社会的養護演習

著 者
発行年月日
2020年2月5日
ISBN
978-4-7679-5123-2
Cコード
C3037
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定価 2,200(本体価格:2,000円) 在庫あり

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内容紹介

2019年度より実施の保育士養成課程「社会的養護Ⅱ」に対応。

家庭養護の推進に向けた動向を収載し,各章の演習では具体的な手順を解説。

まえがき

はしがき

 子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)が1989 年に国連総会で採択されてから30 年以上が過ぎ,いわゆる「子どもの最善の利益の尊重」をキーワードとして,権利を行使する主体として子どもを捉えることになりました。2016 年には児童福祉法が改正され,児童福祉の理念に「児童の権利に関する条約の精神」という言葉が位置づけられ,すべての子どもは,社会全体で育まれ,この社会で幸せに生活する権利を有することが明記されました。

 しかしながら一方で,その最善の利益が尊重され難い家庭環境や状況にある子どもが少なからず存在しているのも事実です。そうした子どもたちの生活や権利保障するために,社会的養護等の仕組みや実践があり,それを担う重要な人材として「保育士」が位置づけられているのです。

 さて,本書『社会的養護演習』は,保育士を養成する課程における必修科目「社会的養護Ⅱ」のテキストです。

 この科目は,厚生労働省の基準によると,①子どもの理解を踏まえた社会的養護の基礎的な内容について具体的に理解する,②施設養護及び家庭養護の実際について理解する,③社会的養護における計画・記録・自己評価の実際について理解する,④社会的養護に関わる相談援助の方法・技術について理解する,⑤社会的養護における子どもの虐待の防止と家庭支援について理解することを目標としています。

 本書は,これらの内容を網羅するだけでなく,より家庭的な環境における養護の推進について,最新の動向を盛り込んでいます。また,各章の演習では具体的な手順まで詳細に解説することにより,社会的養護の内容を体系的かつ具体的に学べる内容となっています。

 なお,「保育」というと,対象として就学前の子どもを中心に考えがちですが,社会的養護においては18 歳未満,ときには22 歳までの子どもを利用者として考えなくてはなりません。そうしたことも含めた「保育」の基本について再考する必要があり,保育士養成のあり方や,いわゆる「施設保育士」の養成についても検討するときが来ていると言えます。

 さらに,保育における今日的緊急課題として,人材不足が挙げられており,国は「子育て支援員」制度を導入し,研修修了者が子育て支援員として従事できるようにしました。しかし,人材の量的拡大を急ぐあまり保育の質的保障が置き去りにされてはなりません。すなわち,有資格保育士の存在意義,あるいは専門性が改めて問われているのです。

 本書を通じて,社会的養護の具体的な内容・実践を学ぶだけでなく,このような社会的課題に対する関心・問題意識について学生が認識し,考えていくきっかけとしていただければと思います。

 本書を出版するにあたり,社会的養護について保育士養成校で教鞭をとり,あるいは研究されている先生方だけでなく,児童福祉施設等の現場に長年携わっている経験豊かな先生方にも原稿をご執筆いただき,知見を拝借致しました。お忙しい中でご協力いただき大変お世話になりました。また建帛社編集部には,企画・編集・進行等において様々なご配慮を賜り,心より御礼申し上げます。

 本書に不備な点等がありましたら,今後改めていきたいと存じますので,ご意見・ご叱正を頂ければ幸いです。

2020 年1月

編者を代表して 安藤 和彦

目 次

第1部 社会的養護の体系と課題,権利擁護・保育士の倫理

序 章 社会的養護の機能と枠組み

1.社会的養護の理念と機能

2.社会的養護の実施体系

3.里親制度の概要

第1章 社会的養護の課題

1.社会的養護の共通事項の課題

2.社会的養護における家庭支援

第2章 社会的養護を利用する子どもの権利擁護

1.社会的養護と子どもの権利

2.社会的養護における権利擁護の取り組み

第3章 社会的養護にかかわる保育士の倫理および責務

1.社会的養護にかかわる保育士の役割

2.社会的養護にかかわる保育士の倫理に関する指針

第2部 社会的養護の支援の計画と内容

第4章 社会的養護における支援の計画と記録および評価

1.アセスメントと自立支援計画の作成

2.社会的養護における記録

3.社会的養護における評価

第5章 施設入所と個別支援計画(アドミッションケア)

1.社会的養護施設への入所と個別支援計画

2.障害児入所施設への入所と個別支援計画

第6章 社会的養護施設による日常生活支援(インケア)

1.施設の日常生活

2.基本的生活習慣の確立

3.治療的支援

第7章 障害児入所施設における日常生活(インケア)

1.施設の日常生活

2.基本的生活習慣の確立

3.治療的支援

第8章 自立支援と退所後の支援(リービングケア・アフターケア)

1.社会的養護施設における自立支援と退所後の支援

2.障害児入所施設における自立支援と退所後の支援

第3部 社会的養護にかかわる専門的技術

第9章 基本的生活習慣にかかわる専門的技術

1.衣食住

2.身辺自立

3.余暇活動

第10章 学習・学校にかかわる専門的技術

1.学習支援

2.学校との連携と学校生活

3.進路・進学の支援

第11章 対人関係・社会生活にかかわる専門的技術

1.対人関係にかかわる支援

2.社会生活にかかわる支援

第12章 家庭支援のためのソーシャルワーク

1.家庭と連携

2.親子関係の再構築に向けた支援

第13章 里親委託児童の支援

1.里親委託児童の養育

2.実家族との交流

3.養子縁組制度

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書籍情報

シリーズ名・巻数
書籍名 社会的養護演習
著 者
分 野
シリーズ
ISBN 978-4-7679-5123-2
Cコード C3037
定 価 2,200円 (本体価格:2,000円)
発行年月日 2020年2月5日
版型・装丁 B5 並製
ページ数 152ページ
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