2019年度よりの保育士養成課程の新しい演習科目「子育て支援」の教科書。グループワークやアクティブラーニングに活用できる内容構成。
内容紹介
まえがき
は じ め に
わが国では,超少子高齢社会が急速に発展する中で,子どもの出生数が2015(平成27)年に100 万人を下回り,2018(平成30)年生まれの子どもの数は92 万1千人であると報じられている。また,2017(平成29)年の合計特殊出生率は1.43 となり,政府の目指している1.8 に到達することは困難な状況である。このまま出生数の減少が進むと,国立社会保障・人口問題研究所が示しているように,2065 年には日本の人口が約8,808 万人となり,高齢化率も38.4%になることが推計されている。このような社会状況の変化は,私たちの日常生活にも強く影響を及ぼし,生活そのものを成り立たせている基盤が大きく変化してくることが予想される。家庭やその構成員である親,保護者および子どもたちを取り巻く環境もまた,多大な影響を受けることとなることが予測できる。
一方で近年,子どもの死亡や虐待のニュース,および各学校でのいじめの事件などがマスコミの報道等で連日取り上げられている。なぜこのようなことが繰り返されてしまうのかについて,子どもと関わる専門職はもちろん,保護者をはじめとした地域住民が共に考え,連携・協働しながら,今できる支援を早急に提供していくことが不可欠であるといえる。
このように現在,子どもとその家庭を取り巻く状況は多くの問題に直面している。その中で,児童福祉法施行規則等の一部改正が2018(平成30)年4月に行われ,保育士養成施設での修業科目が改正された。そこでは従来の「家庭支援論(講義)(2単位)」,「相談援助(演習)(1単位)」および「保育相談支援(演習)(1単位)」が再編され,「子ども家庭支援論(講義)(2単位)」,「子育て支援(演習)(1単位)」および「子ども家庭支援の心理学(講義)(2単位)」に改められた。社会福祉系の一部科目の教授内容が整理され,教科目が変更されたのである。演習系の科目としては,「保育相談支援」,「相談援助」から「子育て支援」という科目が誕生することとなった。
本書は,その新しい科目「子育て支援」の教科書である。上述の社会状況を踏まえた上で,今回の改正内容にできるだけ準拠しながら本書の構成は組み立てられている。執筆者は,保育士養成施設で教を執り,また,保育現場等での経験を有している方々である。それぞれの先生方が熱き想いを込めながら執筆されている。文章の端々に多様な,かつ多くの経験が生かされていることを読み取った上で,学びに生かしていただきたい。特に,学習者によるグループワークやアクティブラーニングを念頭に置きながら本書を活用して,学習内容を深められることを期待したい。そして子どもたちを支援する専門職としての理念およびその技法,技術等を涵養していただくことを切望する。
最後に本書の企画の段階から,温かく見守り,細部にわたったご配慮,ご指導いただいた建帛社の皆様に心から感謝のお礼を申し上げる。
2019 年2月
編著者 大西 雅裕
目 次
第Ⅰ部 子育て支援とは
第1章 子育て支援の制度的展開
第2章 保護者支援としての相談援助
第3章 子育て支援としての相談援助の基礎
第4章 子育て支援の方法、各種技法
第5章 保育者が行う子育て支援の展開方法
第Ⅱ部 保育者が行う子育て支援とその実際
第6章 子育て支援の実際-そのポイント
第7章 保育所における支援
第8章 地域の子育て家庭に対する支援
第9章 障害のある子どもおよびその家庭に対する支援
第10章 特別な配慮を要する子どもおよびその家庭に対する支援
第11章 子ども虐待の予防と対応
第12章 要保護児童等の家庭に対する支援
第13章 多様な支援ニーズを抱える子育て家庭の理解
第Ⅲ部 子育て支援に想う
この本をみた方に
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