「健康管理(および健康づくり)」に関する基礎的事項から健康管理のすすめ方までを学修できる,栄養・スポーツ・その他保健医療福祉分野の専門職養成課程で学ぶ学生向け教科書。
医療保健分野のみならずスポーツ・身体活動分野との専門職連携が重要となる実践現場での要請に応えるべく,幅広い切り口において基礎知識を学ぶことができる。さらに,健康管理をとりまく栄養・保健・医療・福祉に関連する世界規模での情勢の変化をとらえ,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応や,国際保健の動向についても詳述した。加えて,新しい分子遺伝学の潮流も取り入れ,健康管理に関連する精密医学的知見をコラムで紹介した。
2024年4月からはじまる「健康日本21(第三次)」や関連する「健康づくりのための睡眠ガイド2023」「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」等のガイドラインをはじめとして,最新の統計データ・法令に対応。
内容紹介
まえがき
序 文
本書の前身は,栄養士・管理栄養士教育を柱とした 2004 年刊行の『N ブックス 健康管理論』(苫米地孝之助 編著)および,2014 年刊行の同書の改訂版(苫米地孝之助 監修・宮城重二 編著)である。その初版から 20 年,改訂からもさらに 10 年を数え,その間,健康管理に関わる栄養・保健・医療・福祉に関連する情勢は日本国内および世界レベルにおいても変化し,それに伴い健康管理学は学問としても著しく進歩した。対象となる人々の健康管理に関わる職種としての医師,看護師・保健師,管理栄養士(栄養士)・理学療法士等の医療保健分野に加え,スポーツや身体活動分野の指導者育成と医療保健分野の職種との連携が重要になってきている。そこで本書は,『栄養・スポーツ・保健分野のための 健康管理概論』と題し,内容を一新するとともに,各分野において,実践と研究を行うとともにそれらの人材の育成に携わる 10 名の専門家に執筆を依頼した。統計情報や法令に関して全面的に改正された最新のものを学修できるようにしたほか,「身体活動・運動」については章を独立させ記述を充実し(第 4 章),また「国際保健」についても新たに章を設けた(第 9 章)。さらに,国際的な健康危機となった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対処策や,コロナ禍後の状況を見据えて,その他の感染症への対応も取り上げた。またこれらの職種の国家試験出題基準に準拠するように,近年重要視されている事項を取り上げた。加えて,新しい分子遺伝学の潮流も取り入れ,健康管理に関連する知見をコラムで紹介している。
健康管理とその教育は実践的な学問である。国際的政策のアルマ・アタ宣言やオタワ宣言などさえ,いまだに目標が未達成である。わが国においても 2000 年に始まった「健康日本 21」は,健康寿命の延伸など一定の成果を挙げたが,目標値に到達できない項目が多く,2024 年度からはそれらへの評価を踏まえた対応を含めた第 3 次対策が始められようとしている。これらの目標達成においては,さらなる保健医療分野の専門職およびスポーツ・身体活動向上を図る指導者の教育に基づく実践が重要となる。編集者ならびに著者を代表して,本書がそれらの専門職および指導者を目指す学生諸君の学びに役立つことを願っている。
2024 年 4 月
監修者 香 川 靖 雄
目 次
第1章 健康と健康増進
1.健康の定義
2.健康の成立条件
3.健康増進の概念と歴史
4.プライマリヘルスケアとヘルスプロモーション
第2章 健康の現状
1.人 口
2.平均余命・平均寿命,健康寿命
3.出生,婚姻・離婚の状況
4.死亡の状況
5.健康状態・受領状況
第3章 健康に影響する生活要因
1.生活習慣要因と生活習慣病
2.栄養・食生活
3.休養・ストレス
4.喫煙・飲酒
第4章 生活習慣要因としての身体活動と運動の予防効果
1.身体活動・運動の現状
2.身体活動・運動不足による身体的な影響
3.身体活動・運動の効果と健康づくりに適した運動
4.健康づくりのための身体活動・運動の指針
5.WHO身体活動・座位行動ガイドライン
6.高齢者と運動
第5章 健康を阻害する疾病の予防
1.疾病予防の3段階
2.生活習慣病の予防
3.感染症の予防
4.精神疾患の予防
第6章 健康づくりの施策
1.国民健康づくり運動
2.健康づくりおよびヘルスケアの法的対応
3.組織と従事者
第7章 健康管理の進め方
1.健康管理の考え方
2.健康管理の方法
3.健康教育
4.健康相談
5.健康診査・スクリーニング
6.健康管理の実際
第8章 EBMに基づく健康管理
1.EBMの概要
2.疫学的研究(エビデンスの収集)
3.統計学的手法(エビデンスの評価)
4.研究活動における倫理指針・利益相反(COI)について
第9章 国際保健(グローバルヘルス/プラネタリーヘルス)
1.公衆衛生の誕生
2.国際保健(インターナショナルヘルス)の展開
3.グローバルヘルスの誕生
4.持続可能な開発目標(SDGs)とプラネタリーヘルス
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