令和2年1月1日
令和の時代に期待する(社長年頭の辞)
あけましておめでとうございます
昨年は,時代が平成から令和へと変わる大きな変遷の年となりました。令和の時代を迎えて初めての新年のご挨拶となります。本年もよろしくお願い申し上げます。
昨年4・5月の「退位・即位の礼」では,今までに経験したことのない10連休となりました。さらにその後の「祝賀御列の儀」では11万人が押し寄せ,日本中で祝賀ムードが高まりました。また,生前退位ということもあり,喪に服することなく新天皇陛下が誕生したことは,明るい気持ちで新時代を迎えることになったのではないでしょうか。 今年は,東京オリンピック・パラリンピック開催の年となります。夏季大会は1964年(昭和39年)以来,56年ぶりの東京開催になります。また,昨年はラグビーワールドカップが日本で開催され,日本代表がベスト8に入る快挙を成し遂げたことはもとより,ラグビーに詳しい人も,そうでない人も,ともに巻き込んで大いに盛り上がったことは記憶に新しくあります。今年の東京オリンピック・パラリンピックも,日本人にとって活力と希望を生み出す契機になることを願っております。
さて,出版界は依然として長期低落傾向が続き,2018年の書籍・雑誌推定販売額は前年比5.7%減で,十四年連続の前年割れとなりました(出版科学研究所調べ)。日本人の活字離れが深刻化してきていることが一因であると感じています。文化庁が公表している「国語に関する世論調査」によると,16歳以上の1か月の読書量は「読まない」が47.3%を占めており,約2人に1人は1か月に1冊も本を読んでいないことになっています。SNSの普及により,ごく短文や絵文字で表現する機会が増えたことによって,きちんと文字を追って文章を理解するという能力が損なわれてきているのではないでしょうか。
大学・短期大学・専門学校は社会へ出る前の最後の教育現場として,重要な役割を担っているものと考えています。識字や表現は,どの分野においても必要とされる能力です。新入社員が,文書を書けない,電話などで知らない人と話せないなど,以前は笑い話でしたが,最近は一般的な話として耳にします。ただ,先にあげた文化庁の調査では,どの程度国語に関心があるかの問いには,「関心がある」が76.3%と,過去の調査と比較して3ポイント増加していました。今後の明るい兆しの表れであると願うばかりです。
弊社の教科書は「文字が多い」とよく言われます。文章を減らしたイラスト中心の視覚的な教科書では十分な教育水準を維持することは難しいと考え,教科書を作っています。しかしながら,読者の声に耳を傾けずに良書を刊行し続けることは厳しいとも考えています。内容水準を保ちつつ,読者にとって見やすく,理解しやすい書籍を刊行する工夫を凝らすことが,急務となっています。難題ではありますが,大学教育,研究に貢献できるよう,必要な変化を取り入れて成長へつなげていきたいと考えております。令和の時代も引き続き,ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
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