建帛社だより「土筆」

令和3年1月1日

新たな日常における著作物の利活用(社長年頭の辞)

あけましておめでとうございます

本年も宜しくお願い申し上げます 

 年は新型コロナウイルス感染症の蔓延により,正解のないその対応に振り回される1年となりました。感染者数の増減に一喜一憂し,本稿を執筆している12月は急速に感染が再拡大している最中で,本誌が皆様のお手元に届く頃にはどのような状況になっているのか想像もできません。

 年は,2019年末に公表された「日本人の食事摂取基準2020年版」に沿い,4月の新学期を目途に関係教科書の多くを見直しました。本来であれば関連学会の大会等での書籍展示や訪問営業によって先生方へお披露目するのですが,コロナで学会大会は軒並み中止もしくは誌上・Web開催となり,また,感染者数の多い東京からの訪問でご迷惑をお掛けしてしまうことから,通常のようなご案内はできませんでした。

 年は「日本食品標準成分表2020年版」を受け,関連する教科書は内容を見直してまいります。本誌下部に,2021年度に向け準備を進めている新刊・改訂版教科書を紹介しております。ご覧いただき次年度のご採用につきお役立ていただければ幸いです。

 ロナ禍で2020年度前期はオンライン講義を取り入れていた学校が多かったかと思います。オンラインによる講義資料配布に関する著作権についてのお問い合わせが多くございました。

 育利用のために著作物の一部を紙媒体に複製し授業の際に配布することは,許諾を得る必要がなく無償です(ただし,著作者の権利を不当に害することのない範囲の頁数,配布部数に限られ,その範囲を超える場合にはライセンス料を支払う必要があります)。ネット社会の進展に伴い遠隔授業の必要性が高まってきたことを受け,2020年4月施行の改正著作権法により,授業目的公衆送信補償金制度が創設されました。今まで紙媒体に限っていた複製利用ですが,電子的にも無許諾で利用可能となりました。ただし,電子的利用は有償となり,事前に授業目的公衆送信補償金に係る指定管理団体である一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)に届出ることが要請されています。オンライン授業を余儀なくされたコロナ禍における救済措置として,2020年度に限り無償利用が認められていましたが,2021年度からは有償となります。著作物を複製して,オンラインにて配信利用する際には,十分にご注意ください。

 年もすでに学術集会をオンラインで開催する旨ご案内をいただいている学会があります。先生方とお会いする機会が減ってしまうことは残念でなりません。オンラインでの会議も時間さえ合えば,場所を選ばず開催できて便利ではありますが,会議の本題のみで雑談が生まれず,新たなアイデアは生まれにくいように感じます。

 日も早く自由に往来できる日常を取り戻し,先生方と笑顔を交えてお話しできる日がやってくることを願ってやみません。

目 次

第113号令和3年1月1日

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