ブライダル論

結婚を読み解く ブライダル論 ―文化・社会・産業―

著 者
発行年月日
2026年9月1日
ISBN
978-4-7679-4804-1
Cコード
C3036
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定価 2,530円(本体価格:2,300円) 在庫あり

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内容紹介

 「ブライダル」とは,単に「結婚」という営みにおける“結婚式”を指すのではなく,社会制度,家族構造の変化,文化的儀式,さらには産業としての広がりを含む総合的概念である。

 結婚は,時代や地域,宗教や社会制度によって形を変えながらも,人類の歴史とともに歩んできた最も普遍的な文化のひとつであり,ブライダルはその営みを支え,かたちづくる総合的領域として発展してきた。

 婚礼の歴史や儀式作法を扱った「文化論」や,家族社会学や結婚観の変化を論じた「社会学的研究」,ブライダル産業の経営やマーケティングを扱った「ビジネス書」は,それぞれ数多く存在するが,それぞれ単体では「ブライダル」を学ぶには不十分なのである。

 そのため,それら三つの領域を有機的に結びつけ,「ブライダル」の全体像を提示するために,本書は刊行された。

 本書は,幅広い視点からブライダルを多角的にとらえることができる。婚礼に込められた文化的意味を読み解く眼差し,結婚や家族をめぐる社会構造の変化を見つめる視座,そしてブライダル産業を支える経営的・実務的な視点──これらを段階的に学ぶことで,ブライダルという営みがもつ奥行きと豊かさが,はじめて立体的に浮かび上がってくるはずである。

 本書は「ブライダル」の概念へと続く知的探究の確かな出発点となる一冊である。

まえがき

はじめに 

 結婚という営みは,人類の歴史とともに歩んできた最も普遍的な文化の 1 つである。二人の人間が結ばれ,新たな家族や共同体を築いていくこの営みは,時代や地域,宗教や社会制度によって様々な姿をとりながら,洋の東西を問わず脈々と受け継がれてきた。そして現代の日本において,その営みを支え,かたちづくる総合的な領域として発展してきたのが「ブライダル」である。

 ブライダルは,長い歴史の中で育まれてきた婚礼文化や宗教儀礼,結婚や家族をめぐる社会制度の変容,そして現代における一大サービス産業としての広がりまでを含む,極めて重層的な概念である。すなわちブライダルとは,文化・社会・産業という 3 つの領域が交差する地点に立ち現れる,学際的なテーマなのである。

 近年,日本社会では未婚化・晩婚化の進行,家族形態の多様化,価値観の個人化など,結婚をめぐる環境が大きく変化しており,ブライダル産業もまた,こうした社会の変化に応じてその在り方は変様してきている。ゆえに,ブライダルを学ぶ者には,目の前の儀式や商品の表層だけではなく,その背後にある歴史的厚みと社会的文脈を見通す力が求められている。

 しかしながら,ブライダルを学ぼうとする学生にとって,文化・社会・産業の三領域を横断的かつ体系的に学べる書籍は,これまで決して十分とはいえなかった。婚礼の歴史や儀式作法を扱った文化論,家族社会学や結婚観の変化を論じた社会学的研究,ブライダル産業の経営やマーケティングを扱った実務書はそれぞれ数多く存在するものの,それらを 1 冊の中で有機的に結びつけ,ブライダルという営みの全体像を提示するテキストは,見当たらなかった。本書はこうした背景を踏まえ,これら三領域を包括的に学べる教材として刊行するに至ったものである。

 本書を手に取る読者には,幅広い視点でブライダルを多角的にとらえていただきたい。婚礼に込められた文化的意味を読み解く眼差し,結婚や家族をめぐる社会構造の変化を見つめる視座,そしてブライダル産業を支える経営的・実務的な視点─これらを段階的に学ぶことで,ブライダルという営みがもつ奥行きと豊かさが,はじめて立体的に浮かび上がってくるはずである。そしてその学びは,やがてブライダルにかかわる仕事に就く者にとっても,また自らの人生の節目に立つ一人の人間としても,確かな知的基盤となるに違いない。

 最後に,本書の刊行にあたっては,企画段階から編集・校正・装丁に至るまで,建帛社の皆様より多大なるご尽力を賜った。とりわけ,本書の意義をご理解いただき,刊行の機会を与えてくださった編集部の方々には,心より深く感謝申し上げる。皆様の温かいご支援なくして,本書が世に出ることはなかった。

