コロナ禍以降の観光需要の高まりや訪日観光客の増加とともに,地域のにぎわいが期待される一方,混雑の深刻化や住民生活への影響など,観光地が抱える課題はますます複雑化している。経験や勘のみに頼らず「旅行者はなぜその行動を選ぶのか」を科学的に理解し,持続可能な観光マネジメントへつなげる視点が必要とされている。
本書は,観光の基本概念から旅行者心理,移動・交通の捉え方,訪問地選択や旅行回数の分析,さらに行動変容やナッジの活用まで,観光行動を多角的に読み解く体系的な構成が特長である。土木計画学・都市計画・行動経済学・心理学などの知見をベースに,ビッグデータやAI時代にも対応可能なエビデンスに基づくアプローチをわかりやすく紹介する。地域ブランドの構築や観光コミュニケーションの実践など,現場ですぐ役立つ内容も充実。
観光系学部の学生はもちろんのこと,観光行政やDMO,まちおこしに携わり始めた社会人にとって,観光行動の「本質」と「実務への応用」が一冊で身につく,必読の入門書。