疾患の概要は表形式,専門用語は側注を活用して簡潔に解説するなど,初学者にも理解できるよう配慮した。令和6年の診療報酬改定,日本人の食事摂取基準(2025年版)に対応した第3版。
内容紹介
まえがき
はじめに
日本は少子高齢社会といわれ,100 歳以上の高齢者は 6 万 7,824 人(2017年 9 月 15 日,厚生労働省)で過去最多を記録しています。そのうち女性は 9 割を占めています。
一方,平均寿命(男 80.98 歳,女 87.14 歳;2016 年簡易生命表)に比べ,健康寿命(男 71.11 歳,女 75.56 歳;2016 年 WHO 世界保健統計)は,男女とも約 10 年も短く,この期間は介護や介助が必要な自立した生活ができない期間で,傷病者や障がい者が多数いることを意味しています。
65 歳以上の人が占める国民医療費は,全体の約 6 割(約 25 兆 1 千億円;2015 年,厚生労働省)で,循環器系疾患,悪性新生物,筋骨格系および結合組織の疾患,腎・尿路生殖器系の疾患の治療に使われています。
健康で長生きしたいとは誰しもが願うことです。医療法や介護保険法が改正され,地域包括ケアシステム(2025 年を目途,厚生労働省)などの構築が進められている今日,栄養士の使命は,保健・医療・福祉の専門職と連携して,人びとの栄養管理を適切に行うことができる能力をもつことです。それには,病態時の栄養代謝や食事療法の知識を理解・習得し,栄養士として必要な食事計画能力を身につけ実践できるようになることが必要です。
本書は,第 1 章「臨床栄養の概念」,第 2 章「栄養補給法」,第 3 章「薬と食品の相互作用」で,今日の臨床栄養領域における必要な知識を学びます。第 4 章~ 12 章は疾患ごとに分け,第 13 章「術前・術後」,第 14 章「高齢者疾患」,第 15 章「小児・思春期疾患」としました。第 4 ~ 12 章の各疾患については「1. 疾患の概要」で成因・分類・症状・検査・診断・治療を表形式でわかりやすく示し,「2.栄養・食事療法」を記しています。第16 章「症例の栄養ケアマネジメント演習」では,栄養ケアマネジメントの考え方と方法を解説し,さらに 14 症例をとり上げて,実践能力の涵養に資する内容としました。
栄養士養成課程コアカリキュラムおよび全国栄養士養成施設協会が公表している栄養士実力認定試験ガイドラインに準拠した内容で,栄養士養成課程の学生が学びやすい教科書として企画・刊行しました。広く使用されることを願いつつ,読者からのご批判,ご教示を頂きながら,さらに修正を重ね,より使いやすい教材にしたいと願っています。
2018 年 1 月
編者一同
〔第3版〕の刊行にあたって
平均寿命の伸びとともに 65 歳以上の国民医療費は増加し続けています。また,各疾患の治療指針やガイドラインは日進月歩です。本書は,今日の臨床栄養領域における必要な知識を網羅し,各疾患別に表形式で記述することで要点をわかりやすくするという編集方針のもと,2018 年に初版を刊行しました。
その後,『日本人の食事摂取基準』や『日本食品標準成分表』は 2020 年版が公表され,加えて栄養士・管理栄養士養成課程のコアカリキュラムや栄養士実力認定試験,管理栄養士国家試験のガイドラインも改訂されました。2021 年に刊行した〔第2版〕では,それらを踏まえて内容をアップデートしました。
さらに,この度の〔第3版〕では,『日本人の食事摂取基準(2025 年版)』に加え,2024 年度の診療報酬改定に対応しました。
今後も,読者からのご批判,ご教示を頂きながら機会を捉えて修正を重ね,より使いやすい教材にしたいと願っています。
2025年1月
編者一同
2025 年1月
目 次
第1章 臨床栄養学の概念
1.臨床栄養学の意義と目的
2.医療制度
3.医療と臨床栄養
4.福祉・介護と臨床栄養
第2章 栄養補給法
1.栄養・食事療法と栄養補給の特徴
2.経腸(経口)栄養補給法
3.経腸(経管)栄養補給法
4.経静脈栄養補給法
第3章 薬と食品の相互作用
1.栄養・食品が医薬品に及ぼす影響
2.医薬品が栄養・食品に及ぼす影響
3.疾患と主な薬剤
第4章 代謝疾患
1.肥 満
2.メタボリック・シンドローム
3.低栄養(PEM)・るい痩
4.糖尿病
5.脂質異常症
6.高尿酸血症(痛風)
第5章 消化器疾患
1.胃 炎
2.胃・十二指腸潰瘍
3.過敏性腸症候群
4.炎症性腸症候群
5.急性肝炎
6.慢性肝炎
7.肝硬変
8.肝脂肪
9.膵 炎
10.胆石症・胆のう炎
11.下痢・便秘
第6章 循環器疾患
1.高血圧症
2.動脈硬化
3.虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
4.うっ血性心疾患(心不全)
5.脳血管疾患
第7章 腎疾患
1.CKD(慢性腎臓病)
2.急性糸球体腎炎
3.慢性糸球体腎炎
4.ネフローゼ症候群
5.腎不全
6.糖尿病性腎症
7.透析療法期
第8章 血液疾患
1.貧 血
2.白血病
3.出血性疾患
第9章 呼吸器疾患
1.COPD(慢性閉塞性肺疾患)
2.気管支喘息
3.肺 炎
第10章 内分泌疾患
1.甲状腺機能亢進症
2.甲状腺機能低下症
第11章 骨疾患
1.骨粗鬆症
2.骨軟化症
3.変形性関節炎
第12章 免疫・アレルギー疾患
1.食物アレルギー
2.自己免疫疾患(膠原病)
3.後天性免疫不全症候群(AIDS エイズ)
第13章 術前・術後
1.栄養・食事療法
2.胃・大腸術後の栄養管理
3.その他の手術と栄養管理
第14章 高齢者疾患
1.摂食嚥下障害
2.褥 瘡
3.認知障害
4.サルコペニア
5.ロコモティブシンドローム・転倒・フレイル
第15章 小児・思春期疾患
1.先天性代謝異常
2.摂食障害
3.その他の疾患
第16章 症例の栄養ケアマネジメント演習
1.栄養ケアマネジメントとは
2.栄養ケアプラン
3.食事計画
4.ケアプラン作成演習
■演習のための症例
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