内容紹介
まえがき
はじめに
管理栄養士・栄養士養成校において運動生理学の講義を担当して,20 年近くになる。本書は,編著者と同じく養成校で運動生理学を担当する教員同士の何気ない会話をきっかけに生まれた。その言葉とは,「学生は,運動生理学に興味をもってくれているのだろうか」という問いであった。
運動生理学を担当する教員は,この学問の重要性や面白さを理解し,関心と愛着をもって授業に臨んでいる。しかし,その魅力が学生に十分に届いているのかという問いを,私たちは少なからず抱いてきた。限られた授業時間の中で,何を,どの順序で,どの深さまで伝えるのか。その選択は常に悩ましい課題である。だからこそ,本書では「これだけは伝えたい」と考える内容を軸に据え,学生が無理なく読み進められる構成を目指した。本書は,こうした問題意識から生まれたものである。
本書は,管理栄養士・栄養士を目指す学生に向けた運動生理学の教科書である。書名についても議論を重ねたが,最終的に「基礎からの学び」という言葉を選んだ。運動生理学を初めて学ぶ学生が,過度に構えることなく学びを始めてほしいという思いを込めている。
本書の執筆には,管理栄養士・栄養士養成校で運動生理学を担当する教員をはじめ,スポーツ栄養学,スポーツ科学等を専門とする教員が参画した。所属はさまざまであるが,「運動生理学は楽しく,管理栄養士・栄養士にとって身近で,実践に活かせる学問である」という認識を共有しながら,本書をまとめた。
本書の位置づけは,あくまでも「運動生理学への誘い」である。幅広いテーマを取り上げるとともに,従来の教科書では十分に扱われてこなかった分野にも触れた。本書を通じて関心が高まり,より専門的な学びへとつながっていくことを願っている。
主な対象は,これから管理栄養士・栄養士を目指す学生であるが,すでに現場で活躍している管理栄養士・栄養士,日々スポーツに取り組む高校生,将来この分野を志す若い世代にも,ぜひ手に取っていただきたい。
最後に,本企画の趣旨をご理解いただき,執筆にあたりご助言とご協力を賜った諸先生方に,ここに記して御礼申し上げる。
2026 年3月
編著者 坂手誠治
目 次
1章 運動生理学への誘い
1 運動生理学への誘い
2 運動・スポーツと栄養
3 運動生理学と他分野とのかかわり
4 運動・スポーツの役割
5 運動・スポーツにおける課題
6 これからの健康づくり-パーソナライズドヘルスケア-
7 SDGs 時代のスポーツと運動--持続可能な世界とつながる-
8 働く人の健康増進-健康経営と管理栄養士,運動生理学のつながり-
9 本書の構成
2章 身体組成
1 身体組成
2 身体組成の測定法
3 肥満とやせの判定
4 体重管理とエネルギーバランス
3章 エネルギー消費
1 エネルギー消費と供給
2 エネルギー消費の種類
3 エネルギー供給系
4 エネルギー消費量
5 エネルギー消費量の測定方法
4章 持久力
1 呼吸機能の仕組み
2 循環器系機能の仕組み
3 運動の指標となる呼吸・循環器系応答
5章 レジスタンストレーニング
1 筋収縮の仕組みと筋線維の種類
2 骨格筋の随意収縮
3 トレーニングによる筋の適応
6章 ライフステージと運動
1 青少年期の成長発育と運動
2 加齢に伴う身体的変化と運動
7章 環境と運動
1 高温環境下での運動
2 低温環境下での運動
3 高圧環境下での運動
4 低圧環境下での運動
5 水中での運動
6 災害時の運動と栄養
8章 生活習慣病(NCDs)と運動療法
1 生活習慣病とは何か
2 運動療法の基本的考え方
3 糖尿病と運動療法
4 高血圧と運動療法
5 脂質異常症と運動療法
6 がんと運動療法
7 生活習慣病に対する運動支援の現場
9章 リハビリテーション・障害と運動
1 障害と健康
2 障害と運動
10 章 運動とメンタルヘルス
1 運動の効果
2 運動・栄養・休養とメンタルヘルス
3 効果的な運動プログラム
11 章 運動と性差
1 性差と個体差の理解
2 女性の身体的特徴と運動の関連性
3 月経周期と運動パフォーマンス
4 女性アスリートの三主徴とボディイメージ
5 妊娠・出産・閉経と運動
6 女性の運動とフェムテック
7 ジェンダー多様性と運動
8 “ 女性だから ” ではなく,“ 私だから ” の運動を
12 章 運動と栄養
1 1日の推定エネルギー必要量(=エネルギー消費量)
2 スポーツ・運動と五大栄養素の関係
3 スポーツ・運動の目的に合わせた栄養補給
4 水分補給
5 スポーツ障害
6 栄養補助食品(サプリメント)
13 章 運動処方の考え方
1 運動処方とは
2 運動処方の手順
3 運動の種類
4 運動処方の作成
5 当日の体調チェック
6 効果の確認
7 健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023
索 引
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