コンパクトな解説と実験実習・演習を多数掲載し,栄養学の基礎から応用までを1冊で網羅する充実のテキスト。 「栄養学総論(基礎栄養学)」を扱う第Ⅰ部と,「栄養学各論(応用栄養学)」を扱う第Ⅱ部との二部構成とし,実験・実習・演習を通じて興味を持って取り組める内容とした。
内容紹介
まえがき
はじめに
私たちの健康は,「栄養」「運動」「休養」の3つがバランスよく保たれていることで得られます。「栄養」とは,食べ物を取り入れる身体の代謝や,食べ物の量・質・調理法や食べ方(知識や行動なども含む)など,“食”に関することすべてを意味しています。
一方,現代社会では,人びとは偏食・欠食や過食などによって起こる身体の歪みから,さまざまな病気を抱えていることも少なくありません。栄養士の役割は,食生活の歪みを正し,食べ物が人体に及ぼすさまざまな影響を理解して,その作用・効用を教え広め,適正な食事を提供することによって国民の健康の保持・増進を支えることです。
栄養士教育における「栄養学」では,各栄養素の特徴や体内での代謝を学び,人体の消化・吸収を理解することや,自身の消費エネルギーを計ることで,対象者の必要エネルギーを理解し,個人や集団の食事計画を立てる(給食管理の基礎)能力を養います。さらには,喫食対象者のアセスメントができるようになるために,学生自身が自分の身体的・食生活的アセスメントを演習することでその実践力を身につけます。また,各ライフステージの特徴に合わせた食事を整える技術を習練し,栄養士として疾病予防の知識とスキルを涵養し,社会に役立てる実践性を学習します。
そこで本書は,全国栄養士養成施設協会が提案するコアカリキュラムに沿って,第Ⅰ部は「栄養学総論(基礎栄養学)」,第Ⅱ部は「栄養学各論(応用栄養学)」の内容を網羅し,実験・実習・演習を通して講義内容を理解し,興味をもって取り組める内容としました。詳細な解説は割愛し出来るだけコンパクトにまとめ,実験・実習・演習項目を多数掲載しました。
第Ⅰ部 栄養の概念および摂食行動については,従来,脊椎動物(哺乳類)としてラットの飼育実験(解剖)で理解していましたが,今日では,人体の映像はIT機器によって容易に見ることができるので,栄養状態の評価を知る目的としては,より入手が容易なエビの飼育を取り上げました。第1章 栄養の概念,第11章 遺伝子発現と栄養,第12章 食事摂取基準は,文章のみですが,第3章 消化・吸収と栄養素の体内動態から第10章 エネルギー代謝までは,実験または演習項目をいくつか掲載しているので,ピックアップして学習して頂ければ幸甚です。
第Ⅱ部第1章 成長・発達・加齢(老化)と第2章 栄養マネジメントでは,各ライフステージの実習・演習で必要な図表をまとめて掲載しました。第3 章 妊娠期の栄養から第14 章 運動・スポーツと栄養までは,基本的に食事献立(料理)例を載せ,調理実習を行えるようにしました。また,第6章 幼児期の栄養では栄養カルタ,第7章 学童期の栄養では栄養紙芝居,第9章 成人期の栄養では栄養指導のポスター作成などバラエティーに富む内容をとりあげ,“栄養の指導”の教材としても活用できる構成としました。
将来,栄養士として社会で活躍するための専門知識とスキルを学習できる教材として,より多くの人びとに使用されることを願いつつ,読者からのご批判,ご教示をいただきながら,今後もさらにより使いやすいテキストにしたいと願っています。
2014 年3 月
執筆者一同
目 次
Ⅰ.栄養学総論(基礎栄養学)
1.栄養の概念
2.摂食行動
3.消化・吸収と栄養素の体内動態
4.糖質の栄養
5.脂質の栄養
6.たんぱく質の栄養
7.ビタミンの栄養
8.無機質(ミネラル)の栄養
9.水・電解質の代謝
10.エネルギー代謝
11.遺伝子発現と栄養
12.食事摂取基準
Ⅱ.栄養学各論(応用栄養学)
1.成長・発達・加齢(老化)
2.栄養マネジメント
3.妊娠期の栄養
4.授乳期の栄養
5.乳児期の栄養
6.幼児期の栄養
7.学童期の栄養
8.思春期の栄養
9.成人期の栄養
10.閉経期(更年期)の栄養
11.高齢期の栄養
12.障害と栄養
13.栄養必要量の科学的根拠
14.環境と栄養
15.運動・スポーツと栄養
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