学生の学びの視点を重視し,さらに乳幼児のいる環境で働く保育者,栄養士,看護師等が日々の生活jで活用できるテキスト。
食物アレルギー事故の原因・注意点を示し,職種間連携の重要性を説く。保育の場で実施した調査結果から食物アレルギー対応の実際を学ぶ。
学生の学びの視点を重視し,さらに乳幼児のいる環境で働く保育者,栄養士,看護師等が日々の生活jで活用できるテキスト。
食物アレルギー事故の原因・注意点を示し,職種間連携の重要性を説く。保育の場で実施した調査結果から食物アレルギー対応の実際を学ぶ。
本書は,保育者・栄養士の養成課程で学ぶ学生に,食物アレルギー対応の実際を理解してもらうことを目的に編纂しました。保育者・栄養士だけでなく,保育に携わる看護師の方々も参加され,食物アレルギーをもつ子どもが楽しく園生活を送ることができるよう学ぶ「保育士等キャリアップ研修」(厚生労働省)の食育・アレルギー対応分野で学ぶべき内容を網羅しています。
食物アレルギーに関する本は多く出版されていますが,本書は以下の特長があります。
まず,保育者養成施設だけでなく,栄養士養成施設でも使用できることです。管理栄養士として食物アレルギーについて研究実績のある栄養士養成施設教員と,長年保育に携わった経験のある保育者養成施設の実務家教員で執筆しました。わかりやすく,簡潔にまとめられています。
2つ目に,医療分野に偏る類書が多い中,本書は保育に特化した内容で構成されています。保育の場での行事や製作活動を準備する際にどの点を注意すべきか,給食対応はどのような工夫が必要なのか等をまとめました。保育の場で食物アレルギーにかかわる人が手にとりやすいように実践的な内容を豊富にとり入れたテキストです。
3つ目に,2016年度から4年間続いた「食物アレルギーの子どもを守る大学」として進めてきた「私立大学研究ブランディング事業」(文部科学省)の内容も提示しています。食物アレルギーをもつ子どもや保護者に寄り添い,そこから得られた結果を保育者や栄養士の教育に還元する活動や研究の成果を紹介しています。現場の声から,アレルギー対応の実際を学ぶことができます。
4つ目に,保育に携わる専門職の連携を重視している点です。保育施設での誤食事故時における,職員の役割分担とそれぞれの動きについて紹介しています。園内の連携こそが食物アレルギーをもつ子どもを守ると考え,職種間連携の方法とその重要性を伝えるように努めました。
5つ目に,実践的な力がつくよう工夫しました。章ごとに学ぶべき内容を把握できる「学びの確認」や「Q&A」を掲載しました。さらに,食物アレルギー対応のレシピ紹介と共に,保育の場で考えられる事例を紹介することで,よりイメージしやすい学びができるような構成にしました。
本書は学生の学びの視点を最も重視し,さらに,乳幼児のいる環境で働く保育者,栄養士,看護師等の方々が日々の生活で活用できるテキストをめざしました。食物アレルギーをもつ子どもを守るために,この本を役立てていただければ幸いです。
最後に,事例や写真を提供してくださった園や保育者の皆様に,心より感謝申し上げます。そして,本書の出版にあたっては,建帛社の皆様にご尽力いただき,心より感謝申し上げます。
2020年8月
編者代表 朴 賢晶
乳幼児の5%前後が食物アレルギー患者で,近年増加傾向にあります。有病率のピークは1歳にあり年齢が大きくなるにつれて漸減します。稀ではありますが,アナフィラキシーという重篤な症状を発症することもあります。アナフィラキシーの第一選択薬であるエピペン ®を保有する園児は約0. 2%とされ,この割合も増加しています。
また,誤食のような食に関するインシデント・アクシデントは,保育施設の約5割が経験し,原因の7 割強は「配給・配膳ミス」で占められています。
保育施設には学校にはない,食物アレルギー関連事故が発生しやすい以下のような特徴があります。
① 在籍年齢が0 ~ 6 歳と幼少のため,自己管理は期待できない。
