災害時に生じる食・栄養問題にスポットをあて,ストーリー仕立てで茶子ちゃんの成長と共に被災地において必要な知識を理解する。
内容紹介
まえがき
はじめに
「天災は忘れた頃にやってくる」というのは,いまや昔の話です。日本では,地震災害だけでなく台風・大雨・洪水等による災害が毎年発生し,そのたびに食事の問題が生じています。長引く避難生活による災害関連死を少しでも減らすためには,食事・栄養の改善は喫緊の課題であり,その重要性は増してきています。
本書は,災害時に生じる食・栄養問題にスポットをあてた,食支援のテキストです。誰もが理解しやすいテキストとなるよう,ストーリー仕立てのQ & A形式で構成されています。学生のときに被災した主人公(茶子さん)が管理栄養士として就職し,災害支援栄養士(日本栄養士会災害支援チームJDA-DAT)となり,実際の被災地派遣を経験していく様子とともに災害に関する法規や食支援について学べます。
また本書は,管理栄養士養成課程の必修科目である「総合演習」の学生向けテキストとしても最適だと考えます。総合演習は「専門分野を横断して,栄養評価や管理が行える総合的な能力を養うこと」を教育目標としています。災害時の食支援は,被災者のライフステージや取り巻く環境,行政による災害支援の仕組み,炊き出し等の大量調理や食品衛生の問題など,管理栄養士養成課程で学ぶ多くの知識や技術を必要とするため,総合演習の題材として適しています。
自然災害等の被災地での食支援は,管理栄養士・栄養士の活躍の場として,さまざまな職域において重要な位置づけとなっています。その象徴ともいえるのが日本栄養士会が組織している災害支援チームJDA-DATで,現地に派遣され栄養支援を担うチームとして期待されています。本書は,管理栄養士・栄養士としての各職域における災害対応に関する総合的な知識を修得する書であると同時に,実践的な内容も盛り込まれたJDA-DATの研修テキストとして活用されることも想定しています。
災害が発生した際に,本書により少しでも食・栄養問題を軽減することができれば幸甚です。
2020年(令和2年)10 月
筆者を代表して 須藤 紀子
笠岡(坪山)宜代
目 次
第1章 地震大国ニッポン
最大震度7の地震による被害状況
災害対策の必要性
第2章 災害時の食支援―基礎編―
水や食料の備蓄
災害時の被災者支援
避難所における管理栄養士の役割
食支援の流れと行政の役割
防災計画
炊き出し
災害時の食支援の変化
災害時の大量調理と衛生管理
災害関連法と被災者支援
避難所で提供される食事
利用者の状況やニーズに応じた食事提供のために
日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)
特殊栄養食品
災害時要配慮者
第3章 災害時の食支援―給食施設編―
給食施設の災害対策
災害時の対応とマニュアルの作成
給食施設における新型感染症への対策
第4章 災害時の食支援―JDA-DAT編―
JDA-DATとは
災害時の食・栄養支援
災害初期(発災~亜急性期)の食支援と課題
水分,エネルギー,栄養素と健康
避難生活における健康問題
被災者支援の実際
第5章 日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)の活動実績
災害発生時の栄養・食生活支援
これまでの災害支援への取り組み~JDA-DAT活動を中心に~
JDA-DATの主な支援活動の内容
書籍に関する
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