中学校・高等学校教員免許「保健体育」ならびに「保健」の取得に必修となる「保健科教育法」の講義テキスト。
「保健科教育法」を学ぶ学生はもちろん,中学校・高等学校で保健を担当する教師,さらには大学で「保健科教育法」を担当する大学教員をも視野に入れながら,質の高い保健の学習を展開する上で必要となる内容を凝縮してまとめる。学生,教師,大学教員それぞれがそれぞれに力量形成できるように配慮。
巻末に便利な参考資料リンク集を収載。
中学校・高等学校教員免許「保健体育」ならびに「保健」の取得に必修となる「保健科教育法」の講義テキスト。
「保健科教育法」を学ぶ学生はもちろん,中学校・高等学校で保健を担当する教師,さらには大学で「保健科教育法」を担当する大学教員をも視野に入れながら,質の高い保健の学習を展開する上で必要となる内容を凝縮してまとめる。学生,教師,大学教員それぞれがそれぞれに力量形成できるように配慮。
巻末に便利な参考資料リンク集を収載。
「保健の見方・考え方」を身に付けておく必要性を,今ほど切実に感じたことがこれまであったでしょうか。この文章を書いている2022 年は,2019 年から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大への対応が依然として続いています。この状況は,健康問題を地球的規模で考えることや,その克服に向けて幅広い連帯・連携が必要なこと,そして個人の行動様式の新たなあり方の模索といった多くの課題を我々に投げかけました。さらに,情報化が進んだ今日では,多くの情報が飛び交う中で,何が正しく,自分にとって何が必要で,それをどう取捨選択して自らの行動にいかすとよいのかといった課題にも直面しました。このようなことは感染症にとどまらず,生活習慣病や精神疾患,性の問題や安全にかかわる問題など,様々な健康問題に対しても生じています。
学校における保健の学習は,それを学ぶ者が生涯を通じて健康で豊かな生活を送るための基礎を培つちかうものです。保健の学習を通して,彼らが生涯を通じて健康で豊かな生活を送るに必要な「保健の見方・考え方」を深く身に付けてもらいたいと考えます。
2016 年12 月に示された中央教育審議会答申では,学校教育を通じて育む「生きる力」がより具体化され,①「何を理解しているか,何ができるか(生きて働く「知識・技能」の習得)」,②「理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)」,③「どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか(学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養)」という3 つに整理されています。そして,保健の学習が中心となる保健教育(特別活動,総合的な学習の時間,関連する教科等で行われる保健教育を含む)で育成される「健康・安全・食に関する力」について,「様々な健康課題,自然災害や事件・事故等の危険性,健康・安全で安心な社会づくりの意義を理解し,健康で安全な生活や健全な食生活を実現するために必要な知識や技能を身に付けていること。(知識・技能)」,「自らの健康や食,安全の状況を適切に評価するとともに,必要な情報を収集し,健康で安全な生活や健全な食生活を実現するために何が必要かを考え,適切に意思決定し,行動するために必要な力を身に付けていること。(思考力・判断力・表現力等)」,「健康や食,安全に関する様々な課題に関心を持ち,主体的に,自他の健康で安全な生活や健全な食生活を実現しようとしたり,健康・安全で安心な社会づくりに貢献しようとしたりする態度を身に付けていること。(学びに向かう力,人間性等)」という資質・能力にまとめています。
そのような背景を踏まえて企画された本書は,中学校・高等学校教員免許「保健体育」ならびに「保健」の取得に必修となる「保健科教育法」の講義テキストです。「保健科教育法」を学ぶ学生はもちろん,中学校・高等学校で保健を担当する教師,さらには大学で「保健科教育法」を担当する大学教員をも視野に入れながら,質の高い保健の学習を展開する上で必要となる内容を凝縮してまとめています。本書を使用することを通して,学生,教師,大学教員それぞれがそれぞれに力量形成できるように配慮しています。
本書第1 章では,このような資質・能力の解説,それに準じた中学校保健分野と高等学校科目保健の目標と指導計画の考え方とそれらの作成手順,そしてその資質・能力をどのように評i価していくとよいのかが解説されています。いわば第1 章は,理論編です。第2 章以降はそれに続く実践編となっています。ただし,第1 章で書かれた内容を踏まえて,第2 章,第3 章,第4 章が構成されていますので,第1 章は最初に読むだけではなく,続く第2 章,第3 章,第4 章を学ぶ際に,折に触れ確認されるとより理解が深まると思われます。
