スポーツ栄養学における最新の研究成果を踏まえ,現時点でのエビデンスを競技別・対象別に整理。
国内外の競技団体による食事関連の指針や,IOC(国際オリンピック委員会)・ACSM(アメリカスポーツ医学会)などの指針・見解の根拠となった原著論文に当たり,競技種目ごとに適切なエビデンスを示す。
公認スポーツ栄養士による実際のサポート,献立例等も掲載。
管理栄養士,公認スポーツ栄養士,メディカルスタッフ,スポーツ指導者など,アスリートを取り巻くスタッフのサポート現場での手引きに。
競技種目別のスポーツ栄養の専門的な本ができないかと相談をいただいたとき,まず,競技種目別に記載ができるほどのエビデンスや資料は現時点ではないと考えた。同時に,たとえ十分なエビデンスがなくても,既存の資料を活用して試行錯誤を重ねながら,いろいろな競技種目において栄養サポートに取り組んでいる仲間が思い浮かんだ。本書『エビデンスに基づく競技別・対象別スポーツ栄養』の執筆者選定にあたっては,関連するエビデンスを熟知しており,執筆に際し改めて資料のレビューができること,執筆を担当する競技や対象の栄養サポートに取り組んでいることを条件とした。建帛社の担当者には,エビデンスがない部分は「ない」と記載することを了解いただいた。その上で,執筆者には活用し得る既存のエビデンスにはどのようなものがあるか,既存のエビデンスをどのように活用しているか,実際にどのような栄養サポートを行っているかということについて,各種目あるいは状況別に記載をしていただくこととした。さらに,献立については1日分を掲載するだけでは,何年にも及ぶトレーニング期間の食事に活用することはできないが,公認スポーツ栄養士が実際に業務にあたる場合に,エビデンスをどのように食事に落とし込んでいるかを読者に知っていただくために,献立の掲載もお願いした。そのため,限りある紙幅の中で,競技人口が多い種目,あるいは栄養サポートが重要である種目でありながら,今回は取り上げることができなかった競技種目が生じてしまった。読者の方々には,なぜこの種目がないのだろうかと思われるものがいくつかあると思うが,このような事情をご理解いただきたい。
すべての競技種目,性,年代,トレーニングや試合の時期などを考慮すると,スポーツ栄養の研究は果てしない。本書の原稿執筆中にも新しいエビデンスが示され,追加した部分もあるし,追加することが間に合わなかった資料もある。願わくば,本書が定期的に改訂されて,新しいエビデンスの追加や,新たな競技種目の追加をしていきたい。一方で,すべての競技種目,年代やトレーニング期について,研究が進むことは不可能である。他の章とは少し内容が異なる「エビデンス(事例報告)をまとめる」を加えたのは,そのような事情による。実践現場で活躍している方々が,既存のエビデンスに基づいて栄養サポートを行ったらどのようになったかという報告も,重要なエビデンスだからである。本書の読者の皆様が,改訂版では執筆者や活用されるエビデンスの作成者になってくださることにも大いに期待している。
最後に,さまざまな事情から,本書の執筆・編集がたびたび停滞し,当初の予定から何度も刊行時期の変更を余儀なくされた。そのような中でも,忍耐強く,温かく取り組み続けていただいた建帛社の加藤義之氏には,心からの御礼を申し上げる。
2021年3月
編著者 髙田 和子
田口 素子
1. 栄養サポートの基本的な考え方
2. 競技種目別
2-1 陸上競技(中・長距離)
2-2 水泳競技
2-3 柔道
2-4 サッカー
2-5 野球
2-6 卓球
2-7 ボート
2-8 冬季スポーツ競技
3.対象・目的別
3-1 成長期(小・中学生)
3-2 青年期(高校・大学生)
3-3 女性アスリート
3-4 障害者スポーツ
3-5 急速減量
3-6 増量
3-7 国内・海外遠征
4.エビデンス(事例報告)をまとめる
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