観光経営学入門

著 者
発行年月日
2024年9月10日
ISBN
978-4-7679-4800-3
Cコード
C3034
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定価 2,530(本体価格:2,300円) 在庫あり

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内容紹介

観光教育の基礎を,アフターコロナの視点から最新動向を交えて修得できるテキスト。

観光は今や世界最大のサービス業と言われている。「観光立国」を目指すようになって久しい日本だが,観光マネジメント人材の育成はまだまだ追いついていないのが現状である。

観光産業(ツーリズム・インダストリー)には,旅行業や交通運輸業,宿泊業,レジャー産業,ブライダル産業など,様々な業種がある。産業界のみではなく,観光客を受け入れる地域の側においても,観光計画の立案には観光政策,観光地経営の知識が求められる。さらには近年急増するインバウンドへの対応やユニバーサルツーリズムへの取り組みが加速しており,観光経営を実践するためには網羅的な知識が必要とされる。

観光研究の第一線で活躍する執筆陣により,観光と経営のそれぞれを学ぶことの重要性とその意義を理解し,観光マネジメントの基礎を修得する。

まえがき

はじめに

 観光学は若い学問である。社会科学の系統分野にあるが,その研究の歴史は浅く,学際的な領域ともいえる。観光を研究するには,民俗や歴史,地理,文化,さらには建築土木や都市工学,造園学,心理学などからのアプローチもある。また,近年では,数理・データサイエンスや生成 AI など ICT の知識・技術も重要になっており,観光分野における理系人材の獲得・輩出も必須のテーマである。特筆すべきは,経営学をはじめ商学や経済学といった学問領域との連関が欠かせない点にある。このように観光は,さまざまな学問と密接に関わり合い,それぞれにせめぎ合っているのである。こうした学術的な要素を背景に本書は,「観光経営学」の入門書として編集している。

 観光庁は 2017(平成 29)年度から観光教育に取り組み始め,2018(平成 30)年告示の高等学校学習指導要領の改訂で,高校の商業科に 2022(令和 4)年度から新たに「観光ビジネス」科目が導入された。この観光ビジネスという言葉に代表されるように,観光学と経営学の融合は,今後もさらに深化していくことだろう。

 ツーリズム・インダストリー(観光産業)には,旅行業や交通運輸業,宿泊業,レジャー産業やブライダル産業など,数多の業種がある。その裾野は広く,かつ外縁を広げており,私たちの社会経済に多くの恩恵をもたらしている。それは産業界のみならず,受け入れる地域の側においても同様で,観光政策の立案や実際の観光行政には,観光計画の知識および観光地経営の視座が求められる。さらには,誰ひとり取り残されない社会の構築に向けてユニバーサルツーリズムへの取り組みが加速しており,国際的な時事にも明るくなくてはならない。これらの知識を網羅した一冊を,観光研究の第一線で活躍する執筆陣でまとめ上げたのが本書の特徴である。

 わが国がめざす「観光立国」の実現には,観光マネジメント人材(観光経営人材)の育成が喫緊の課題である。観光の職に就いたとき,社会人としての第一歩は現場からのスタートになるのが通例だ。現場では,机上における知識だけでは通用しない事象にも遭遇することだろう。語学力はもちろん,高度なコミュニケーション能力やチームワーク力,そして高いホスピタリティ精神や「利他共生」の心も求められる。月日を重ねて現場での研鑽を積み,やがてマネジメント候補生として次なるステージで活躍するとき,本書における観光経営の基礎知識は必ずや役に立つはずだ。

 「ヒトやモノが動けば,カネが動く」というのは経済学の原理原則だが,経営学においては,この「ヒト・モノ・カネ」に,さらに「情報」が加わり,それらを経営資源と呼んでいる。企業が最大効果を生むためには,こうした経営資源を最適配分して効率的に活用し,リスク管理を徹底させることが重要で,それをマネジメントという。

 あなたが将来,観光産業や自治体,地域等でマネジメントをする側に立ったときのことを思い描いてほしい。簿記・会計の知識をもって財務を管理することになるかもしれない。どうやったら自社の商品やサービスが売れるのか,マーケティングや消費者行動における学術的な知識も必要になってくるだろう。これらの例からも,観光と経営のそれぞれを学ぶことの重要性と,その意義を理解できるだろう。

