各ライフステージにあわせた栄養アセスメント,疾患・病態,栄養ケア,食品構成,献立例を網羅。ケーススタディーを通して栄養マネジメントの考え方理解し,活用できるよう配慮した実習書。
内容紹介
まえがき
は し が き
近年,食生活は大きく変貌し,栄養学的にも多くの課題があり,社会の疾病構造にまで多大な影響を与えるようになっている。いま,わが国は,世界に冠たる長寿を誇っているが,一方では,寝たきりや生活習慣病等により要介護高齢者が増加し,健康寿命や生活の質(QOL)が問われている。食事は,糖尿病やがん等の生活習慣病の予防や治療の根本であるばかりでなく,健康状態の維持増進と生活の質を高める基本要素でもある。
このような状況を踏まえ,21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21」が推進され,平成20(2008)年度からは,特定健康診断・特定保健指導も始まり,管理栄養士・栄養士に対する社会の期待はますます高まると同時に,その責任もより重大になってきている。
平成14(2002)年に栄養士法の一部が改正され,併せて管理栄養士養成カリキュラムが大幅に改正され,教育内容がより一層充実し,「専門分野」の科目として,「基礎栄養学」,「応用栄養学」,「栄養教育論」,「臨床栄養学」,「公衆栄養学」,「給食経営管理論」が位置付けられた。これらの専門科目の中において,「応用栄養学」では,「栄養状態や心身機能に応じた栄養ケア・マネジメントの考え方を理解すること」を教育目標としている。
すなわち,妊娠や発育,加齢など人体の構造や機能の変化に伴う栄養状態等の変化について,十分に理解することにより,栄養状態の評価・判定(栄養アセスメント)の基本的考え方を修得すること,また,健康増進,疾病予防に寄与する栄養素の機能等を理解し,健康への影響に関するリスク管理の基本的考え方や方法について理解することが求められている。そこで,本実習書では,とりわけ栄養アセスメントに重点を置き,ケーススタディーを通して,身体状況や栄養状態に応じた栄養ケア・マネジメントの考え方を理解し,活用できるように配慮した。
本実習書は14章から成り,第1章から第4章では,栄養ケア・マネジメントの概要,栄養必要量の科学的根拠,エネルギー・栄養素等の摂取量の算出,栄養適正量の算定と献立作成について,最新の「日本人の食事摂取基準」に準拠して要点をまとめた。
第5章から第12章では,各ライフステージ(妊娠期,授乳期,新生児期,乳児期,幼児期,学童期,思春期,成人期,更年期〔閉経期〕,高齢期)における特性を理解し,ライフステージにあわせた栄養アセスメント,栄養関連の病態・疾患,栄養ケア・マネジメント,食事摂取基準,食品構成と献立例,ケーススタディー等について詳しく説明した。
第13章では,運動・スポーツについて,エネルギー代謝,健康増進と運動,スポーツと体力,トレーニングと栄養補給,エネルギー別食品構成,ケースタディー等について記述した。
さらに,第14章では,環境と栄養管理について概説した。
このように,本実習書では,応用栄養学分野の必要領域をすべて網羅しており,実習テキストとしてだけでなく,「応用栄養学」の講義科目のまとめや復習にも活用できる内容とした。
本実習書は,それぞれの分野の一線で教育・研究に活躍している専門の先生方に執筆を依頼し,ご尽力いただいた。この場を借りて深く感謝申し上げる。また,本書を一層役立つ実習書に育てていくために,利用される方々からの忌憚のないご指摘,ご指導をお願い申し上げる次第である。
最後に,本実習書出版の機会をいただき,企画から制作にいたるまで,多大なご支援とご協力を賜った株式会社建帛社 松崎克行氏ならびに宮﨑潤氏に厚く御礼申し上げる。
2010年10月
編 者
五関 正江
小林三智子
四訂第3版にあたって
