管理栄養士および栄養士に求められる食品衛生の知識を,最新の知見と動向に基づいて簡明に解説。また,食品衛生監視員,食品衛生管理者を目指す人にも対応した内容を盛り込んだ。 近年,食の安全への関心から食品衛生の重要性が認識され,各部門においてリスク管理が徹底されつつある。多岐にわたる規則や方策を効率よく学修するために,表や図を多く用い,重要語句については側注を設けた。章末には演習課題を置いた。 食品衛生法改正,ゲノム編集技術応用食品の登場など,食品衛生を取り巻く環境の変化に対応する改訂版。管理栄養士国試出題基準に準拠。
内容紹介
まえがき
はじめに
本書は,管理栄養士および栄養士に求められる食品衛生の知識を十分に修得できることをめざし,最近の知見および動向に基づいて簡明に解説したものである。平成22年改定の管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)に準拠し,管理栄養士養成課程で定められた専門的内容をすべて記述した教科書でもある。また,食品衛生監視員,食品衛生管理者を目指す人にも対応できるように,食品の安全にかかわる,より専門的内容も盛り込んだ。
本書は川井英雄氏の企画・立案で始まったものである。各執筆者の原稿内容の確認まで尽力されたところで,逝去された。編著者一同,感謝し,冥福を祈りたい。
近来,食の安全への関心から食品衛生の重要性が認識され,各部門においてリスク管理が徹底されつつある。時代とともに食を取り巻く環境の状況は変化し,それに対応するための規則と方策も多岐に渡っている。技術的手法の進歩は質的な高度化を生み,学修の対象が量的に膨大化し,求められる知識も多くなった。学生の理解と習得の負担は大きく,このような状況下では効果的な学修が必要である。
本書では,表や図を多く用いて明快に解説することで理解を助け,学修の目標を達成しやすくしている。重要なキーワードを側注に示し,さらに詳しく説明しているところもその一助となろう。随所にあるトピックスでは,項目の主題に関連したことを過去の事象や具体的な例を紹介することなどにより,その事項に対する関心がもてるように導いている。演習課題では,学修した内容を発展させて,広く応用できる思考力をつけることに役立つであろう。巻末には,食品衛生関係法令・基準の資料等を付した。
本書の読者は化学,食品学などの初歩についてはすでに通じているものと想定して執筆した。食品衛生の専門に関連した内容について,より詳細な解説とその根拠を知りたい場合は,各所に示した出典または参考文献にあたることで確かな知識が身につくであろう。
本書の利用によって,教育の効果を高められることを望んでいる。
2015年3月
編著者 丸井 正樹
川村 堅
改定版はじめに
本書は,故川井英雄氏の企画・立案に基づいて2015年に初版を発行した。2017年には,その遺志を受け継いだ初版の執筆陣により,食中毒などの統計の更新や法改正にしたがって記述を改めて第2版とした。その後,食品衛生法の改正,ゲノム編集技術応用食品の登場など食品衛生を取り巻く状況や管理栄養士国家試験出題基準の改定に伴う管理栄養士教育の変化があった。これらの変化に対応するために,初版刊行時の編集方針は受け継ぎつつ,編者と執筆者の一部を交替し,内容を見直して新たな知見を追加し,改訂版とすることになった。本書が食品衛生学の学修に役立つことを願ってやまない。
簡明な解説ながらも内容の一層の充実を図ることを目指したが,記述の不備など不十分な点が多々あると思う。読者皆様から忌憚のないご意見をいただければ幸いである。最後に,本書の改訂に当たり,ご尽力いただいた筑紫和男氏をはじめ建帛社のスタッフ各位に感謝申し上げます。
2021年3月
編著者 川村 堅
斉藤 守弘
目 次
第1章 食品衛生と法規
1.食品の安全性の確保に関するリスクアナリシス(リスク分析)
2.食品安全基本法と食品衛生法
3.食品衛生関連法規
4.食品衛生行政組織
5.国際機関
第2章 微生物の基礎
1.微生物の形態
2.細菌の形態と構造
3.細菌の増殖
4.殺 菌
第3章 食品の変質
1.腐敗(微生物による変質)
2.油脂の酸敗
3.トランス型不飽和脂肪酸(トランス脂肪酸)
4.食品の変質防止法
5.鮮度・腐敗・酸敗の判定法
第4章 食中毒
1.食中毒の定義
2.食中毒の発生状況
3.細菌性食中毒
4.ウイルス性食中毒
5.自然毒食中毒
6.化学性食中毒
第5章 食品による感染症・寄生虫症
1.経口感染症
2.人畜共通感染症(人獣共通感染症)
3.食品から感染する寄生虫症
第6章 食品中の有害物質
1.カビ毒(マイコトキシン)
2.化学物質(農薬)
3.有害元素,放射性物質,内分泌かく乱化学物質
4.食品成分の変化により生ずる有害物質
5.発がん物質
6.混入異物
第7章 食品添加物
1.食品添加物のメリットとデメリット
2.食品添加物の安全性評価
3.食品衛生法による分類と表示
4.食品添加物の種類と用途
第8章 食品衛生管理
1.一般衛生管理事項
2.HACCPの概念
3.法律に組み込まれたHACCPシステム
4.民間認証機関によるHACCP認証
5.家庭における衛生管理―家庭でできる食中毒予防対策
6.残留農薬のポジティブリスト制度
第9章 器具と容器包装
1.器具と容器包装の概要
2.プラスチック
3.ラミネート
4.金 属
5.ガラス,陶磁器,ほうろう,その他
第10章 食品の新しい安全性問題
1.遺伝子組換え食品
2.有機食品と特別栽培農産物
3.放射線照射食品
4.アレルギー物質を含む食品
この本をみた方に
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