第2 章では,中学校での保健の学習について,第3 章では,高等学校の保健の学習について,内容のまとまりごとに節が構成され,学習指導要領解説に示された内容が整理され,授業展開例,教材づくりの例や発問の例がその解説とともに示されています。節の最初には,その節で身に付けることのできる「ねらい」が示されています。その「ねらい」をふまえて,途中にある「◆やってみよう」や,いくつかの節の終わりにある「振り返り」などに取り組むことによって,授業づくりの実践力を培ってください。また,特に指導にあたって留意することがあるものについては,「特設」での解説も参考にしていただきたい。
第4 章では,保健の学習指導案作成と講義内や演習授業で行われる模擬授業の手順が,具体例とともに丁寧に解説されています。ここでも「ねらい」と振り返りの問いが用意されています。実際に学習指導案を作成し,模擬授業を経験することは,それまで学んだことを具現化するものとなり,それは教育実習での実践,そして実際に教師になっての実践につながります。
本書の執筆は,保健の授業研究を推進する新進気鋭の方々にお願いをしました。中学校・高等学校の保健の学習は,かつてのものとは大きく異なり進化を続けています。ぜひ読者の皆様には,本書を活用いただきそれぞれの力量形成の一助としていただければ幸いです。
最後になりましたが,本書の企画・編集にあたって,多大なるご尽力をいただきました建帛社の方々に厚くお礼申し上げます。
2022 年3 月
編著者: 植田誠治・杉崎弘周・今関豊一
第1章 保健の学習の目標・評価
第1節 保健の学習と資質・能力,健康に関する指導の関連
1.保健の学習の資質・能力
2.健康に関する指導の関連
第2節 保健の学習目標と指導計画
1.育成すべき資質・能力
2.学習指導要領における保健体育の目標
3.学習指導要領における保健の目標
4.保険の学習目標と指導計画
5.保健の指導計画の考え方
第3節 保健の学習指導と評価
1.学習評価の意義と必要性
2.何を評価していくのか
3.いつ,どこで評価していくのか
4.どのように評価するのか
5.学習評価のプロセス
6.指導と評価の一体化
第2章 中学校の保健の学習
第1節 健康な生活と疾病の予防
1.学習指導要領の内容
2.授業展開の例
第2節 心身の機能の発達と心の健康
1.学習指導要領の内容
2.授業展開の例
第3節 傷害の防止
1.学習指導要領の内容
2.授業展開の例
第4節 健康と環境
1.学習指導要領の内容
2.授業づくりの実際
3.まとめ
第3章 高等学校の保健の学習
第1節 現代社会と健康① 健康の考え方
1.学習指導要領(解説)の内容
2.授業展開の例
第2節 現代社会と健康② 現代の感染症とその予防
1.学習指導要領(解説)の内容
2.授業展開の例
3.特設:本内容の指導にあたっての留意点
第3節 現代社会と健康③ 生活習慣病などの予防と回復
1.学習指導要領(解説)の内容
2.授業展開の例
3.特設:本内容の指導にあたっての留意点
第4節 現代社会と健康④ 喫煙,飲酒,薬物乱用と健康
1.学習指導要領(解説)の内容
2.授業展開の例
3.特設:本内容の指導にあたっての留意点
第5節 現代社会と健康⑤ 精神疾患の予防と健康
1.学習指導要領(解説)の内容
2.授業展開の例
3.特設:本内容の指導にあたっての留意点
第6節 安全な社会生活① 安全な社会づくり
1.学習指導要領(解説)の内容
2.授業展開の例
3.安全にかかわる理論と発問例
第7節 安全な社会生活② 応急手当
1.学習指導要領(解説)の内容
2.授業展開の例
3.補足
第8節 生涯を通じる健康
1.学習指導要領(解説)の内容
2.授業展開の例
第9節 健康を支える環境づくり
1.学習指導要領(解説)の内容
2.授業展開の例
3.まとめ
第4章 学習指導案作成と模擬授業
第1節 指導案を作成しよう。
1.保健の指導案を作成しよう
第2節 模擬授業を計画し実施しよう
平成29年告示の小学校学習指導要領準拠。各領域の内容を扱う章では,最後に「数学的活動」の具体的実践例を載せ,実際の授業での指導法を意識した。
大学の図画工作科教育法,美術科教育法のテキスト。新学習指導要領の教育動向をふまえ,美術の多様性を生かした授業実践例を多数掲載し,教材研究に取り組めるように編集した。
中・高保健体育科教員養成課程向け。大学での半期15回の授業を意識した章立て。アクティブ・ラーニングの視点を盛り込む。巻末に各運動領域の指導案例と,レポート作成等に便利な参考資料リンク集を収載。
『食に関する指導の手引(第二次改訂版)』,平成29年告示の学習指導要領に準拠したテキスト。第四次食育推進基本計画に対応の四訂第2版。
美術教員を目指す学生や初任者教員を主な対象に「美術科教育」の理論や実践に関する知見を幼児造形,小学校図工も含め網羅し,Q&A形式で美術教育の全体像を俯瞰する。各分野の専門家四十余名が執筆。
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