領域に関する専門的事項「幼児と環境」および保育内容の指導法に対応するテキスト。事例を中心に保育をイメージしやすい内容で展開。各章冒頭・章末に演習課題を掲載し,事前事後の自発的学習に活用できる。
内容紹介
まえがき
はじめに
皆さんは,最近どのようなことに心が動いただろうか。「心が震える」というような経験は,と聞かれて何を思い出すだろうか。「不思議だな?」「どうしてなのかな?」「どうなってるのだろう?」といったワクワク,ドキドキするような気持ちについてはどうだろうか。
あるいは最近,立ち止まって花を,草を,アリやムシを,生き物をじっくりと,まざまざと眺めた時間はあるだろうか。目をつむって聞こえてくる音にはどういう音があったかを思い出せるだろうか。匂い(臭い)につられ,ついついその場所を探してしまった経験は……?
子どもと一緒に歩いていると,こうした子どもの行動に出会う。大人になってしまうと,早く目的地にたどり着きたくて,「まだ⁉」「もう行こう!」と言ってしまいたくなるかもしれないその瞬間,子どもはいったいどのような経験をしているのだろうか。
「『知る』ことは『感じる』ことの半分も重要ではない」といった海洋生物学者のレイチェル・カーソンは次のように述べている。
子どもたちがであう事実のひとつひとつが,やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら,さまざまな情緒やゆたかな感受性は,この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。(中略)美しいものを美しいと感じる感覚,新しいものや未知のものにふれたときの感激,思いやり,憐れみ,賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたびよびさまされると,次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。そのようにして見つけだした知識は,しっかりと身につきます。
(レイチェル・カーソン著,上遠啓子訳,『センス・オブ・ワンダー』,新潮社,1996,pp. 24-26)
2018年度から新たな幼稚園教育要領,保育所保育指針,幼保連携型認定こども園教育・保育要領がスタートした。保育所,幼稚園,幼保連携型に認定こども園,いずれの教育・保育施設であったとしてもそこで展開される保育は,このガイドラインに基づいて実施される。したがって,保育の専門家になるための学びに向き合っている皆さんは,各々の養成課程のカリキュラムの中で,そこに示される「領域」ごとの保育内容の基礎的事項ならびに指導法を深く学ぶことが求められている。
加えて,今回の学習指導要領の改訂に伴い,いわゆるアクティブラーニングと呼ばれるような主体的な学びが,すべての学校種において求められるようになっている。前述したような子どもの姿を思い浮かべるとき,それはまさにアクティブラーニングにほかならない。しかし,私たちはすでに大人になってしまっており,その学び方を残念ながら忘れてしまっている場合が多い。では,どうやったらそうした学びを支える学び手になることができるのだろか。
本書は,教職課程コアカリキュラムの教育内容をより具体的に示したモデルカリキュラムに準拠した内容と関連させて各章を編纂している(対応関係はp. ⅲ-ⅳの対応表を参照)。また,多くの章でたくさんの具体的な事例を掲載することによって,子どもの姿がイメージしやすくなるような展開を心がけている。
「領域」において何を学ぶのかとともに,本来アクティブラーナーである子どもたちの学びや育ちを支える専門家となるために,彼・彼女たちのたくさんの事例から学習を深めていって欲しい。
本書が,あなたの素敵な学びの一助になることを願って。
2019年6月
編著者 岡 健
目 次
第2章 乳幼児の発達と「環境」
第3章 領域「環境」のねらいと内容および評価
第4章 身近な生き物や植物に親しみをもって関わるということ
第5章 季節による生活や自然の変化に気づくこと
第6章 さまざまな物や道具に触れ,その性質や仕組みに興味や関心を持つこと
第7章 日常生活の中で数量や図形などに関心を持つこと
第8章 日常生活の中で標識や文字などに関心を持つこと
第9章 生活に関係の深い情報や施設などに興味や関心を持つこと
第10章 日常生活の中で文化や伝統,行事等に親しむこと
第11章 「環境」との関わりを支える保育者の役割
第12章 アプローチカリキュラムとスタートカリキュラム
第13章 領域「環境」をめぐる現代的問題
第14章 指導案作成から保育へ
巻末資料 幼稚園教育要領・保育所保育指針・幼保連携型認定こども園教育・保育要領 抜粋
この本をみた方に
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