建帛社だより「土筆」

平成31年1月1日

良書との出合いを大切に (社長年頭の辞)

あけまして
 おめでとうございます
本年も宜しくお願い申し上げます


 昨年の弊社書籍の新刊・改訂版の発行点数は六十四点でした。中でも二〇一七年に公示された学習指導要領、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領に関連する教育、保育幼児教育の教科書が中心となりました。同分野では保育士養成課程のカリキュラム改定で新科目が設置されるなど、養成校の先生方もご苦労されている様子を聞き及んでおります。弊社では新科目に対応した教科書の編集を急いでおり、今年度中には一通りの刊行を予定しております。本紙新刊・近刊案内をご覧いただければ幸いです。刊行に向けてお力添えいただきました先生方には、紙面をもちまして御礼を申し上げます。
 一方で、本年三月には「日本人の食事摂取基準(二〇二〇年版)」が公表される予定となっており、それを受けて「日本食品標準成分表二〇二〇年版」も改定されることとなります。食品・栄養・調理の分野では教科書の内容を大幅に見直すこととなってまいります。こちらも関連する教科書をご執筆いただいております先生方には例年以上にお力をお貸しいただくことになるかと存じますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
 出版界は引き続き厳しい状況が続いております。二〇一七年の書籍・雑誌の推定販売金額は前年比六・九%減(一千八億円減)と十三年連続のマイナスとなっており、減少幅も過去最大のものでした。中でも雑誌の減少が大きく一〇%減となりました。日本の書籍流通は雑誌に下支えされてきたことから、雑誌の売上減は輸送問題にも大きく影響を与えています。
 加えてアマゾンに代表されるネット書店の台頭によって、書店も苦しい状況に置かれています。そのような中でも店舗づくりを工夫し、活気のある書店もあります。ベストセラー本は大型書店で買えばいいというスタンスで、その土地柄に合った書籍を置くことで特徴的な店舗づくりをするなど、この書店に行けばこんな本が見つかる、という発見を読者に提供してがんばっている話も聞いております。昨年から十一月一日を「本の日」と制定し、販売だけではなく、作品や作品の世界観、作家とを結ぶ場所でもある本屋へと足を運んでもらう試みもなされています。確かにネット書店では現在流通しているほぼすべての本を検索・購入することができますが、書店のように棚がないため「点」でのアクセスとなり、周辺領域の書籍や予想外の本との出会いが生まれづらくなります。利便性の高いネット書店に頼りがちとは思いますが、是非本屋さんにも足を運んで本との出合いを楽しんでみてください。
 弊社は本年十月で創業六十周年を迎えることとなります。六十年という長きにわたって会社を続けられたのも、ひとえに弊社を支えていただいております先生方のお陰によるものと感謝いたしております。これからも信頼をもってご購読いただけるような、こんな本と出合えてよかったと思われるような良書を刊行できる出版社であり続けたいと思っております。今後ともご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。

目 次

第109号平成31年1月1日

全記事PDF