保育士養成・幼稚園教諭免許課程の2019年度新カリキュラムに準拠。
豊富な事例を掲載し,海外の保育事情,ポートフォリオ等も詳説。
保育士養成・幼稚園教諭免許課程の2019年度新カリキュラムに準拠。
豊富な事例を掲載し,海外の保育事情,ポートフォリオ等も詳説。
近年,保育現場は,保育所,幼稚園,認定こども園に加え,小規模型保育所,家庭的保育施設等,就学前の保育・幼児教育施設は多様化しています。子どもを取り巻く状況も,引き続き深刻化している少子化,子育て家庭の孤立化といった子育てをめぐることや情報化,都市化,グローバリゼーションといった経済・社会の影響を受けて複雑化しています。ゆえに,ますます保育者
や保育現場に専門性と資質の向上が期待されています。
本書『保育内容総論』はこうした状況を踏まえて,過去・現在・未来,および,家庭・地域・社会・世界をつなぐ内容になっています。ですから本書の構成は,本書の学びのポイント,歴史的な子ども観と保育内容の変遷から始まり,「 保育所保育指針」「 幼稚園教育要領」「 幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の理解と保育内容の関係性,子どもの育ち,保育内容と計画との関係性,子ども理解のあり方,保育の評価,インクルージョン,諸外国における保育内容,そしてESD(持続可能な開発のための教育)と幅広くなっています。
各章の執筆者が心がけたことは,本書を手にとられる方たち(多くの場合,保育者養成機関に学ぶ学生でしょう)が,「何だろう」「どうしてだろう」「私だったら」と内容を語り合えるように文章を作成することでした。ですから,各章の最後に「演習問題」を設けています。一人で,少人数の仲間と,さらにクラスで大いに語り合い,さらなる問いを見出して,子どものように探究心と好奇心旺盛である学び手として修練していただきたいと思います。
今日,子どもが必要とすることに私共は答えたい。その逆ではない。
子どもが本当に必要としていることを読み取るのはとてもむつかしい。それには修練を要する。常に自らを新たにする「知」と,相手の身になる「情」とを必要とする。私共も親もその力をつけたい。これはこの学校で毎日心がけていることである。そこに生命的秩序が生まれる。
(津守 真:保育者の地平,ミネルヴァ書房,p. 198,1997.)
上記は,子どもと共にあることの尊さを常に語られ,子ども,保育者,保護者と共にある生活を実践された,津守真先生(1926-2018),が,愛育養護学校校長を務めていらしたときの入学式の話の草稿です。本書は,保育者に求められている「知」と「情」を携えて,子どもと日々の保育を創造していかれるための保育内容を総合的に学べるように考えて編纂されています。ただし,その学びは,今すぐ保育現場で使える,ということにはならないかもしれません。それだけ保育の世界は奥深く複雑です。しかし,その根源に子どもと共に育つ喜びと楽しさがあることを確信して,本書を学んだ皆さんが歩んでいかれることを願っています。
最後に,本書の刊行にあたり,ご協力いただいた保育現場,保育関係者のお一人お一人,建帛社編集部の皆さんに心からお礼を申し上げます。
2019年2 月
編著者を代表して 森 眞理
第1章 子どもの生活と保育内容
1.保育内容とは
2.子どもの生活と「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」
3.保育内容総論の学びの意義
第2章 保育内容の歴史的変遷
1.近代以前の子ども
2.明治~戦前の日本の保育
3.「保育要領」から「保育所保育指針」へ
第3章 現代の保育の基本と課題
1.「保育所保育指針」にみる保育の基本
2.「幼稚園教育要領」にみる保育の基本
3.「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」にみる保育内容と課題
4.「小規模保育」とは
第4章 乳児期の保育
1.人との関わりで育つ
2.豊かな環境で育つ
3.遊びを通して育つ
第5章 保育計画と保育内容とのつながり
1.「全体的な計画」「教育課程」と指導計画,保育内容とのつながり
2.地域交流および子育て支援に関する保育計画と保育内容
3.食 育
第6章 「対話的な深い学び」のための子ども理解と保育実践
1.子ども理解と対話的な深い学びとは
2.着目する子どもの姿と育ちのとらえ方
3.保育の場面記録から子どもの姿をとらえる【演習】
第7章 記録のとり方と保育の評価
1.保育の活動記録と評価の意義
2.記録の種類
3.評価について
第8章 インクルーシブ保育
1.インクルーシブ保育とは
2.保育における「合理的配慮」とは
3.インクルーシブ保育における子ども理解
4.個別の指導計画の作成
5.共生社会とインクルーシブ保育の実現へ向けて
第9章 諸外国の保育に学ぶ多様な保育と保育者の専門性
―「主体的な遊びと学びが可視化(見える化)」する保育と対話から私(たち)の保育を切り拓く―
1.保育の場における「学びと育ちの可視化(見える化)」の重要性の背景
2.イタリアのレッジョ・エミリア市の乳児保育所・幼児学校
3.ニュージーランドの乳幼児教育
4.イギリスの乳幼児教育
第10章 保育内容におけるESD
―「地球規模で考え,身近なところから」に向けて―
1.ESDについて理解する
2.SDGsについて理解する
3.ESDと保育内容:人間と自然の関係性
4.これからに向けて
領域に関する専門的事項「幼児と環境」および保育内容の指導法に対応する教科書。事例を中心に保育をイメージしやすい内容で展開。各章冒頭・章末に演習課題を掲載し,事前事後の自発的学習に活用できる。
領域に関する専門的事項「幼児と表現」および保育内容の指導法に対応する教科書。事例を中心に保育をイメージしやすい内容で展開。各章冒頭・章末に演習課題を掲載し,事前事後の自発的学習に活用できる。
幼稚園教諭の教職課程において新たに設置された「領域および保育内容の指導法に関する科目」のうち「言葉の指導法」の教科書。さまざまな角度から「言葉」に関する保育実践を具体的に述べる。
幼稚園教諭・保育士養成課程の教科書。子どもを主体者とした「遊びの展開」を保育の中心的課題ととらえて,保育実践力の育成を目指す。
保育実践でのICT機器活用の可能性を考えた「保育内容総論」のテキスト。理論編は総論の基本的内容を押さえつつ,実践編は園で過ごす1日の流れに沿いICT機器を活用した実践事例を多数掲載し解説。
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