保育士養成課程における「子ども家庭支援論」に対応するテキスト。
子どもとその家庭への支援についての知識を学ぶだけでなく,巻末の事例編を用い,演習的な学習も可能。法制度の改正に伴う改訂版。
保育士養成課程における「子ども家庭支援論」に対応するテキスト。
子どもとその家庭への支援についての知識を学ぶだけでなく,巻末の事例編を用い,演習的な学習も可能。法制度の改正に伴う改訂版。
読者の皆さんは,「子ども」や「家庭」を「支援」する方法に関して,さまざまな認識をもっていることだろう。そのため,このテキストは,子ども家庭支援に対する多様なアプローチに応えられるよう編集を心がけている。
本書の前身は「家族援助論」,「家庭支援論」のテキストとして出版,改訂されてきたものである(初版 2010 年)。このたび 2019 年度実施の保育士養成課程により科目名が「子ども家庭支援論」に変更され,内容も改められたことに伴い,その対応テキストとして,稿を改め,発行するものである。
筆者は第1章において,子ども家庭支援とは「支援を必要とする子ども家庭に働きかけて,当該子ども家庭に必要な生活上の機能や役割が円滑に果たされるよう,また回復できるよう支援すること」と定義した。子ども家庭の構成メンバーだけでは解決できない場合,彼らは第三者の支援を必要とすることになるだろう。その場合の社会的な行為が,子ども家庭支援における諸施策として具現化されるのである。つまり,子ども家庭支援は「子ども家庭の生活上のセーフティ・ネット」としての機能をも果たすことになる。
もし,子ども家庭支援を必要とする人たちが当該地域に存在し,緊急な支援を必要としているのであれば,私たちは,マンパワーとしてそれに応える専門的力量を備えておく必要があるのではないだろうか。そのマンパワーの活躍の場が多岐に渡るものであるとすれば,子ども家庭支援の仕組みそのものが,多様なかかわりの中で機能することを意味する。
結果的に,子ども家庭支援論を学ぼうとする者がマンパワーとして実践する中で,「子どもや家族にかかわる実践をすることができて,本当によかった」と実感してほしいと願うのである。
多様な専門分野の執筆陣によって構成されたこのテキストには,そのような想いが込められている。そしてその執筆陣の努力に感謝を申し上げたい。最後に,この企画の構想を私たち執筆陣に提案していただき,専門分野の異なる執筆陣を辛抱強くまとめてくださった建帛社の宮﨑潤氏には,心より感謝を申し上げる。
2019 年3月
編 者 植木 信一
国の子ども家庭支援の動向が新たな局面を迎えている。2023(令和5)年4月,厚生労働省等から子ども家庭施策が分離され,「こども家庭庁」が発足した。また,こども家庭庁の発足と同時に「こども基本法」が施行され,「こども」についての定義や権利,施策について定められた。その他,児童福祉法など子ども家庭支援に関連する法令の改正が進められた。
この,こども家庭庁のキャッチフレーズが「こどもまんなか社会」の実現である。すなわち,すべての子どもや若者が,児童福祉法,こども基本法,児童の権利に関する条約等の精神をふまえ,生涯にわたる人格形成の基礎を築きながら自立した個人として健やかに成長でき,心身の状況や置かれた環境等にかかわらず幸せな状態(ウェルビーイング)で生活できる社会のことである。
これらを受けて,このたび本書の改訂版を発行することとした。施策・法令への対応のみならず,巻末の事例集もテーマをそのままに時代に即した形で内容を一新し,統計データ等の更新を行うなど,最新の情報を盛り込んだテキストになるよう編集を心がけた。
本書が学生のみならず,子ども家庭支援の現場スタッフにもご活用いただければ幸いである。
2024 年3月
編 者 植木 信一
第1章 子ども家庭支援の意義と役割
1 子ども家庭支援の意義と必要性
2 子ども家庭支援の目的と機能
3 子ども家庭支援の現状と課題
4 保育所保育指針等にみる子ども家庭支援
第2章 子ども家庭支援の視点
1 子どもを含めた「家庭」を支援するということ
2 施策から実践への枠組み
3 家族関係と子ども家庭支援の方法
第3章 保育者による子ども家庭支援の意義と基本
1 保育の専門性を生かした子育て家庭への支援とその意義
2 保育者に求められる基本的態度
第4章 子ども家庭支援のための法制度と社会資源
1 法制度・社会資源(関係機関)を学ぶ意味
2 法 制 度
3 主な社会資源(関係機関)
4 子育て支援における社会資源との連携
第5章 子育て支援サービスの意義と実際
1 子育て支援サービスの必要性
2 子育て支援サービスの意義
3 子育て支援・次世代育成支援に関する法制度・プランの沿革と内容
4 子育て支援サービスの内容
5 育まれる親の環境としての保育者
第6章 保育の場における日常的な子ども家庭支援
1 保育・教育施設での日常生活における支援
2 放課後児童クラブにおける支援
第7章 地域子育て支援活動における子ども家庭支援
1 地域子育て支援における子ども家庭支援
2 地域における多様な子ども家庭支援
第8章 対象別にみた子ども家庭支援
1 障がいのある子どものケースへの対応
2 要保護児童への対応
3 さまざまな形の家庭への支援―ひとり親家庭,再婚家庭など―
4 多文化化への対応
第9章 子ども家庭支援のためのソーシャルワーク
1 ソーシャルワークの実践方法
2 ソーシャルワークのプロセス
3 保育現場の固有性
第10章 子ども家庭支援のためのカウンセリングマインド
1 対人関係の基本
2 保育者による子ども家庭支援
3 大切な心理的ケア
子ども家庭支援に役立てる事例集
保育士養成課程,社会福祉士養成課程ほかの「子ども家庭福祉」(児童福祉論)に対応した教科書。子どもの人権を基盤に据えて,子どもの問題の背後にある社会の問題を意識して論ずる。
2019年度より実施の保育士養成課程「社会的養護Ⅱ」に対応。家庭養護の推進に向けた動向を収載し,各章の演習では具体的な手順を解説。
保育士養成課程「子ども家庭福祉」対応の四訂版。貧困・外国籍・家庭支援など,子どもの福祉に関して幅広いテーマへの対応を模索する。
保育士養成課程教科書。統計および法令の記述を更新した「第2版」。こども家庭庁ほか,最新の情報に基づき改訂。より充実した内容に。
各章に「アウトライン」の頁を設け,初学者が要点を把握して概要を俯瞰しながら学習できる社会福祉の入門書。社会福祉における各分野の実態や今日的な課題・動向,最新の統計や法改正等を踏まえた三訂版。
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