教員養成大学の「教育心理学」、公認心理師養成大学の「学校心理学」のテキスト。発達心理学の基礎から教育現場の様々な心理的問題まで。
内容紹介
まえがき
まえがき
教育職員免許法施行規則の改正に伴い,2019 年4月から教員養成のカリキュラムが変更されました。これまでのカリキュラムでは,通常学級での教育対象となるのは主として定型的な発達をしている児童・生徒でしたが,この改正により,特別な支援を必要とする発達障害(自閉症スペクトラム障害,注意欠如・多動性障害,学習障害など)や言語障害,その他の障害のある子どももその対象に加えられました。障害の有無にかかわらず,誰しもが相互に人格と個性を尊重し支え合い,人々の多様なあり方を相互に認め合う機会を得ることは,今後の共生社会を形成していくうえで貴重な経験です。
本書の前身は,2002 年初版の『教育心理学 〈エクササイズ〉で学ぶ発達と学習』です。発刊から16 年目を迎え,今般内容構成を見直し,新たに「学校現場での心理的問題と対応」,「学校におけるカウンセリング」および「学級心理学」の内容を追加しました。さらに発達心理学の最新の知見や脳科学の理論なども加味するなど全面的に書き直し,書名も改めた形での出版となりました。
最近の学校教育現場では,いじめや不登校等への対応および特別支援教育の充実を図ることが急務であり,教員やスクールカウンセラー,スクールソシャルワーカーなどが「チーム学校」の体制で,さまざまな心理的問題を抱えた児童・生徒に対して効果的な心理教育的支援やカウンセリング活動を行うことが求められています。
本書はそうした教育現場の要望に添う内容となっています。是非,教員を養成している大学の「教育心理学」の教科書として,また公認心理師を養成している大学の「学校心理学」のテキストとしてご活用いただければ幸いです。
最後に執筆者としてお願いした各先生方には,ご多忙のなか鋭意取り組んでいただき感謝申し上げる次第です。また建帛社編集部の皆さんには,本書の企画から大変ご尽力いただきました。ここに記して感謝申し上げます。
2019 年2 月
編者 小山 望
目 次
第1章 教育心理学,学校心理学とは
1 教育心理学とは
2 学校心理学とは
3 教育心理学の歴史
4 学校心理学の歴史
第2章 発達理論
1 発達とは何か
2 認知発達の理論
3 アタッチメント(愛着)理論
4 エリクソンの発達理論
第3章 児童・生徒の発達的理解と脳科学―思春期の発達心理学―
1 脳の構造
2 乳児期の脳の発達
3 児童期の脳の発達
4 思春期の脳の発達
第4章 パーソナリティの理解
1 自己形成
2 パーソナリティ理論
3 パーソナリティの測定(パーソナリティ検査)
4 知能と知能検査
第5章 自己形成と社会性の発達
1 自己形成
2 社会性の発達
3 仲間関係の発達
第6章 学習理論と動機づけ
1 学習理論
2 学習の情報理論
3 動機づけの理論
4 帰属理論,期待・価値理論
第7章 幼児期,児童期,青年期の心理的問題と対応
1 発達課題
2 幼児期
3 児童期
4 青年期
第8章 教育現場での心理的問題と対応
1 スクールカウンセラーの役割
2 不登校
3 いじめ
4 少年非行
第9章 学校におけるカウンセリング
1 学校におけるカウンセリングについて
2 集団療法
3 学校教育相談とは
第10章 学級心理学
1 集団とは
2 集団規範と同町圧力
3 集団凝集性を高める方法
4 リーダーシップを育てる
5 学級集団とは何か
第11章 特別支援教育
1 特別支援教育とは
2 さまざまな障害~障害とは~
3 発達障害
4 知的障害
5 肢体不自由
6 視覚障害
7 聴覚障害
8 言語・文化,家庭環境などに関連して必要となる特別の支援
9 特別支援教育の仕組み
この本をみた方に
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