保育実践でのICT機器活用の可能性を考えた「保育内容総論」のテキスト。理論編では総論の基本的内容を押さえつつ,実践編では園で過ごす1日の流れにそってICT機器を活用した実践事例を多数掲載し,解説。
内容紹介
まえがき
まえがき
2023(令和 5 )年4月,こども家庭庁が創設され,子どもを取り巻く環境や制度も大きく変化し続けています。しかし,中心に位置付くのはいうまでもなく子どもであり,誰一人取り残さず,全ての子どもの健やかな成長を保障することが目指されています。一方で,保育者養成にあたっては,2019(平成31)年 4 月に新しい教職課程が始まり,「保育内容の指導法(情報機器及び教材の活用を含む。)」の教職課程コアカリキュラムが示され,保育内容の指導法においても情報機器の活用及び教材の活用法を理解し,保育の構想に活かすことが目指されてきました。そこで,本書では保育内容 5 領域の考え方や指導方法の基本を学ぶ「保育内容総論」においても,情報機器及び教材の活用に焦点をあて,どのように保育の構想に活用することができるか,その活用可能性を探ることを目的のひとつとしています。
本書は大きく分けて理論編と実践編の 2 部構成となっています。理論編では,保育内容を学ぶ意義や,保育内容の歴史的変遷,幼稚園教育要領,保育所保育指針,幼保連携型認定こども園教育・保育要領における保育内容,様々なニーズと保育内容,発達と生活の連続性,子ども理解と保育における計画の意義に加え,情報機器を活用した計画と教材研究を取り上げています。実践編では,バーチャルこども園を通して保育内容を学ぶとし,子どもが園で過ごす一日の流れを,園内環境のデータや事例を通して,解説しています。事例によっては,情報機器を活用することが難しいこともあるため,全ての事例に情報機器の活用が含まれるわけではありませんが,これらの事例を通して,皆さんなりに保育への活用の可能性を考える契機となることを願っています。
倉橋惣三はその著『育ての心』のなかで,子どもを「自ら育つもの」としており,保育者はその子どもの自ら育つ力を,環境を通して援助していきます。その環境のひとつに情報機器の活用もあるといえるでしょう。保育者とゆったり関わることを楽しんだり,身の回りの人・もの・ことが全て教材となって遊びを深めたり,自分なりに試行錯誤しながら思いを巡らせたり,そうした様々な子どもの「いま」を一緒に楽しみ,保育者自身も育てれる,そんな「育ての心」を忘れない保育者として成長されることに本書が貢献できれば,編著者一同喜びに堪えません。
2024年3月
編者一同
目 次
◆理論編◆
第1章 保育内容とは
1 保育とは
2 なぜ保育内容総論を学ぶのか
第2章 保育内容の歴史的変遷
1 戦前の保育内容
2 戦後の保育内容
第3章 幼稚園教育要領,保育所保育指針等における保育内容
1 2017(平成29)年の三法令同時改訂(定)
2 三法令同時改訂の要点
3 幼児教育において育みたい資質・能力
4 5領域と乳児保育の3つの観点
5 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿
6 主体的・対話的で深い学び
第4章 様々なニーズと保育内容
1 幼稚園・保育所・認定こども園における連携(多職種,地域等)と保育内容
2 多文化共生と保育内容
3 インクルーシブな保育と保育内容
第5章 発達の連続性と保育における生活の連続性
1 乳幼児期の発達
2 発達の連続性
3 幼稚園・保育所・認定こども園の一日にみる連続性
第6章 子ども理解と計画
1 子ども理解と省察
2 観察・記録・評価・改善
3 保育における計画の意義・種類
第7章 ICTを活用した計画と教材研究
1 ICTを活用した計画
2 ICTを活用した教材研究
3 活用にあたっての留意点
◆実践編◆
1-1 バーチャル子ども園を通して保育内容を学ぶ
朝のサークルタイムから室内遊び その1
2-1 サークルタイム
2-2 おままごと
2-3 ごっこ遊び
室内遊び その2
3-1 室内遊び(工作遊び)
3-2 劇づくり
3-3 積み木遊び
境の場から園庭遊び その1
4-1 テラス遊び
4-2 テラスでの遊びと生活のひろがり
4-3 テラスと園庭がつながる自然物の遊び
園庭遊び その2
5-1 砂場の遊び
5-2 鬼遊び
5-3 動植物との関わり
片付けから昼食
6-1 一人一人が心地よい食事の時間
帰りのリフレクションから降園まで
7-1 リフレクション
7-2 保育環境としての通園バス
ICT×保育を考える
8-1 園生活を通したICTによる記録・計画・評価
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