各疾患の病態生理/栄養アセスメント・モニタリング/栄養基準/栄養食事指導等,栄養状態を評価し栄養ケア・マネジメントを実践するための知識を詳述。最新の診療・介護報酬や学びを支える巻末資料も充実。
内容紹介
まえがき
五訂版序
2025年は「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となり,医療・介護のニーズが急速に増大し,地域包括ケアシステムの構築を目指した年である。
2000年に栄養士法の改正が行われ,管理栄養士の業務は従来の調理・食事指導から,対象者の栄養状態を評価・判定して栄養管理・栄養指導する専門職であること,すなわち視点が食物から人であることが明確にされた。そして2023年には,医療法施行規則の一部改正が行われ,医療従事者の職種として栄養士・管理栄養士が追加された。
一方,2010年の診療報酬改定以降,医療や福祉分野ではチームでの取り組みが報酬評価の対象となり,NST/摂食嚥下/透析予防/ICU等での早期栄養介入/経腸栄養管理/周術期,緩和/栄養マネジメント/経口移行などのチームへ,管理栄養士の配置が必須となった。2024年に行われた医療・介護・障害福祉報酬のトリプル改定では,リハビリテーション・栄養・口腔連携体制が明示され,入院後48時間以内にADL,栄養,口腔状態の評価を行い,ケア計画を立て取り組む多職種連携の推進が具体的に示された。
本書は,今日の臨床栄養管理に必要な知識の習得を目指している。編集にあたっては,「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)」に準じて構成し,「管理栄養士養成課程におけるモデルコアカリキュラム」,「日本人の食事摂取基準(2025年版)」,診療・介護・障害福祉報酬,各疾患ガイドラインを踏まえ,医療や福祉分野で活躍するために必要な知識・技術を網羅した。
なお,今回の五訂版の編集は,これまでお勤めいただいた渡邉早苗先生,松崎政三先生より,恩田理恵,調所勝弘が引き継いだ。執筆も,教育や臨床現場で活躍されている先生を新たにお迎えした新体制で,内容の充実を図った。管理栄養士・栄養士を目指す学生が「臨床栄養」に関する知識を得る教科書として本書が広く使用されることを願いつつ,読者からのご批判・ご教示をいただきながらさらに修正を重ね,より使いやすい教科書にしたいと願っている。
2025年3月
編著者一同
目 次
第Ⅰ部 臨床栄養管理総論
第1章 臨床栄養の概念
1.意義と目的
2.医療・介護保険制度の基本
3.医療と臨床栄養
4.福祉・介護と臨床栄養
第2章 傷病者や要支援・要介護者の栄養ケア
1.栄養ケアの目的と手順
2.栄養スクリーニングと栄養アセスメント
3.目標エネルギーおよび栄養素量の算定
4.栄養ケア計画
5.栄養ケアの実施
6.栄養モニタリング,再評価(リアセスメント)
7.栄養ケアの記録
第3章 薬と栄養・食品の相互ケア
1.医薬品と栄養ケア
2.栄養・食品が医薬品に及ぼす影響
3.医薬品が栄養・食品に及ぼす影響
第Ⅱ部 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント
第1章 栄養障害
1.たんぱく質・エネルギー栄養障害
2.ビタミン欠乏症・過剰症
3.ミネラル欠乏症・過剰症
第2章 肥満と代謝疾患
1.肥満
2.メタボリックシンドローム
3.糖尿病
4.脂質異常症
5.高尿酸血症・痛風
第3章 消化器疾患
1.口内炎,舌炎
2.胃食道逆流症
3.消化性潰瘍
4.たんぱく漏出性胃腸炎
5.炎症性腸疾患
6.過敏性腸症候群
7.下痢
8.便秘
9.肝炎
10.肝硬嚥
11.脂肪肝
12.胆石症
13.胆嚢炎,胆管炎
14.膵炎
第4章 循環器疾患
1.高血圧
2.動脈硬化症
3.狭心症,心筋梗塞
4.心不全
5.脳梗塞,脳出血,くも膜下出血
第5章 腎・尿疾患
1.急性糸球体腎炎
2.ネフローゼ症候群
3.急性腎障害(AKI)
4.CKD
5.糖尿病関連腎臓病/糖尿病性腎症
6.腎代替療法
7.尿路結石症
第6章 内分泌疾患
1.甲状腺疾患
2.副腎疾患
第7章 神経疾患
1.神経疾患,筋疾患
2.パーキンソン病・症候群
3.認知症
第8章 摂食障害
1.神経性やせ症
2.神経性過食症
第9章 呼吸器疾患
1.COPD(慢性閉塞性肺疾患)
2.気管支喘息
3.肺炎
第10章 血液系の疾患・病態
1.貧血
2.出血性疾患
第11章 筋・骨格疾患
1.骨粗鬆症
2.骨軟化症,くる病
3.変形性関節症
4.サルコペニア
5.ロコモティブシンドローム:運動器症候群
第12章 免疫・アレルギー疾患
1.食物アレルギー
2.その他のアレルギー
3.膠原病,自己免疫疾患
4.免疫不全
第13章 感染症
1.病原微生物
2.院内感染症
3.敗血症
第14章 が ん
1.がん
2.がんの治療
3.消化管のがん
4.消化管以外のがん
5.緩和ケアと終末期医療(ターミナルケア)
第15章 周術期
1.術前・術後の栄養ケア
2.胃・食道にかかわる術前・術後
3.小腸・大腸にかかわる術前・術後
4.消化管以外の術前・術後の栄養ケア
第16章 クリティカルケア
1.熱傷
2.外傷
第17章 摂食機能障害
1.咀嚼・嚥下障害
2.誤嚥
3.口腔障害,食道障害
第18章 身体障害,知的障害
第19章 乳幼児・小児の疾患
1.消化不良症(吸収不良症候群)
2.周期性嘔吐症
3.小児肥満
4.糖尿病
5.腎疾患
6.先天性代謝異常
第20章 妊産婦・授乳期の疾患
1.妊娠悪阻
2.妊娠糖尿病
3.妊娠高血圧症候群
第21章 老年症候群
1.転倒,失禁
2.フレイル
3.褥瘡
資 料
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