 本書が,これからブライダルを学ぶ読者の皆さんにとって,知的探究の確かな出発点となることを心より願っている。

 2026 年 8 月

国奥真奈美

目 次

序章 ブライダルとは何か

1 結婚の社会的意味

2 ブライダルの定義と語源

3 本書が扱う 3 つの領域

4 本書を貫く学びの視座

第 1 章 日本の結婚と家族関係

1 家族とは何か-その役割と機能

(1) 生産・労働機能  (2) 養育・教育機能  (3) 扶助機能

(4) 再生産機能  (5) 精神的機能-豊かな社会で重みを増す役割

2 明治期の家制度-「家」を基盤とした社会のしくみ

3 戦後の民法改正と家制度の解体

4 高度経済成長と核家族化-「近代家族」の形成

5 女性の社会進出と結婚観の変化

(1) 1980 年代  (2) 1990 年代

6 家族制度と結婚文化

7 まとめ

第 2 章 結婚の歴史と世界の結婚事情

1 結婚という制度を考える

2 日本の結婚の歴史

(1) 原始時代から奈良・平安時代の結婚  (2) 武家社会と嫁入婚

(3) 江戸時代の結婚  (4) 明治期から戦前までの結婚

(5) 近代の日本の結婚

3 西洋の結婚の歴史

(1) 古代ギリシャの結婚  (2) 古代ローマの結婚

4 世界の宗教と結婚

(1) 宗教と結婚のかかわり

5 まとめ

第 3 章 婚礼文化と儀式

1 婚礼文化とは何か

(1) 人生儀礼としての婚礼  (2) 婚礼儀式の社会的機能

2 神前式の様相

(1) 神前式の成立背景  (2) 神前式の特徴  (3) 式前準備と席次

(4) 神前式の儀礼の流れ  (5) 神前式の現代的意義

3 キリスト教式の様相

(1) キリスト教式の成立背景  (2) キリスト教式の特徴

(3) 式前準備と席次  (4) キリスト教式の儀礼の流れ

(5) キリスト教式の運営上の留意点  (6) キリスト教式の現代的意義

4 人前式の様相

(1) 人前式の成立背景  (2) 人前式の特徴  (3) 式前準備と席次

(4) 人前式の儀礼の流れ  (5) 人前式の運営上の留意点

(6) 人前式の現代的意義

5 仏前式の様相

(1) 仏前式の成立背景  (2) 仏前式の特徴  (3) 式前準備と席次

(4) 仏前式の儀礼の流れ  (5) 仏前式の運営上の留意点

(6) 仏前式の現代的意義

6 まとめ

第 4 章 婚礼衣装の文化

1 婚礼衣装の起源

2 日本の婚礼衣装の歴史的変遷

(1) 平安時代:貴族文化と「白」の神聖性の萌芽

(2) 室町時代:武家文化と白無垢の誕生

(3) 江戸時代:町人文化の台頭と色打掛の発展

(4) 明治時代:近代化と西洋文化の流入

(5) 戦中~現代:洋装化と多様化の時代

3 花嫁の和装婚礼衣裳の種類と文化的意味

(1) 白無垢:清純と誓いの象徴  (2) 色打掛:婚礼の華やぎと吉祥の願い

(3) 黒引き振袖:町人文化が育てた華やぎ

(4) 新郎の和装:黒紋付羽織袴の格式

4 洋装ウェディングドレスの歴史と文化

(1) 古代から中世:色とりどりの花嫁衣裳

(2) ヴィクトリア女王と白の時代

5 花嫁が顔を隠す文化:ベールと頭飾の意味

(1) ベールの起源と意味  (2) 頭飾:綿帽子と角隠しの由来

(3) 通過儀礼としての「変身」

6 婚礼衣装と社会・文化的意義の考察-衣装に映し出される社会制度

7 まとめ  

第 5 章 ブライダルの慣習

1 婚礼慣習の文化的・社会的位置づけ

2 日本の婚礼慣習

(1) 暦と六曜の考え方  (2) 見合い  (3) 三三九度

(4) ご祝儀  (5) 水 引

3 西洋の婚礼慣習

(1) サムシングフォー  (2) ウェディングケーキの歴史

(3) ブーケとブーケトス  (4) ユニティキャンドル

4 婚礼のプロトコール

(1) 装いの注意  (2) 食事の注意  (3) 贈答・振る舞いの注意

5 まとめ

第 6 章 現代日本の結婚・恋愛をめぐる現象

1 はじめに-「結婚」を現象としてとらえる

2 結婚の社会的な様相

(1) 婚姻件数と初婚年齢の長期推移

