平成25年9月1日
医療経営に参画・活躍する医療秘書
株式会社 医療情報科学研究所代表取締役 埼玉女子短期大学准教授 長面川 さよりこの著者の書いた書籍
医療の技術,製薬,医療機器等は日進月歩である。医療に関連する事務職種も多様化し,事務部門が担う役割も機能も日々進展している。
医療の事務部門の中には,医師の負担軽減を担う医師事務作業補助者,医局や医師等の各部門秘書,診療の対価である診療報酬に関連する医事職員,データ分析やシステム構築等に携わる事務部門,その他さまざまな職種が存在し,その職務への要望・期待は大きい。
医療秘書(医療に関する事務系職種)の教育機関として,専門学校,短期大学,大学等があり,多様なカリキュラムを構築し,医療の現場に巣立つ学生たちを育成している。筆者もその一人であるが,学生が社会人となり,医療現場で必死で働く姿に出会う瞬間が,一番の喜びといっても過言ではない。
私が彼等・彼女等と再会を果たすのは,病院経営に参画する業務の同じフィールドにおいてである。疾病情報や投下医療資源の整合性を図り,経営そのものへの支援を行っている姿,医師をはじめとする診療サイドの専門職が,専門業務により一層従事することができるようにと支援業務を行っている姿も見受けられる。
卒業後少し経験を積むと,医療従事者の人員構成や施設・設備等の体制の評価を試みる者,診療報酬項目の施設基準届出の構築や運用を行う者,各種指標のデータ算出や分析などを行い経営情報を有効に活用する者,電子カルテなどの医療情報システムの構築に傾注する者などがおり,今後の医療経営の根幹を担う職員に成長している。
多岐にわたる部署で活躍する姿,医療への貢献・社会への貢献を行い,いきいきと働く卒業生の輝く姿を目にし,一緒のフィールドで病院経営に参画できる機会をいただくことで,育成教育・実学教育と実践が結びつくのを見るとき,何よりも教育の重要性を実感する。
昨今では,病院の機能分化として,特定機能病院や地域医療支援病院が掲げられているが,文部科学省の「平成25年度 国公私立大学を通じた大学教育改革の支援の充実等」においては,高度医療人材の養成と大学病院の機能強化の一つとして「大学病院における医師等の勤務環境改善のための人員の雇用」に医師事務作業補助者(医療クラーク)等を雇用し,医師が診療業務に専念できる環境を整える取り組みを支援する予算案が21億円計上されている。
診療報酬・介護報酬改定や都道府県医療計画,社会保障と税の一体改革などさまざまな制度の改革・変革の中,臨床にかかわる事務職にとり,より早い情報の収集は必須となる。就職先も,施設・薬局・医療機関・医療関連企業など多岐にわたっており,多くの活躍の場がある。不安になった際には,背中を押してくれる心強い母校と,幅広い情報をもって支援を行う教員たちがいることを思い出してほしい。
日本のより良い医療の実現に貢献できる医療秘書の皆さんのますますの活躍に期待が高まる。
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