内容紹介
まえがき
はじめに
告示文書である,幼稚園教育要領,保育所保育指針,幼保連携型認定こども園教育・保育要領は2017(平成29)年3 月に改訂(定)され,2018(平成30)年4 月からそれぞれの保育の場(幼稚園,保育所,認定こども園をいう)で,新しい基準に基づいた保育が実践されている。今回の改訂(定)では,「育みたい資質・能力」として① 「知識及び技能の基礎」,② 「思考力,判断力,表現力の基礎」,③ 「学びに向かう力,人間性等」の3 つが示された。また,「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」が10 項目あげられた。加えて,保育所が「幼児教育の場」として保育所保育指針に明確に位置付けられた。
これらの内容は,“改訂(定)”を明確に感じ取れる部分であり,保育関係者の主たる関心がこの点に集まっている印象があるのも無理のないことだと思う。しかし,改めて今回の改訂(定)を見直してみると,改訂(定)の有無にかかわらず,「環境」という言葉が変わらぬキーワードとなっていることがわかる。
それは単に,5 領域の一つである保育内容「環境」が今回の改訂(定)でも存在している,という意味だけではない。保育という営みの中で,保育者が「環境」という視点を日々もつことが,子どもを守り(養護=Care),子どもの発達を援助する(教育=Education)という保育の本質を具体化するときに不可欠であるということに改めて気付かされるのである。子どもが安全,安心に生活できる環境とは何か,子どもの主体的な学びを保障するための環境とは何か,という二つの問いは,一体となって保育者(幼稚園教諭,保育士,保育教諭をいう)に常に課せられてくる。この問いと向き合い,思考と実践を重ねていくことが,結果として,保育者が子どもの最善の利益を保障し,子ども自らの育つ力を支えることを可能にすると考えられる。
本書は基本的に,概論編と事例編に分かれて構成されている。概論編で得た知識を事例編の内容と照らし合わせ,他の教科で学んだ内容も活用しながら,「自分なりの見解」を積み重ねていってほしい。そして,「自分なりの見解」を読者同士で交換し,個々の理解を深めてもらいたい。このような形での理解の深まりこそ,保育の場における,保育の理解,子どもの理解の深化そのものだからである。保育内容「環境」の学習が,保育という営み全体の豊かな理解につながることを望みたい。
2018 年4 月
編者 髙橋貴志
目良秋子
目 次
1 保育内容「環境」の概要
2 保育内容「環境」を学ぶ意味
第2章 園内の環境と保育
1 園内の環境とは
2 園内の環境の実際
第3章 園庭の環境と保育
1 園庭の環境とは
2 園庭の環境の実際
第4章 自然環境と保育
1 自然環境とは
2 自然環境と保育実践
第5章 社会環境と保育
1 社会環境とは
2 社会環境と保育実践
第6章 文字・数・図形への興味・関心と保育内容「環境」
1 保育における文字・数・図形に関する学びの位置づけ
2 文字・数・図形に関する学びの実際
第7章 小学校教育との連携と保育内容「環境」
1 小学校教育と保育
2 保育内容「環境」の視点と小学校教育
第8章 子育て支援と保育内容「環境」
1 子育て支援と環境
2 子どもの育ちの基礎となる家族や地域社会を生成するために
第9章 これまでの学びを振り返る
1 これまでの学びの整理
2 5領域の一つである意味
資料
この本をみた方に
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