将来,食品企業での製品開発を志す大学生向けのテキスト。食品開発の経営学的側面(マーケティング,ブランディング,企画・研究開発,プロモーション施策等)の解説に加えて,技術的側面からの課題を実例に則しながら考察していくスタイルで食品開発論の体系化を試みた。
内容紹介
まえがき
まえがき
本書は,食品開発の理論を学生向けの教科書として体系的に教授することを目的としている。従来の食品開発に関する教科書は,経営学やマーケティング論に偏りがちであったが,本書では,技術とビジネスの両視点を重視し,食品の特殊性を考慮した構成を採用している。全 10 章を通じて,食品開発の全体像を余すことなく理解してもらうことを目指す。
1章では,社会環境の変化と食品開発の関係を歴史的視点から考察し,未来への示唆を探る。2章では,食品開発がもつ特有の性質を概観し,開発担当者に求められる考え方を解説する。3章では,企画・マーケティングの一般理論と食品開発への応用事例を紹介する。4章では,基礎研究から実用化研究へと進むプロセスを説明し,通常は詳細が語られることの少ない,企業における開発研究について,貴重な実例を交えながら具体的に解説する。5章と6章では,保存試験,消費期限・賞味期限の設定,包装材料の選定といった,食品開発プロセスにおける重要な技術要素を詳述する。7章では,開発によって生み出される知的財産の重要性を強調し,知的財産が企業の競争優位性の源泉となること,さらにライセンス契約やブランド拡張を通じて新たなビジネスチャンスを創出する可能性について論じる。8章では,食品開発における量産化の重要性を再確認し,開発した食品を実際に生産するための具体的なプロセスを解説する。9章では,プロモーションをテーマに,食品ならではの「おいしさ」を効果的に伝えるための可視化手法や,消費者の購買行動モデルを活用した販売戦略を紹介する。最終章となる 10 章では,食品のライフサイクルを販売戦略と環境負荷という 2 つの視点から分析し,持続可能な食品開発の実現には,俯瞰的な視点がますます重要になることを示唆する。
各章では,可能な限り実例を取り入れ,学生が実践を意識しながら理解を深められるよう工夫した。本書は,食品開発の学問体系の確立に向けた第一歩であり,食品開発を通じた新たな価値の創造に貢献することを目指している。食品企業での開発を志す学生には,本書を通じて食品開発の魅力を感じながら,必要な知識を体系的に学んでほしい。そして,本書で得た知識を活かし,課題解決能力を高め,将来,社会に貢献する食品開発者として活躍することを心から願っている。
2025 年 5 月
編著者 鈴木靖志
目 次
1章 社会環境と食品開発
2章 食品開発の特徴
3章 食品企業における企画・マーケティング
4章 食品企業における研究開発
5章 食品の保存・バリデーション・保存試験・食品製造基準書
6章 食品の包装
7章 知的財産の重要性
8章 量産化と製造現場の整備
9章 食品のプロモーション
10章 食品のサイクル
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