建帛社だより「土筆」

平成28年9月1日

児童福祉法改正 (コラム)

 和22年に制定された児童福祉法の大幅な改正が,去る5月27日に国会で成立し,6月3日に公布された。
 回の改正の趣旨は,公布日に発せられた厚生労働省の通知によれば,次のとおりである。
 「全ての児童が健全に育成されるよう,児童虐待について発生予防から自立支援までの一連の対策の更なる強化等を図るため,児童福祉法の理念を明確化するとともに,子育て世代包括支援センターの法定化,市町村及び児童相談所の体制の強化,里親委託の推進等の措置を講ずる。」
 正では,児童福祉法の理念がより明確になり,例えば子どもの権利条約の精神が第一条に謳われている。
 「第一条 全て児童は,児童の権利に関する条約の精神にのっとり,適切に養育されること,その生活を保障されること,愛され,保護されること,その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」
 た,新設された第三条の二では「国及び地方公共団体は,児童が「家庭」において心身ともに健やかに養育されるよう,児童の保護者を支援することとする」とし,さらに第二項において,家庭での養育が困難な場合においても養子縁組,里親等の「家庭と同様の養育環境」で育てるという「家庭養護原則」が新たに明記された。
 設入所は,これが適当でない場合のみに限定し,小規模グループケアやグループホーム等「できる限り良好な家庭的環境」の施設にすることを義務づけている。
 らに,児童虐待の発生予防(母子健康包括支援センターの法定化,妊娠期からの支援・情報提供等),児童虐待発生時の迅速・的確な対応(市町村の要保護児童対策地域協議会の機能強化,児童相談所の拡大・強化等),被虐待児童の自立支援(親子関係再構築支援,里親委託の推進,養子縁組に関する相談・支援等)など,児童虐待への対策がさまざまに法改正された。
 一条改正ほかの理念等に関することは公布日に,その他の制度等の改正については,平成29年度までに随時施行される。

目 次

第104号平成28年9月1日

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