建帛社だより「土筆」

令和5年9月1日

こども家庭庁発足五か月(コラム)

 年の4月に内閣府の外局として,こども家庭庁が発足してから5か月が経過した。政府が6月に公表した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2023」の中核のひとつ,子育て関連予算の2030年までの倍増等,こども家庭庁が中心的役割を担う政策は,その間活発に動いている。

「こどもまんなか社会」を掲げ,子育て施策の司令塔として発足したこども家庭庁であるが,ホームページによれば,その政策の柱は以下の4つがあげられている。

1.こどもの視点に立った司令塔機能の発揮,こども基本法の着実な施行

 こども基本法は,こども家庭庁発足と同時に今年の4月1日に施行された。こども施策を社会全体で総合的かつ強力に推進していくための包括的な基本法である。こども基本法において,政府は,こども政策を総合的に推進するため,政府全体のこども施策の基本的な方針等を定める「こども大綱」を策定することとされている。

2.こどもが健やかで安全・安心に成長できる環境の提供

 ここには,子育て支援の各制度の整備が含まれる。「子ども・子育て支援制度」は,従来厚生労働省の所管であったが,すべてこども家庭庁の管轄に移行した。なお,同様に従来厚生労働省の管轄であった保育所は,こども家庭庁の管轄となった。また,認定こども園も同様にこども家庭庁の所管に移行した。ただし,幼稚園については「学校」の枠組みのまま,文部科学省所管から変更していない。

3.結婚・妊娠・出産・子育てに夢や希望を感じられる社会の実現,少子化の克服

 ここでは少子化対策を中心とした政策が練られる。母子保健対策もここに含まれる。こども家庭庁発足後の6月,令和4年の出生数が80万人を割り込む結果が公表された。政策の柱のなかでもとりわけ喫緊の課題である。

4.成育環境にかかわらず誰一人取り残すことなく健やかな成長を保障

 この政策の柱には,児童虐待防止,社会的養護,ひとり親家庭等,障害児支援,いじめの防止,こどもの貧困,ヤングケアラー,こどもの自殺などの幅広いキーワードがあげられる。

 のように「こどもまんなか社会」をめざす子育て支援の司令塔といっても,その具体的な政策は多岐にわたり,それぞれに難しい課題が山積している。少子化,児童虐待,いじめなど,連日マスコミの報道の中核をなすことがらが多くあり,こども家庭庁のこれからに注目が集まる。

目 次

第118号令和5年9月1日

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