建帛社だより「土筆」

平成25年1月1日号

「地域包括ケアシステム」と認定介護福祉士(仮称)創設

神奈川県立保健福祉大学名誉教授 聖隷クリストファー大学・大学院特任教授  太田 貞司この著者の書いた書籍

 護保険制度からも医療保険制度からも,身近な地域に「地域包括ケアシステム」の構築が政策的に追求されるようになってきた。しかし,介護福祉士の地域・職場リーダー養成の仕組みなしに,その構築は絵に描いた餅と言っても過言ではない。

 2025年には,現状の二倍の212~255万人程度の介護職員が必要と予測され,このうち介護福祉士が仮に五割とすると,100万人以上の介護福祉士が必要という計算だ。人口一万人当たり356~375人程度となる。介護福祉士登録者総数は100万人以上だが,実働は約40万人(2008年)だ。離職者も少なくない。その確保は容易ではない。

 のため,キャリアパスの仕組みづくりの様々な検討が始まっているが,まず「経験と実績があり地域・職場の信頼がある介護福祉士の“次”がケアマネジャー」という現状は打破する必要があろう。介護福祉士集団のリーダーとして,継続して働き続け,地域社会にしっかりと根ざし,「あの介護福祉士なら信頼できる」「若い人たちが育つためには必要な人たちだ」という環境を創り,その地位の社会的承認の仕組みが求められよう。

 2011年,「介護サービス従事者の研修体系のあり方に関する研究会」は報告書『今後の介護人材養成の在り方について』を公表し,「介護の世界で生涯働き続けることができるという展望を持てるようにするため」に「認定介護福祉士(仮称)」創設の提言を行った。それを受け,2011年8月に「認定介護福祉士(仮称)の在り方に関する検討会」が設置され,小生が委員長を勤めさせて頂いているが,2012年4月に『認定介護福祉士(仮称)制度の方向性について(中間のまとめ)』を公表し,今後「モデル研修」実施を経て,方向を示すことになっている。

 活を支える専門職としての介護福祉士の資質を高め,利用者のQOLの向上,介護と医療の連携強化と適切な役割分担の促進,地域包括ケアの推進など,介護サービスの高度化に対する社会的な要請に応えるために,「十分な介護実践力」「介護チームの教育・指導,サービスのマネジメントを行う力」「他職種やそのチームと連携・協働する力」をもつリーダーが,経験の浅い介護職・介護福祉士を育成しながら,介護の職場を変えていく力を育てることでもある。

 「地域包括ケアシステム」には,「施設中心型」「自宅内型」でなく,「地域型」介護福祉士像が求められよう。地域密着型サービスの広がりの中でその芽もみられるが,地域住民の“暮らし”を支え,施設も在宅居住も視野に入れた生活支援の視点が求められよう。「老老介護」,また若い世代が子育て・働きながら介護できる地域社会づくりを,介護領域からどう示すかが問われているが,これは生活支援の専門的職種が地域・職場に育つ仕組みづくりでもある。

 れまでの介護福祉実践の蓄積,また生活支援としての介護福祉学の諸成果を踏まえ,介護福祉士のリーダー像をどう描くかが,新たな課題だ。

目 次

第97号平成25年1月1日号

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