
令和8年1月1日
2026年は武庫川大学への助走の年
武庫川女子大学学長 髙橋享子この著者の書いた書籍
武庫川女子大学は,2027年4月に共学化し「武庫川大学」となる。日本最大の女子大学が共学化することに,我々の想像を超える大きな反響があった。少子化と女子大離れによる大学経営の難しさを論じるメディアの報道も多く,「女子大宣言」をする大学が現れるなど,共学化論争も巻き起こした。
武庫川女子大学は,決して後ろ向きの理由で共学化するのではない。むしろ女子大ルーツの特色ある共学像を打ち立てるため,「研究力とダイバーシティで旋風を起こす大学」を掲げ,新たな共学化に挑むのである。
武庫川女子大学の母体となる武庫川学院は1939年,教育者・公江喜市郎が女性に高等教育を提供しようと創設。2026年で87周年を迎える。1949年に開学した大学は2026年現在,13学部21学科,大学院8研究科14専攻を有し,約1万人が学んでいる。
武学当時,2%程度だった女性の大学進学率は,いまや50%を超え,本学としては所期の目的を達したと受け止めている。にもかかわらず,日本はいまだジェンダーギャップ指数で世界の下位に低迷している。本学は,ジェンダーや多様性への理解促進,キャリア形成について特色ある教育を推進してきた。しかし,社会を変えるには,この学びを男性にも広げる必要があると痛感している。ジェンダーバイアスに縛られない価値意識を,性別にかかわらず醸成し,互いの理解を深めることが,真の男女共同参画社会を実現するうえで不可欠である。
女子高校生の女子大離れも進んでいるが,これは,女性活躍の質的変化の投影であろう。いまや社会は男女の区別なく,リーダーや管理職で活躍する人材を求めている。2025年10月には我が国初の女性首相が誕生した。「ガラスの天井」と呼ばれた女性の管理職比率の低さはこれを契機に上向くと期待される。
筆者自身,武庫川女子大学の卒業生であり,2025年4月に本学初の女性学長に就任した。食物栄養の研究者として歩み出したころは,まだ研究職も男性中心で「男性の倍働かなければ」という気負いがあった。卒業して数年後,ようやく男女雇用機会均等法ができ,現在は働く女性が全労働人口の46%に達している。また,2024四年には,男性の育休取得率が40%を超え,日々の家事から子育て,介護と仕事の両立は男女問わない課題となっている。
ここのように多様化する社会において,本学の幅広い学問分野を,性別,国籍,年齢の枠を超えて開くことは女子総合大学の責務であり,分断や対立を遠ざけて平和な社会を築く立学の精神にも合致する。本学は科研費採択率などを指標とする研究力でも常に私立大学の上位につけており,多様な価値観が加わることで,さらなる研究活動の活性化が期待できる。
2026年は「武庫川大学」への助走の年。「女子大学で培った特色ある教育」を継承し,「理系教育の振興」や「中高大・大学院一貫教育による研究力の推進」に取り組み,学生が自分らしく一生を描ききる力を得られる唯一無二の大学を目指したい。
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