本書は,平成22(2010)年10月の初版発行以来,「日本人の食事摂取基準」,「日本食品標準成分表」,「管理栄養士国家試験ガイドライン」に準拠する形で,これまで改訂を重ねてきた。直近では「日本人の食事摂取基準(2020年版)」,「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」に対応して,令和2(2020)年に四訂版,令和4(2022)年に四訂第2版を発行した。
そして,令和5(2023)年2月に公表された「管理栄養士国家試験ガイドライン」の改定を受け,「栄養管理」や「栄養ケア・マネジメント」といったアプローチのあり方に留意しつつ,新たに取り扱うこととなった疾病への対応,統計データの更新など一部見直しを行い,このたび「四訂第3版」とした。
2024年2月
編 者
五関 正江
小林三智子
目 次
第1章 栄養ケア・マネジメント
1 栄養ケア・マネジメントの概要(定義,過程)
2 栄養ケア・マネジメントの方法
3 栄養ケア・マネジメントプログラム
第2章 栄養必要量の科学的根拠
1 生活活動とエネルギー代謝
2 日本人の食事摂取基準(2020年版)
第3章 エネルギー・栄養素当摂取量の算出
1 日本食品標準成分表の用い方
2 食事記録法による1日の栄養摂取量の算出方法
3 生活時間調査による1日の消費エネルギーの算出方法
第4章 栄養適正量の算出と献立作成
1 食品群別加重平均栄養成分表
2 食品構成
3 献立作成
第5章 妊娠期,授乳期の栄養管理
1 妊娠期,授乳期の特性
2 妊娠期,授乳期の栄養アセスメント
3 妊娠期,授乳期の栄養と病態・疾患
4 妊娠期,授乳期の食事摂取基準
5 食品構成と献立表(非妊娠期との比較)
第6章 新生児期,乳児期の栄養管理
1 新生児期,乳児期の特性
2 新生児期,乳児期の栄養補給法
3 新生児期,乳児期の栄養アセスメント
4 新生児期,乳児期の栄養ケア・マネジメントのあり方
5 新生児期,乳児期の栄養管理と病態・疾患
6 新生児期,乳児期の食事摂取基準
7 調 乳
8 離乳食の献立例
第6章 幼児期の栄養管理
1 幼児期の特性
2 幼児期の栄養アセスメント
3 幼児期の栄養と病態・疾患・生活習慣
4 幼児期の食事摂取基準
5 幼児期の食品構成と献立例
6 保育所給
第7章 学童期の栄養管理
1 学童期の特性
2 学童期の栄養アセスメント
3 学童期の栄養と病態・疾患・生活習慣
4 学童期の栄養ケア・マネジメントのあり方
5 学童期の食事摂取基準
6 学童期の食品構成と献立例
7 学校給食
8 学童期の食育―食のリズムや食行動の乱れ―
第8章 思春期の栄養管理
1 思春期の特性―思春期の成長・発達―
2 思春期の栄養アセスメント
3 思春期の栄養と病態・疾患・生活習慣
4 思春期の食事摂取基準
5 思春期の食品構成と献立例
第9章 成人期の栄養管理
1 成人期の特性
2 成人期のアセスメント
3 成人期の栄養と病態・疾患・生活習慣
4 成人期の栄養ケア・マネジメントのあり方
5 思春期の食品構成と献立例
第10章 成人期の栄養管理
1 成人期の特性
2 成人期のアセスメント
3 成人期の栄養と病態・疾患・生活習慣
4 成人期の栄養ケア・マネジメントのあり方
5 成人期の食事摂取基準
第11章 更年期(閉経期)の栄養管理
1 更年期の特性と内分泌系
2 更年期の栄養アセスメント
3 更年期の栄養と病態・疾患
4 更年期の栄養ケア・マネジメントのあり方
第12章 高齢期の栄養管理
1 高齢期の特徴
2 高齢期の栄養アセスメント
3 高齢期の栄養と疾病・病態
4 更年期の食事摂取基準
5 高齢期の食品構成と献立例
第13章 運動・スポーツと栄養管理
1 運動とエネルギー代謝
2 健康増進と運動
3 トレーニングと栄養補給
第14章 環境と栄養管理
1 ストレスと栄養ケア
2 特殊環境における栄養ケア・マネジメント
3 無重力環境(宇宙空間)と栄養
4 災害時の栄養
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