建帛社だより「土筆」

平成25年1月1日号

今こそ家政学 これからの家政学

第22期日本学術会議健康・生活科学委員会家政学分科会委員長 東京家政大学名誉教授  片山 倫子この著者の書いた書籍

 けましておめでとうございます。本年が,皆様にとって充実したすばらしい年になりますよう祈念いたします。

 成17年10月から現在に至るまでの足掛け八年間,家政学分野の日本学術会議会員または連携会員は,学術会議の中にあって,分野別委員会の一つである健康・生活科学委員会生活科学分科会(第22期平成23年10月からは健康・生活科学委員会家政学分科会)において,四年制大学の教養科目として「生活する力を育てる」ことを目指す内容の講義科目の開設を提案する活動を展開してきた。

 生は,「育てられる時期」「自立し社会活動をし,次世代を育てる時期(成人期)」「社会的活動を主とする生活を終え,生きる時期(高齢期)」の三つの時期に分けることができる。これまで約20年の月日を生きてきた大学生に対して,自ら考え主体的に生きていくことが求められる成人期・高齢期に,社会人として,また一人の人としてどのような生き方をしたらよいのかを考えるための講義科目のシラバスの作成,基本的な講義内容を提示するための授業用教科書『人と生活』の刊行,実際に開講していただく協力大学の選定等についての検討を計画し,順次実行してきた。

 科書の著者には家政学分野はもちろんのこと,家政学に隣接する学問分野の日本学術会議会員・連携会員の先生方のご協力も得て,平成24年11月に待望の『人と生活』を刊行することができた。

 に,近年の科学・技術の進歩は著しく,その成果を基に日常生活の有り様が大きく変動している今こそ,「家政学」の原点に立ち返り,人の視点から総合的に人の生活に関する問題について教育研究を進めることが,喫緊の課題の一つであると考え,さらなる活動を続けている。

 本学術会議では文部科学省からの依頼により,大学教育の分野別質保証の在り方検討委員会が設置され,平成22年7月22日に取りまとめ,同年8月17日に「回答 大学教育の分野別質保証の在り方について」において,学士課程教育の分野別の質保証のために,各分野の教育課程編成上の参照基準を策定すべきことを同省に述べた。このことを受けて,家政学分野における教育課程編成上の参照基準を検討するために,家政学分野の参照基準検討分科会が平成24年2月に設置された。

 の分科会の委員には前記の家政学分科会の全委員が加わり,大学教育の分野別質保証の在り方検討委員会が提案した参照基準の策定方法を基に,目下「家政学分野の参照基準案」の作成を試みている。

 こで検討している,学士課程における家政学分野の参照基準は,これからの「家政学」の方向性を明確にし,「家政学」が今まで以上に人の視点立って教育・研究を深めることによって社会に必要とされる学問として在り続けることを願いつつ,検討を重ねている。

目 次

第97号平成25年1月1日号

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