装丁 B5 並製
ページ数 180ページ
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