建帛社だより「土筆」

平成29年1月1日

社長就任にあたって (社長年頭の辞)

あけまして
 おめでとうございます
本年もよろしくお願い致します。


 年10月の弊社株主総会におきまして,私筑紫和男が,筑紫恒男の後任として代表取締役社長に就任いたしました。本紙をもって遅ればせながらご挨拶申し上げます。先代社長の筑紫恒男は代表取締役会長に就任いたしました。経験の浅い私を補ってもらいながら共に社業を盛り立てて参ります。
 年,食品・栄養,教育,保育,福祉・医療などさまざまな関連する分野の先生方に弊社書籍をご執筆・ご採用いただいており,その数はすでに創業以来3,000名を超えるに至っております。この機に簡単ながら弊社の歴史を振り返ってみたいと思います。
 社は祖父筑紫義男がその義父(曾祖父)の営む出版社で修業を積んだ後,昭和34年に独立,創業いたしました。当初より現在本社ビルのある東京都文京区千石の地で営んでおり,今年で57年目を迎えました。平成元年に父筑紫恒男が代表取締役社長に就任し28年間にわたり会社の発展に尽力し,私で三代目となります。
 社は,女子大学・短期大学における家政系の教科書・専門書の発行から創業いたしました。当時の家政系は被服が中心でしたが,家政学科の授業科目には,食物・栄養,保健衛生,保育の分野も含まれていました。女子教育の発展とともに,栄養士・管理栄養士養成課程,幼稚園教諭・保育士養成課程の学校が増え,弊社の発行図書もそれらの要望に応えてきました。その後,周辺分野にも視野を広げ,介護福祉士,医療秘書,言語聴覚士の養成テキストの図書も発行してまいりました。その結果,創業以来約1,300点の書籍を世に送り出し,そのすべてが弊社の貴重な財産として蓄積されるに至っています。
 在,日本の出版界が置かれている状況として,書籍売上は平成8年の1兆931億円をピークに年々減少を続けており,平成27年には7,419億円にまで減少しています。逆に電子書籍の売上は急増しており,平成22年には約650億円だった売上が平成27年には約1,600億円に成長しています。この売上の約8割をコミック,残りの2割を小説などが占めており,専門書分野にはまだ波及していませんが,スマホやタブレットで育った若い世代が活躍する社会が近づいてくれば,対応を迫られることになります。さらには少子化問題による学生減の傾向もあり,弊社の置かれている環境は決して明るいとは言えないかと思います。しかしながら,そのような状況を切り拓いていかなければなりません。
 頭でも記しましたとおり,弊社は創業以来3,000名を超える多くの先生方に支えられ,これまで会社を発展させることができました。各領域の第一線で活躍されている先生方にお力添えいただき,世に送り出した書籍に対する「建帛社の本なら間違いない」という信頼こそが,最大の武器になっていると考えています。この信頼を守り続けるとともに,電子のような新しい技術にも目を向けて会社発展のために邁進していく所存でございます。今後とも変わらぬご支援・ご鞭撻のほどお願いできれば幸甚に存じます。

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第105号平成29年1月1日

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