管理栄養士養成課程向け教科書シリーズ。医師ほか他職種や他分野からの管理栄養士の視点を取り入れるとともに,他教科とのつながりに配慮した。また,公衆栄養プログラムの展開にかかわる部分に紙面を割き,豊富な現場経験のある執筆者の実例をベースにした記述により,理論と実践との関係が無理なくつながるようにした。図・表・写真が要点の理解を助ける。最新データならびに各種法改正に対応した改訂第4版。
内容紹介
まえがき
はじめに
本書は,管理栄養士養成課程向けの教科書として,国家試験のガイドラインに準拠した項目立てとしています。本書の企画の前段階で,公衆栄養学を専門とする研究・教育者と他分野を専門とする研究・教育者が集い,どのようにまとめ上げていくことが,これからの教育・養成にとって望ましいのかを真剣に議論しました。
この結果,本書ではあえて3つの試みを視野に入れた執筆・編集方針とすることにしました。
1点目は,医師など管理栄養士以外の関連他職種や公衆栄養関係以外の分野に属する管理栄養士等からの視点を取り入れるとともに,できるだけ他教科とのつながりを考慮した執筆方針をとることにしました。例えば,特定給食施設について考えてみると,行政的にはその定義や役割は明確化されています。しかし,実際の現場でのとらえ方や優先される課題は,公衆栄養,給食経営管理,臨床栄養,ライフステージ栄養(応用栄養),栄養教育の各分野では,当然のことながら同一ではありません。したがって,公衆栄養分野からの一方的な理解だけでは不十分であり,他分野の立場や役割の違いによって生ずる,視点の異なりについても把握しておくことが望まれます。そこで本書においては,必要に応じて他職種や隣接他分野の管理栄養士等によるコラムも挿入し,読者が視野を広くもてるように工夫しています。
2点目は,公衆栄養プログラムの展開にかかわる部分の執筆についてです。既存の教科書のほとんどでは,これらにそれほど紙面を割いておらず,多様である公衆栄養活動の展開について,より深く具体性をもって理解することが難しいように感じられます。そのため本書では,十分な紙面を割り振り,豊富な現場経験を有する著者により,理論と実践の関係が無理なくつながるよう,実例をベースに執筆をお願いしました。
3点目としては,分野に応じてメリハリをつけた書き方とし,図・表・写真をより効果的に活用するように考慮しました。これにより全体として重くなりすぎず,適当なボリュームでありながらも,要点はしっかりと伝えられるよう努めています。
このような著者らの欲張った試みが,読者や関係者にどの程度伝わるのか,期待と不安をもって本書を世に送り出します。今後の内容向上を目指すためにも,是非とも前向きなご意見やご要望等をお寄せいただきたいと思っております。また本書は,現在,公衆栄養活動に従事している方々にも参考になるものと思いますので,ご活用いただければ幸いです。
最後になりましたが,私たちの思いを実現させるために終始粘り強くご支援・ご協力をいただいた建帛社の関係の諸氏に厚くお礼申し上げます。
2014年3月
編者 由 田 克 士
押 野 榮 司
「改訂第4版」にあたって
本書が出版されて11年となります。管理栄養士養成施設を中心に多くの教育機関で教科書や参考書として採用していただくとともに,自治体等の現場で公衆栄養活動に従事している皆様にも引き続きご活用いただいております。著者を代表して改めてお礼申し上げます。
今回は,日本人の食事摂取基準(2025年版)の公表,制度・データや関連するガイドライン等の変更を踏まえ改訂を致しました。また,初学者への導入として,「序章 公衆栄養学への誘い」を新設致しました。これは,編者が以前より温めていた考えによる内容であり,以降の学修による理解をより深く容易にするための予備知識となることを期待しているものです。
昨年は佐伯矩博士が栄養士の養成を始めて100年という区切りの年でしたが,本年は新たな100年が始まる年に当たります。博士は栄養学と実践の関係について,「栄養学の目的は,まず『何が栄養であるのか』を純正科学の立場でとらえること。生体にとってどのような状態がよりよいのか,また,それをもたらす方法を研究すること。そのうえに実践活動が存在する。」と説き,現在の「公衆栄養」にあたる概念を「民衆栄養」という言葉を用いて,栄養学全般の中での位置づけやその役割を示しておられます。
本書がこれからの栄養学を担う方々の教育・人材育成や実践活動の一翼を担う公衆栄養学の更なる発展や進化に少しでも寄与できればと期待しております。これからも内容の向上や充実を目指すため,皆様からの前向きなご意見やご要望をお寄せただきますようお願い申し上げます。
2025年3月
編者 由 田 克 士
荒 井 裕 介
目 次
第1章 公衆栄養学の概念
第2章 健康・栄養問題の現状と課題
第3章 栄養政策
第4章 栄養疫学
第5章 公衆栄養マネジメント
第6章 公衆栄養プログラムの展開
この本をみた方に
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