演習 保育内容 「言葉」 ―基礎的事項の理解と指導法―

著 者
発行年月日
2019年4月25日
ISBN
978-4-7679-5102-7
Cコード
C3037
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定価 1,760(本体価格:1,600円) 在庫あり

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内容紹介

領域に関する専門的事項「幼児と言葉」および保育内容の指導法に対応するテキスト。事例を中心に保育をイメージしやすい内容で展開。各章冒頭・章末に演習課題を掲載し,事前事後の自発的学習に活用できる。

まえがき

はじめに

 保育を学ぶみなさんであれば,現在の日本の保育制度がとても複雑であることを知っていることだろう。幼稚園(文部科学省),保育所(厚生労働省),幼保連携型認定こども園(内閣府)など,様々な保育の場がある。しかし,今回の改訂(定)で,どの保育の場においても,幼児教育を行うことが決まったことは,画期的なことである。そして,小学校就学前までに育みたい資質・能力と「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が,共通して定められた。それも,これまでと同じく5領域の保育内容を通してとされている。

 そのために,どの保育の場においても,保育内容である「領域」ごとのねらいと内容の共通化が図られた。具体的には,3~5歳児の保育内容の共通化,さらに,3歳未満児の子どもを保育する場である保育所と幼保連携型認定こども園においては,1歳~3歳未満児の保育内容と乳児保育(0歳児)の保育内容についても,共通化が図られることになった。また保育者養成課程における,保育内容の基礎的事項と指導法についても,実践に基づいてより深く学ぶことが求められるようになった。おそらく,日本で育つ就学前の子どもたちは,どの保育の場であろうと,同じように豊かな育ちを保障したいという願いが込められているからであろう。

 本書の特徴は,新たな養成課程が求める,保育内容「言葉」の領域の指導法について,基礎的事項についても,実際の指導法についても,学ぶことができるようにしたことである。そのため,養成校で学ぶべき要素を,どの章で学ぶことができるかを示す表を付けることにした(目次の前に掲載)。この表を確認することによって,保育者養成の中で求められている保育内容の学びについてや身に付けるべきことを理解し,学生自らさらに学びを深めることができるようなガイドとすることにした。大学等の養成校での学び方も今回大きく変わり,アクティブラーニングや実際に授業を受ける時間の2倍の事前・事後学修をすることが求められるようになった。アクティブラーニングのためには,その準備やまとめるための時間が必要だからである。この表は,アクティブラーニングと学生主体の学びのためのガイドとして使っていただけたら嬉しく思う。

 さて,保育内容「言葉」について,学ぶということは,多くの「問い」から出発するべきであろう。例えば,そもそも私たち人間にとって「言葉」とは何か,「言葉」はどのように育って(発達して)いくのか,保育内容「言葉」のねらいや内容はどのよう定められていて,どのように指導したらよいのか,それ以前に,子どもの言葉の実際はどうなっているのか,計画や評価はどのようにしたらよいのか,などである。本書では,保育内容「言葉」をめぐる「問い」を探求する旅のように組み立てた。各章に掲載した,たくさんの事例を読むことで,子どもの姿をイメージしたり,保育者の援助の意図を考えながら,学んでいただきたい。また,事例からは,子どもたちが遊びや生活の中で必要になって,自分なりに言葉の世界を広げている姿が見えてくるだろう。まさに,子どもって,かわいいなぁ,面白いなぁ,子どもなりに考えてるなぁなど,子どもへの理解と共感から保育内容を学んでいけるテキストをめざした。

 このテキストを基本にして学び,実習やボランティアを経験し,また,テキストに戻って学び,あなたらしく子どもの「言葉」の豊かな育ちを支える保育を創造できるようになってほしいと願っている。

  2019 年3月

編者 戸田雅美

目 次

Ⅰ.保育内容「言葉」への理解

第1章 「言葉」ってなんだろう

1.人間にとっての言葉の意義

2.言葉の美しさや楽しさを味わう

3.言葉の不思議に気づかせてくれる言葉遊び

4.子どもの言葉から読み取る



第2章 子どもの言葉の育ちとその道すじ

1.言葉の育ちの道すじを知る意味

2.言葉の誕生以前

3.一語文から二語文へ

4.語彙の発達

5.会話の発達

6.言葉と思考

7.話し言葉から書き言葉へ

第3章 領域「言葉」のねらいと内容及び評価

1.保育における「要領」「指針」の全体構造と領域「言葉」

2.領域「言葉」のねらいと内容及び評価

Ⅱ.言葉の育ちを支える保育の実際

第4章 0歳児からの言葉の育ちを支える

1.言葉の前の言葉

2.相互応答的なかかわり

3.繰り返しとずらし

4.指さしと三項関係

5.一語発話の時期

6.発話を促す大人のかかわり

第5章 1歳から3歳未満児の言葉の育ちを支える

1.1歳児から3歳未満児の言葉の実際

2.言葉が育まれるために

3.人とのかかわりと言葉

4.社会的なルールとしての言葉

5.保育文化財の中にある言葉

6.身近な人とのかかわりに支えられて

第6章 言葉で伝え合えることの喜びを支える

1.遊びや生活の中で生まれる「言葉」を表現する喜び

2.言葉で思いや考えを伝え合うこと

3.遊びの中の協同的体験と伝え合い

第7章 遊びから生まれる表現を支える

1.心の動きと言葉

2.自分の気持ちを表現する

3.言葉遊びや劇的表現を支える

4.気持ちが伴う豊かな言葉の育ち

第8章 言葉で考える意欲の育ちを支える

1.自分の言葉を育てる

2.身体や体験を通じて自分の言葉を獲得する

3.自分なりのペースで考える

4.一人で考える

5.友達と考える・みんなで考える

6.文字で考える


第9章 言葉でのかかわりに配慮を要する子ども

1.ある実習生の姿から

2.外国籍の子ども

3.障害のある子ども

4.専門機関・医療機関との連携から



第10章 言葉を育む文化財


1.絵本,物語,言葉遊び,アプリなど

2.文化財との出会いから遊び,そして言葉の育ちへ

第11章 指導案作成から保育へ

1.保育へとつながる指導案の作成

2.指導案からつながる保育実践

3.振り返りと評価



第12章 言葉をめぐる相談と保護者との連携

1.保育における相談・助言

2.保育者を不安にさせる言葉の問題

3.言葉の遅れ

4.相談への対応

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書籍情報

シリーズ名・巻数
書籍名 演習 保育内容 「言葉」
著 者
分 野
シリーズ 演習 保育内容
ISBN 978-4-7679-5102-7
Cコード C3037
定 価 1,760円 (本体価格:1,600円)
発行年月日 2019年4月25日
版型・装丁 A5 並製
ページ数 176ページ
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