スポーツはラテン語のdeportare(デポルターレ)に語源をもち,運び去るや運搬するといった意味がある。今日では気晴らし,休養等の要素,また勝敗を競うだけでなく,健康な身体づくりや楽しさ,悦びといった要素も含んでおり,様々な目的で取り組まれるスポーツ活動は「する」「みる」「ささえる」といった3形態に分けることができる。
スポーツ活動への参画は,食事や休養とともに,心身の健康状態や国際生活機能分類によるところの生活機能の保持・増進,そして明るく心豊かで活力ある生涯を過ごすための改変可能な重要な要素であることに相違ない。
しかし,従来のスポーツ科学と栄養科学の知見は必ずしも日常生活場面に活かされてこなかったことも事実である。そんな中,近年のスポーツ栄養学研究の発展は目覚ましく,スポーツ活動時にどんな内容の食事をどのタイミングで,どのくらい摂れば目的とする身体づくりに効果的なのかといった知見が蓄積され,根拠に基づいた食事提供へとつながってきている。
そこで本書では,第1部理論編でスポーツ栄養学研究の最前線の成果を,第2部実践編では代表的な14のスポーツ種目における競技の概要(競技紹介,試合や日々の練習状況,求められる身体)と食事計画(食生活管理上の留意点,食事提供のための給与栄養目標量,提供献立と食品群別摂取量,そして提供食の調理例)を紹介する。