 観光は,世界最大のサービス業といわれる。かつて「ものづくり大国」と呼ばれたわが国・日本が,「観光立国」をめざすようになって久しいが,観光経営人材の育成は緒に就いたばかりである。そもそも観光産業は,天変地異や戦争,テロなどの争乱,疫病の影響を受けやすく,また,経済危機や為替の変動にも左右されやすいため脆弱性が高い。そうした特異な産業を,日本の基幹産業に押し上げるためには,現場をマネジメントできる力を涵養することが重要であると筆者は考える。

 観光にはライバルがつきものだ。観光地の地域間競争は日々,激しさを増しているし,観光における国際競争力は一朝一夕には培うことができない。観光産業に従事したいと望んでいる若い読者の皆さんには,英知をもって日本の観光立国実現に寄与・貢献できるよう,毎日を切磋琢磨してもらいたい。

 本書の出版にあたっては,建帛社の筑紫和男社長ならびに編集部の方々に大変お世話になった。内容の精査や調整にあたって,辛抱強くご対応いただき,多大なるお力添えを賜った。共著者を代表して,この場をお借りして深く御礼申し上げたい。

 本書は,シラバス(授業計画)でいう事前学習・事後学習にも対応したつくりとなっている。これから観光経営を学ぼうとする人,はたまた教壇で観光ビジネス科目を教える教員の方々

にとって座右の書となることを祈念する。

2024 年 8 月

編著者 千葉 千枝子

編著者 千葉 千枝子

目 次

序 章 観光とその効果

1 観光とツーリズム

2 観光がもたらす効果―メリット・デメリットー

第1章 観光の経営学

1 起業と経営

2 経営学の定義と区分

3 企業理念の定義と理解 

4 経営学における企業経営の概念

5 観光における消費者の購買決定要因

6 サービス商品としての観光

7 顧客価値とサービス・エンカウンター

第2章 旅行業

1 旅行業とは

2 旅行業の役割

3 旅行業の歴史

4 旅行業の商品と種別

第3章 交通運輸業

1 航空行と空港運営

2 鉄道業

3 旅客自動車運送事業

第4章 宿泊業

1 旅館業法と宿泊施設の定義

2 旅館ビジネス

3 ホテルビジネス

4 宿泊業の魅力

第5章 レジャー産業

1 レジャー産業とレジャー施設事業の位置づけ

2 主な施設にみるレジャー産業の歴史

3 レジャー施設の事業特性と今後の方向性

第6章 ブライダル産業

1 近年のブライダル

2 ブライダル産業

3 ブライダルコーディネーターの業務

第7章 観光とマーケティング

1 観光マーケティングとは

2 シティホテルのコーヒーはなぜ高いのか

3 ブランドとパーパス

4 リレーションシップ・マーケティング

5 マーケティング戦略

6 まとめ

第8章 観光計画

1 観光計画の位置づけと役割

2 計画策定の流れと計画の構成

3 今後の観光計画に求められる視点

第9章 観光地経営

1 企業と経営

2 観光地と観光地経営

3 観光地経営の新たな司令塔―DMO―

4 観光地経営の具体的活動

第10章 観光政策と観光行政

1 観光政策

2 観光行政

第11章 ユニバーサルツーリズム

1 ユニバーサルツーリズム

2 ユニバーサルデザイン

3 障がいの社会モデル

第12章 国際関係と国際観光

1 国際関係と国際観光

2 国際観光と旅行収支

3 日本のインバウンド誘致の歴史

4 インバウンド増加の背景とオーバーツーリズム

5 JNTOが展開するマーケティング戦略

6 国際観光の発展と阻害要因

7 持続可能な観光とESG刊行経営

終 章 新たな観光の潮流と人材育成

1 アジア大交流時代とニューツーリズム

2 ミクロとマクロの視点で観光経営を考える

3 求められる観光マネジメント人材像とは

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書籍情報

シリーズ名・巻数
書籍名 観光経営学入門
著 者
分 野
シリーズ
ISBN 978-4-7679-4800-3
Cコード C3034
定 価 2,530円 (本体価格:2,300円)
発行年月日 2024年9月10日
版型・装丁 B5 並製
ページ数 152ページ
関連タグ