建帛社だより「土筆」

平成28年9月1日号

専門フードスペシャリストへの期待

日本フードスペシャリスト協会専門委員長 女子栄養大学教授  青柳 康夫この著者の書いた書籍

 本フードスペシャリスト協会では平成26年度から従来のフードスペシャリスト資格に加えて,専門フードスペシャリスト(食品開発)資格および専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を認定している。両資格ともフードスペシャリスト資格を取得した者が,さらにそれぞれに必要な科目の試験に合格することで取得できる。
 来の資格が幅広い知識の確認により認定されているのに対し,専門資格は,専門性の高い二領域,「食品開発」と「食品流通・サービス」に特化し,厳密な試験の実施により真に実力のある人材に資格を付与することを骨子として創設された。
 成27年度の両資格の合格率はそれぞれ18.1%と29.2%であり,いかに厳しい認定試験であるか,合格者がいかに努力をした人材であるかを如実に示している。食物に関係する資格は非常に沢山あるが,その中でも屈指の資格であると自任している。
 ードスペシャリスト資格認定試験の受験者数は,ピークであった平成17年の約7,500名から平成27年の約5,200名へと,徐々に減少している。フードスペシャリスト資格は協会の認定を受けた養成校で指定の科目を履修し,卒業しなければ取得できないが,その養成校が減少しているためである。これは,少子化のため短期大学を改組するなどの構造的な問題と,資格の認知度が低く,就職等への貢献が期待外れであるとされていることによると思われる。専門フードスペシャリスト資格の創設は,これに対する1つの解決策でもある。
 年,政府の経済政策の影響もあり,就職難から一転,企業による人材確保競争が言われてきている。企業にとって優秀な人材を確保する指針は,将来を左右する重要事項である。従来の,ともすると易きに流れた認定試験を厳密化することで,自信をもって企業へ送り出すことができる人材を認定する。これこそが,企業の要望に応え,回り道ながらこの資格の認知度を向上させる手段であると考えている。
 かしながら,もっと積極的に認知度の向上を図る方法はないものかと考えた場合,専門資格の認定を養成校出身者以外にも広げるというのはどうであろうかと思案している。例えば,食品会社におけるフードスペシャリスト好適業務での勤務経験を評価し,フードスペシャリスト資格取得者と同等と認定し,専門フードスペシャリスト資格認定試験の受験を認めるというものだ。
 年度をめどに必修全科目の教科書が作成される予定であり,講習会などの教育機会を増やすことで,期待できる人材の育成が可能になると考えている。これを企業における再教育などに利用していただくことで,本資格の認知度を向上させることが期待できると思うわけである。

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第104号平成28年9月1日号

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