(2) 平均初婚年齢の上昇と結婚時期の多様化  (3) 未婚化・非婚化

3 結婚意思と実態のギャップ

(1) 「しない」と「できない」-データでみる年代差

4 恋愛観の変化

5 結婚への動機と利点の認識

6 まとめ

第 7 章 未婚化に対する論説変容

1 はじめに-未婚化をめぐる多様な説明枠組み

2 「経済要因論」 雇用・所得不安説

3 「価値観変化論」 個人化と親密性の変容

4 「ロマンティック・ラブ・イデオロギー論」

5 「女性の経済的自立と結婚市場の変容論」

(1) 女性の自立仮設  (2) 結婚市場のミスマッチ仮説

(3) 「負の関係」の「世代逆転」

6 「未婚化=少子化直結論」

7 その他の論説

(1) 「地域格差論」  (2) 「ケア負担論」  (3) 「制度論」

8 まとめ-重層的因果としての未婚化

第 8 章 ブライダル産業の全体構造

1 ブライダル産業の概要と最新市場動向

2 ブライダル産業の定義と特徴

3 結婚式場業を中心としたブライダル市場の動向

4 婚姻件数の推移と将来予測

5 結婚式,披露宴の現状と価値観の多様化

6 新婚旅行市場

7 新生活商品市場(インテリア・家具,電化製品)

8 ブライダルジュエリー市場

9 結納・顔合わせ市場

10 結婚情報サービス・仲介業

11 まとめ

第 9 章 ブライダルマーケティング

1 はじめに-ブライダル産業が直面する構造的転換

2 ブライダル産業の市場動向と外部環境の変化

(1) 婚姻件数の長期的減少と市場縮小

(2) 市場の二極化と新たな需要構造

3 ブライダルマーケティングの定義と理論的背景

(1) 日本におけるマーケティング活動の変遷

(2) ブライダルマーケティングの定義

(3) サービスマーケティングの特性とブライダルへの適用

(4) 価値共創(co-creation of value)の概念

4 競争環境の変容-業態間競争とプラットフォームの台頭

(1) ブライダル業態の多様化と価格戦略の課題

(2) 会場紹介型プロデュース企業の台頭とプラットフォーム

(3) フォトウェディング市場の台頭

5 ブライダル商品の特性

(1) 人生儀礼性と高い感情価値  (2) 文化創造性と時代先行性

(3) 意思決定構造の特異性

(4) 体験商品としてのサービス特性と統合的理解

6 ブライダルマーケティングの戦略

(1) 体験価値設計戦略  (2) 関係性構築戦略

(3) 顧客接点戦略と戦略統合の視点

7 まとめ

第 10 章 ブライダル販売促進と新規市場

1 はじめに

2 販売促進の役割と基本概念

(1) 販売促進とは何か  (2) ブライダル販売促進の 3 段階

3 ブライダルフェアと広告宣伝の実際

(1) ブライダルフェアの意義と機能

(2) ブライダルフェア来場者の行動変容

(3) ブライダルフェア企画・運営のプロセス

(4) 広告宣伝の種類と媒体特性  (5) 広告予算の設定方法

4 テクノロジーとデジタルマーケティングの活用

(1) デジタルマーケティングの四層構造

(2) DX・AI の活用と次世代フェアの可能性

5 新規市場と拡大要因

(1) なぜ新規市場の開拓が必要か

(2) セカンドウェディング市場:再婚という新たなブライダル需要

(3) 新規市場開拓に向けた商品・サービス開発の方向性

6 まとめ

終章 これからの結婚とブライダルの未来

1 多様化する家族と結婚

2 伝統と時代先行型の産業構造

3 ブライダルとデジタル化の融合

4 未来のブライダル

5 結びにかえて

さくいん

第 10 章 ブライダル販売促進と新規市場

終章 これからの結婚とブライダルの未来

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書籍情報

シリーズ名・巻数
書籍名 ブライダル論
著 者
分 野
シリーズ
ISBN 978-4-7679-4804-1
Cコード C3036
定 価 2,530円 (本体価格:2,300円)
発行年月日 2026年9月1日
版型・装丁 B5 並製
ページ数 144ページ
関連タグ