カリキュラム論の基礎・基本を押さえた幼児教育・保育のテキスト。基礎理論をベースに実際のカリキュラム・指導計画,エピソード等を豊富に掲載。根拠をもった保育実践力を育むことを主眼に編集した。
内容紹介
まえがき
はじめに
現代は,常態化した少子高齢化や様々なテクノロジーの急速な発展によるイノベーションの進化により社会の変動・変化も著しく,将来の予見が難しい時代となっています。また,気候変動等による自然災害の頻発は,我々の生活に深刻な影響を及ぼすようになっています。さらに,子どもの育ちや育てにおいても大きな変化が生じ,そのあり方においても変容を迫られています。
そうした中で,世界中で,様々な分野で,「持続可能な社会」をみすえた今日の,将来の,個人や社会のあり方が模索されています。混迷する状況の中で,「責任をもち,自分らしく,逞しく,豊かに,自律して,共に生き抜く力」を備えた人間の形成において,重要な役割を担うのが教育や保育です。「そのためにはどのような資質・能力が必要なのか」「保育の内容・方法はどうあるべきなのか」を考え実践していく上で要となるのが「カリキュラム」です。
本書は,保育の本質や対象を理解し,カリキュラムや保育計画の基礎・基本となる事項を学び,それらを根拠に保育を考え実践できる力を身につけ,さらに創造的に保育を生み出していく力を身に付けていくことを目的としています。本書には四つの特長があります。第一に,子どもの「姿」をイメージし,興味や関心をもって学べることを編成の理念としました。第二に,できるかぎり各章で実践事例や指導計画,エピソード等を取り入れました。第三に,各章のはじめに学ぶ内容を明確にするために「めあて」を示し,最終ページに学びの振り返りのための「演習課題」を設けました。第四に,各章のおわりに「コラム」を掲載し,さらに知見を広げ,深めるトピックを盛り込みました。
本書は,保育者(幼稚園教諭・保育士・保育教諭をいう)の養成段階でも,保育者になってからでも活用できるテキストを念頭に編集いたしました。執筆は幼児教育・保育をはじめ子どもに関する研究,保育者養成,保育現場等に精通された気鋭の先生方にお願いしました。
教育・保育の専門書であり,実践のための指導書・参考書であり,保育者を目指す人のためのテキストとなる書と自負しております。保育を志す方々や保育に携わる方々に「いい保育者になりたい」「いい保育がしたい」と思うきっかけや,そのための学びの糧として役立てていただければ,この上ない幸せです。
2026年 4 月
編著者 三宅茂夫
目 次
第 1 章 保育の意味と「資質・能力」の育ち
1 保育を通して育みたい「資質・能力」と「願い」
2 保育とはなにか
3 保育における「ねらい」と「育ってほしい姿」
4 資質・能力をめぐる現代的動向
コラム 「非認知能力」ブームの功罪
第 2 章 教育課程等とカリキュラム・マネジメントの意味と構造
1 教育課程,全体的な計画
2 カリキュラム・マネジメント
コラム カリキュラム・マネジメントを支える保育者のコミュニケーション
第 3 章 保育における指導案作成の理論
1 はじめに
2 指導計画作成の基本的手続き
3 指導計画作成の前提として留意すべきこと
4 長期指導計画及び短期指導計画の作成理論
5 指導計画作成の理論が示すもの
コラム 子どもの現実から保育は始まる
第 4 章 子ども理解と保育評価の意味と実際
1 子ども理解と保育評価
2 子ども理解と保育記録
コラム 「はじまりの物語」を紡ぎあう日々
第 5 章 総合的な活動における「領域健康」の視点からのとらえ方
1 子どもの健康とは
2 領域「健康」に関する保育の「ねらい」及び「内容」
3 楽しく体を動かすための実践活動
4 指導計画作成の実際
コラム 保育実践における評価のあり方
第 6 章 総合的な活動における「領域人間関係」の視点からのとらえ方
1 「領域 人間関係」の理解
2 人間関係に着目した指導計画の作成
3 様々な人との関わりから社会性を育む
コラム みんな,ウサギのお世話をしたいから
第 7 章 総合的な活動における「領域環境」の視点からのとらえ方
1 「領域 環境」とは
2 「領域 環境」の「ねらい」からみた「主体的,対話的で深い学び」
3 「領域 環境」が育みたい力を事例からとらえる
コラム 持続可能な社会を目指した保育の模索
第 8 章 総合的な活動における「領域言葉」の視点からのとらえ方
1 総合的な活動と「領域 言葉」
2 「領域 言葉」における具体的な発達の視点
3 生活と遊びの中で育つ「言葉」
4 実践例から学ぶ保育計画
コラム 言葉とコミュニケーション
第 9 章 総合的な活動における「領域 表現」の視点からのとらえ方
1 「幼児と表現」をめぐる思想史的背景
2 要領にみる「領域 表現」のとらえ方の歴史的変遷
3 ドイツの乳幼児期カリキュラムの紹介
4 「領域 表現」に関わる先駆的試み
コラム 民族教育における「表現」とアイデンティティ―朝鮮幼稚園の実践―
第10章 効果的な模擬保育の実践法
1 模擬保育とはなにか
2 模擬保育の意義と目的
3 模擬保育の計画・準備
4 模擬保育の実践の流れ
5 模擬保育の実践での役割と留意点
6 振り返りと評価
コラム 模擬保育における教材選び
第11章 ICT等を活用した保育展開
1 ICT導入の背景と保育の変容
2 海外におけるICT活用の実践事例
3 ICT導入がもたらす保育の質的転換 ―制度的枠組みを超えて―
4 ICTがもたらす日々の保育への肯定的影響
5 生活場面におけるICTの利用
6 ICTが拓く未来の保育
コラム ARと自然観察―ICTは“外遊び”も変えるか?―
第12章 エージェンシーを視点とした保育の可能性
1 ラーニング・コンパス2030とエージェンシーの視点
2 諸外国にみるエージェンシーを視点とした保育
3 これからの日本の幼児教育・保育が目指すもの
コラム 子どもの居場所を考える
第13章 「持続可能な社会」の形成者を育む保育実践を考える
1 持続可能な開発目標:SDGs
2 我が国の幼児教育(保育)における持続可能な開発のための教育
3 子どもは,自ら出会った環境と対話をしている
4 子どもの育ちを支える保育者のあり方
5 「持続可能な社会」の形成者を育むための教育課程・全体的な計画及び指導計画
6 「持続可能な社会」の形成者を育むための保育者の存在
コラム 手間暇かけることの意味
索 引
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