② 食数は少ないが,提供回数が多く,離乳食から幼児食まで種類が多様である。
③ 小児期に多い食物アレルギーの原因食品である鶏卵・牛乳・小麦は,年齢を経るうちに食べることができるようになることが多く,保育施設在籍中に耐性獲得が進むことが多い。保育施設では,子どもたちの除去食の変化を逐次追って,施設における対応を変化させていく必要がある。
④ 食物アレルギーの発症は乳児期に最も多く,その後,2歳までに全食物アレルギー患者の約80%が発症する。入園前に食物アレルギーの診断がなされていない子どもにおいても,保育施設で初めて食物アレルギーが発症することがある。よって,食物アレルギー児がいない保育施設でも,食物アレルギーについて理解をしておくことが重要である。
以上から,保育施設の職員にとって,食物アレルギー対応の理解と実践は,避けては通れない業務と言えます。
保育施設における生活で食が関連する場面は,給食・おやつ・種々の行事・食育活動・お泊まり保育・製作活動・災害への備えと対応など,多種多様であります。これらに伴う,安全・危機管理体制や職種間連携の確立も必須です。
本書は食物アレルギーの基礎知識から保育施設業務すべてにおける食物アレルギー対応を網羅し,しかも,具体的かつ実践的に記載されております。保育施設で働く保育者・栄養士を目指す学生だけではなく,現在,保育の場で働いている職員の方にも有用な情報を提供してくれます。
一読することをお勧めします。
2020年8月
うりすクリニック 名誉院長
宇理須厚雄
第1章 食物アレルギーの基礎知識
1.食物アレルギーとは
2.食物アレルギーのタイプ
3.食物アレルギーの症状
4.食物アレルギーの疫学
5.食物アレルギーの診断・治療・食事の管理
6.アレルギー物質を含む食品の表示
7.食物アレルギーをとりまく現状
第2章 アレルギーに対する安全管理と危機管理
1.「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」について
2.アレルギーに関する保育施設の安全管理
3.アレルギーに関する保育施設の危機管理
4.子どもと保護者への援助と配慮
第3章 食物アレルギーの給食対応
1.給食(保育施設でのおやつも含む)における食物アレルギーの対応
2.給食室の対応
3.保育室の対応
4.弁当持参(給食提供ができない場合)の対応
5.給食室と保育室の連携
◆事例紹介
◆レシピ紹介
第4章 職種間連携の重要性
1.保育施設でのアレルギー対応における職種間連携の実態から学ぶ多職種との連携
2.インシデントから学ぶ職種間連携の方法
3.小学校との連携
◆事例紹介
第5章 給食提供以外での保育における注意事項
1.行 事
2.製作活動
3.その他
4.災害時の備えと対応
◆事例紹介
第6章 食 育
1.食育とは
2.みんないっしょの食育計画―ある保育施設の取り組み―
◆事例紹介
◆レシピ紹介
現役小児科医が,発育・発達,病気とその予防・日常の対応,精神保健などについて,イラストを交えわかりやすく解説する。インシデント・アクシデント事例,職員のバーンアウト予防など関連事項も記述。
2019年度よりの保育士養成課程の科目「子どもの保健」の教科書。科学的・論理的な裏付けをもとに、専門的知識や技術を統合的に学ぶ。
2019年度から実施の新しい保育士養成課程における新科目,「子どもの健康と安全」の教科書。
保育士養成課程準拠。養護の視点も踏まえ,「保育の場における」保育保健の基礎知識習得をめざす。各種ガイドラインに沿った最新知見を交えて記述。現場を体験しながら学べるシミュレーション演習を掲載。
養護の視点と保育の場における対応を踏まえ,心身の健康および安全管理のための実践力習得を目指す。新型コロナウイルス感染症関連の学校保健安全法施行規則改正を含む法令・制度,並びに統計資料を更新。
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