食品の一般成分分析法を軸として,応用分析法として機器分析定量法,また生化学領域の分析法や検査法等を解説し,分析テーマ選択の幅を広げる構成とした。農学部等の食品化学コース,管理栄養士養成コース向け。
内容紹介
まえがき
まえがき
食品分析学は,食品の一次機能(栄養機能),二次機能(感覚機能),三次機能(生体調節機能)に関わる成分の分析,及び機器分析に関する原理について学習する学問であり,本書はこれらを学習し,理解するために編集された教科書です。
本書は食品科学コース(農学部,薬学部,理工学部,工学部等),管理栄養士養成コース(主に4年制大学),栄養士養成コース(主に短期大学)で学ぶ学生を対象にしています。食品学の学習と並行して学べるように,構成としてまずは分析する食品の成分がどのようなものであるか,食品化学の基礎知識を前置きとして説明し,その後で食品分析の原理,及び分析法を学べるように編集しました。一般成分分析法(第1章)は,日本食品標準成分表2015年版(七訂)の栄養素の掲載順序に合わせ構成し,続いて応用分析法としての機器による成分分析の基本操作と定性・定量(第2章)及び,生化学領域の分析法・検査(第3章)についても掲載しました。さらに農薬,放射性物質等の人に害を及ぼす危害要因物質の食品分析法について解説し(第4章),最後の章では,分析結果の信頼性を保証するために重要な考え方を述べました(第5章)。また,図表を多く取り入れ,視覚的にも学べるように工夫し,各項目の最後に演習問題を設け,理解度を確かめられるよう工夫しました。
この教科書で学ぶ学生は,次の目標をもって学んでほしいと思います。まずは,食品成分の分析法を学ぶことにより,様々な食品成分の特性,機能性を理解することができるようになること,さらに食品成分の分析,及び解析の知識を得ることにより,食品を評価する基準をもち,しっかりと評価できるようになることです。
多くの学生に本書を活用していただき,食品及び食品分析に興味をもち,学ぶことの楽しさ,分析することのおもしろさを知ってほしいと思います。食品分析学を通じて,物の見方,考え方を学び,柔軟な化学的思考を養ってほしいと思っています。
本書の出版にあたり,大変なご尽力くださった建帛社の皆様に心から深く感謝申し上げます。
2020年7月
編者 谷口亜樹子
目 次
序 章 食品分析学の基礎知識
1.定性と定量
2.データの取り扱い
第1章 食品の一般成分分析
1.試料の調製と採取法
2.水分の定量
3.たんぱく質の定量
4.脂質の定量
5.炭水化物の定量
6.食物繊維の定量
7.灰分・無機質の定量
8.熱 量
9.ビタミンの定量
10.有機物の定量
11.核酸関連物質の定量
12.色素の分析
13.香気成分の分析
14.機能成分の分析
第2章 機器分析による食品成分の基本的操作と定量法
1.pHガラス電極法
2.紫外・可視分光分析法
3.蛍光・化学発光分析法
4.赤外分光分析法
5.近赤外分光法
6.原子吸光法とICP発光法
7.液体クロマトグラフィー法
8.ガスクロマトグラフィー法
9.電気泳動法
10.核磁気共鳴法
11.質量分析法
12.物性測定法
第3章 生化学領域の分析法と検査
1.酵素を用いた分析法
2.免疫学的反応を用いた分析法
3.培養細胞を用いた試験
4.食品の官能評価
第4章 食品の危害要因物質の分析法
1.危害要因についての総論
2.抽出・精製:前処理法
3.分析装置と解析
第5章 分析における妥当性と品質
1.分析結果の品質
2.分析結果の品質管理
3.不確かさ
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