福祉ライブラリ

司法と福祉 第2版 ―対象者主体の支援のために―

著 者
発行年月日
2026年3月25日
ISBN
978-4-7679-3453-2
Cコード
C3036
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定価 3,960(本体価格:3,600円) 在庫あり

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内容紹介

「刑事司法と福祉」教科書。再犯防止と生活支援という,司法と福祉の異なる見方を組み合わせた対象者支援のために,必要となる法的知識を判例を引きつつ解説。 改正刑法に対応した第2版。

まえがき

はしがき

 従来の刑罰である懲役刑と禁錮刑を一本化し,新たに「拘禁刑」が創設されました。刑罰の種類が変更されるのは,1907(明治40)年に現行刑法が制定されて以来,約120年ぶりです。その背景として,従来の刑務作業が再犯防止に繋がっていないことや,受刑者の高齢化で一律の刑務作業が困難になっていることが考えられます。

 司法とは,法に基づいて,適正な手続を通じて権利の救済を図り,具体的な紛争を解決する国家作用です。司法の役割は,侵害された権利を救済し,法に基づき,裁判により強制的に解決することによって,社会秩序を維持し,人々の権利や自由を守ることにあります。刑事司法システムは,警察,検察,裁判所,矯正(刑務所・少年院など)で構成されており,社会福祉士や精神保健福祉士は,地方検察庁,刑務所,更生保護施設等に入って,検察官や弁護士などの多職種とチームを組み,他機関と連携協働しながら活動しています。

 福祉の役割は,生きにくさを感じている人に寄り添い,法律や制度などあらゆる社会資源を活用して,人々の幸せづくりを支援することです。

 この司法と福祉の見解が相違する場合があります。刑務所出所者に対する支援を例にすると,対象者への住居確保,就労支援などは,司法の立場においては「再犯防止」を目的としています。これに対し,福祉の立場では対象者の生活全般の支援それ自体を目的としてさまざまな援助を行います。

 このように同じ対象者でも,司法からの見方と福祉からの見方は異なっていますが,司法と福祉を組み合わせることにより再犯防止と同時に生活支援をすることができ,両者を車の両輪として体系立ったモノの見方や考え方という知の創造が生まれる場合があります。

 社会心理学者クルト・レヴィンは,「良い理論ほど実践的なものはない」と提唱しています。先行きの見えない,多様な価値観が共存する現代において,理論や知見は,現実を捉え,その本質をより適切に説明するための手段であると考えます。良い理論どおりに実践家(現場)が何かを実行していけば,良い実践が生まれることもありますが,良い理論とは実践家(現場)に刺激・創造性・ひらめきを喚起し,実践を組み立てる際のヒントを提供することです。

 対象者一人ひとりが自分らしく暮らし,働き,生きることにつなげるためには司法と福祉の両面の本質的な理解が必要です。

 本書では,国家試験の過去問題を通じて,社会福祉士・精神保健福祉士に求められる適性を理解し,福祉の専門職として,法的問題を発見し,紛争の原因や争点を分析・評価した上で,適切な社会資源を利用することにより,問題の解決を図り,司法との懸け橋となる人材,そして,対象者のもっている潜在能力を開花させ,どのような人でも存在自体に価値があり,無駄な人はいないという日本国憲法の第13条の「個人の尊重」の理念のもとに,人々の幸せづくりに貢献できる人材の育成を目的としています。

 司法と福祉に関する法律と制度に一貫として流れる本質を理解することによって,声を上げることができない,または,福祉の救済手段さえわからない人の権利を擁護するために,その人に寄り添い,その人の意思決定を支援しつつ,条文,判例などを利用して,自らが選択した法的判断の妥当性を第三者に対して論理的に説明できることも目指しています。

 本書では,司法・福祉の取り組むべき課題を多面的・総合的に分析できるように,分析の素材として,「精神保健福祉の制度」,「商法・会社法による福祉経営・組織の法体系」,「行政法・民法に関する判例」も取り上げました。

 本書を通じて,将来,ソーシャルワーカーとして,司法に関わる実務において,対象者の幸せづくりに貢献できる人材の育成に寄与できるように,必要な知識と情報を提供しましたので,ご活用いただければ幸いです。

 最後に本書を発行するにあたってご尽力をいただいた,株式会社建帛社の加藤義之氏に対して厚く御礼を申し上げます。

 2026年4月

菅原好秀

目 次

第1章 刑事司法と福祉

第1節 刑事司法と更生保護

第2節 再犯防止の具体的な取組み

第2章 刑法と刑事司法手続

第1節 刑法の基本原理

第2節 犯罪の成立要件と刑事手続の概要

第3節 刑事事件手続と更生保護

第3章 更生保護制度 総論

第1節 更生保護の目的

第2節 更生保護の主な内容

第3節 刑事手続における被害者のかかわり

第4章 更生保護制度 各論

第1節 保護観察

第2節 仮釈放

第3節 更生緊急保護

第4節 更生保護における犯罪被害者等施策

第5節 恩 赦

第6節 更生保護制度の担い手

第5章 医療観察制度

第1節 医療観察制度の成立と概要

第2節 医療観察制度の内容

第6章 少年非行

第1節 少年非行の全体像

第2節 非行少年の処遇

第7章 精神保健福祉の制度

第1節 精神保健福祉法の概要

第2節 精神保健福祉法の内容

第3節 精神保健福祉法による入院形態

第4節 障害者総合支援法

第5節 障害者総合支援法に基づく国・都道府県・市町村・事業所の役割

第6節 メンタルヘルス概論

第7節 発達障害者支援法

第8節 依存症

第9節 障害者権利条約,障害者差別解消法

第10節 障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン

第8章 高齢犯罪者と罰金刑―社会内処遇からの一考察―

第1節 高齢犯罪者の犯罪原因

第2節 罰金刑の法改正の背景と意義

第3節 社会内処遇

第4節 今後求められる高齢犯罪者における社会内処遇

付章1 商法・会社法

第1節 福祉経営と商法・会社法の位置づけ

第2節 商 法

第3節 会社法

付章2 判例集

第1節 行政法

第2節 民法判例集

付章3 国家試験過去問題研究

第1節 精神保健福祉に関する試験問題

第2節 更生保護制度に関する試験問題


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書籍情報

シリーズ名・巻数 福祉ライブラリ
書籍名 司法と福祉 第2版
著 者
分 野
シリーズ 福祉ライブラリ
ISBN 978-4-7679-3453-2
Cコード C3036
定 価 3,960円 (本体価格:3,600円)
発行年月日 2026年3月25日
版型・装丁 A5 並製
ページ数 336ページ
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